第91話 プール
俺達はバーセラルの外れにある遊泳施設に遊びに来ていた。
夏と言えばプールである。
「じゃあ、着替えたら集合ね!」
ライラはこの日をすごく楽しみにしていたらしくウキウキである。
入場を済ました俺達は男女で別れ更衣室へ向かう。
今年も猛暑が続き今日何て40℃近い。
俺とマシュアは特に話すことなく水着に着替えてプールへと向かう。
そのころ女性陣が向かった女子更衣室では……。
「んー、なんか小さいかも?」
「メイルちゃんが成長しすぎなだけだよ……」
「ずるい……ライラちゃんもずるい……」
「お嬢様も大きくなられましたよ? ……多分」
「多分って何よ! 大きくなったに決まってるじゃない!」
特に胸のサイズで口論が行われており、全然出てくる気配がない。
「やっぱ裸で行った方がレイも喜ぶんじゃ……」
そう言って水着を脱ぎだすメイル。
「それはダメ! レンタルもあるから見に行こう?」
「えー……でも私の胸のサイズあるかなー?」
イラッと周りで着替えをしている女性客から聞こえたが、皆知らないふりをした。
「ちょっと水着借りてくるから先行ってて!」
「はーい……」「行きましょうか、お嬢様」
ミュフィスとアイルースは先にプールへと向かう。
「遅いな……」
プール内にある売店でアイスコーヒーを買って、テーブル席で待っている俺とマシュア。
「女性は身支度に時間がかかる生き物だから仕方ないだろ」
「にしても遅くないか?」
「確かにな……気長に待つとしよう」
俺とマシュアは氷の入ったグラスを回しながら暇をつぶしている。
するとミュフィスとアイルースがこっちに向かってきた。
「お待たせ!」「お待たせしました……」
「おう、なんか飲むか?」
「じゃあ、私もアイスコーヒーにしようかな? アイルースは?」
「私もそれで……」
俺はマシュアを連れてアイスコーヒーを買いに行く。
「おい」
「なんだよ?」
「アイルースが恥ずかしがってるだろ? こういう時は褒めてやるんだよ」
「……確かにな、なんて言えばいいんだ?」
「お前……その水着似合ってるよ、でいいだろ?」
「そ、そうか……分かった」
なんかいつもよりも緊張しているな……まあマシュアは気が利かない奴では無いし大丈夫か。
二人分のアイスコーヒーを注文して受け取った俺達はテーブル席へと戻っていく。
「買ってきたぜ」
「ありがと!」
「水着似合ってるよ」
「そう? えへへ……」
俺はミュフィスにアイスコーヒーを渡してさりげなく水着を褒める。
これをやれとマシュアを見る。
「アイルース」
マシュアはアイルースへアイスコーヒーを渡す。
「ありがとうございます……」
「その、似合ってるよ水着」
「嬉しいです」
ニコっとアイルースは微笑んでくれた。
大丈夫そうだな……と、とりあえず一息つく。
「ライラとメイルはどうしたんだ?」
「うん、ちょっと時間かかるみたい……あはは」
「そうか、まあ急ぎでもないし待っているか……」
「おーい!」
ん?
声の方を向くとメイルが走ってこちらに向かってきている。
そう、胸を大胆に揺らしながら。
「待ってー! メイルちゃん!!」
ライラは胸を押さえながらメイルを追いかけている。
周囲の男共の視線が気になるがこれはメイルが悪いだろう……。
「レイ! 水着どう!?」
俺の前に来て水着をアピールするメイル。
「似合ってるよ」
「やったー!!」
両手を上げて喜んでいる。
「メイルちゃん! 走っちゃダメだよ!」
ライラが追いついてきた。
「えー? でもレイが水着姿早く見たいかなーって……」
シュンとしてしまうメイル。
「じゃなくて……」
ライラがメイルに耳打ちをする。
「走ったら胸が揺れるでしょ? 周りの人達もメイルちゃんの事見てたよ?」
「胸? 別にいいっすよ?」
「良くないの! はしたない女性だと思われるの嫌でしょ?」
「それは……嫌だけど……」
「水着の時は注意してね?」
「はいっす……」
なんか姉妹みたいだな……と俺は見守っている。
「気を取り直して! 早速プールへ行こう!」
ミュフィスの号令でプールのエリアへと向かう。
「何から行くっすか!?」
もうテンションが回復しているメイル。
「やっぱ、ウォータースライダーでしょ!!」
ライラが乗り気だ。
「私達は流れるプールへ行きましょう?」
「そうだな、レイ、無いとは思うが気をつけろよ」
「ああ、マシュアもな」
俺達はウォータースライダーへ、マシュア達は流れるプールへと別れる。
「二人乗りの浮き輪に乗って流れるみたいだよ?」
ミュフィスが入り口にある看板を見ている。
「二人乗り……ジャンケンで決めよう?」
三人でジャンケンが始まった。
「ジャーンケーン……ポンッ!」
綺麗にグー、チョキ、パーで別れる。
「あーいこーで……ポンッ!」
ミュフィスとメイルがグー、ライラがパーだ。
「やったー! じゃあ最初は私とレイね!」
「ずるーい」「ずるいっすー」
頬を膨らませて抗議してくる二人。
いくらその姿が可愛くても、ジャンケンで勝ったライラを優先しなければ……。
「後でまた乗ればいいだろ? 最初はライラと行くよ」
「うん! 行こ!」
ライラと手を繋いで列へと並ぶ。
後ろから視線が突き刺さるがまあ気にしないことにする。
「では信号が青になったら滑っていってくださーい!」
ガイドのお姉さんの説明を受けて信号が変わるまで待つ。
「ちょっと怖いかも……」
「大丈夫だ、なんかあっても俺が守ってやるさ」
「うん……」
このウォータースライダーは洞窟探検をイメージして作られている。
スタートすれば洞窟の中で、ライトは着いているが少し暗い。
信号が青に変わる。
「行くぞ!」
「うん!」
大きな浮き輪型のボートに背合わせで乗り込み、ガイドのお姉さんに押してもらう。
「いってらっしゃーい!!」
ボートが水の力で流されてスタートを切った。
「キャーーー!!」
「凄いなこれ!!」
洞窟の中をグングンと進んでいく。
ライラはキャーキャーはしゃいでいる。
俺も久しぶりにウォータースライダーに乗ったが思いのほかスピードが出て楽しい。
そして洞窟の出口へと流されてゴールする。
「凄ーい! 楽しかったね!」
「いや、凄かったな!」
ボートから降りて、二人して満面の笑みになってしまう。
そのくらいには楽しかった。
待っているとミュフィスとメイルも流されて来た。
「キャーーーーーー!!」
凄いはしゃいでいる。
「もう一回! もう一回乗るっす!!」
「うん! 面白かったね!!」
メイルに至っては興奮していて、すぐに列へ向かおうとしている。
まあ、楽しんでもらえてるならいいか。
俺達もメイルの後を追ってその後もウォータースライダーを楽しんだ。




