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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第七章 魔法師団編
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第89話 親

 ランドロック領に入り、バーセラルの街に無事に辿り着く。


「ふぅ……久しぶりの故郷だ……」

 俺は目を閉じ、空気を目いっぱい吸い込み帰って来た実感が沸いてきた。

「二年ぶりか? もっと経ってるような気もするな」

「良い街ですね、活気がありつつも自然豊かで」

「だろ? アイルースさん達は初めてだから後で案内するよ」 

「よろしくお願いします」

 ふふっとアイルースは微笑んでいる。

「じゃあ、家に帰るか!」

「おー!」

 家までは徒歩だ。

 馬車で帰ってもいいが、街を歩きながら帰るのが好きだからそうしている。

「レイのお父さんってどんな人?」

「私はレナイゼル様よりも優しい方は知りません」

「レイのお母さんは?」

「そうですね……世界で二番目に優しい方です。レイに厳しく当たるのは、執事長のセイベル様くらいでしたから」

「へえー! セイベルさんはどんな人?」

「セイベル様は時に優しく、時に厳しい方ですよ」

「うーん、優しいだけじゃ想像つかないなー」

「俺の父さんも母さんも友達みたいな感じだよ」

「友達?」

「俺と対等な立場で、話して、遊んで、叱ってくれるんだ」

「そうなんだ! 友達か……」

「細かいことは基本気にしない、器の大きな方ですよ」

 マシュアはそう思っているらしい。

 ライラも納得したようなしてなさそうな感じだが、会えばわかるだろう。


 しばらく話ながら歩いていると館が見える距離まで来た。

「ドレイク様ー!!」「レイ様!!」

 門にいるシアとシグニが気づいて手を振ってくる。

「シア! シグニ! ただいま!!」

 門を開けてくれて早速中へと通される。

「今レナイゼル様をお呼びしてきます!」

「頼むよ」

 シアが館の中へと走っていく。

「じゃあ、俺達も入ろうか」

 マシュアが扉を開けて皆が中へと入る。

「すごーい! 立派なお家!!」

 ミュフィスが感動して褒めてくる。

「だろ? リビングはもっと凄いぜ?」

「綺麗なお家ですね……」

 アイルースは結構驚いている。

「リビングで話そうぜ」

 全員入りリビングへと行こうとした時。

「ドレイク坊ちゃま!! マシュア君!!」

 セイベルが慌ててやってきた。

「ただいま、セイベル。紹介するよ、うちの執事長のセイベルだ」

「初めましてお嬢様方、執事長のセイベルと申します」

 整った礼をしてみせたセイベルに皆は感嘆する。

「坊ちゃま! 到着は明日では?」

「いいだろ? 早く着いて困る事なんて……」

「ありますよ!! おもてなしの準備が出来ておりません!!」

「気にしないって! 皆! こっち来てくれ!」

 ズカズカとリビングに進んでいく俺。

「お嬢様方、お荷物を預かります」

「ありがとうございます!!」

 リビングに着いて皆に紅茶とお菓子が振舞われる。

「やっと、ゆっくりできるな……」

 俺はお菓子へと手を伸ばそうとした時……。

「レイ!! もう着いたのか!!」

 今度は父さんが慌てて二階から降りてくる。

「ただいま! 早く着いたわ!」

「皆さんすみません……なんのおもてなしも出来ず……。家主のレナイゼルと申します、どうか(くつろ)いでいってください」

 皆が苦笑いしている。


「父さん、紹介するよ。俺とマシュアの婚約者だ」

 そうして軽い紹介をする。

「うちのバカ息子達がお世話になっています! これからも! どうかよろしくお願いします!」

 バカ息子達ってなんだ?

 あははーと笑うミュフィス達。

「母さんは?」

「エレナは今出かけていてな、夕方には戻るから夕飯は少し遅くなるぞ?」

「俺達で買い物に行って作ってもいいぞ?」

「いや、お客様に料理を作らせるなんて……」

「よければ私達が料理しますよ?」

 ミュフィスが料理をすると言ってくれる。

「三人は母さんよりも料理上手いから任せろって!」

「エレナより? それは楽しみだが……本当に良いんですか?」

「はい! 手伝わせてください!!」

「レイ、マシュア、……いいお嫁さんを持ったな!!」

「だろ? メイルは料理できないけど……」

「私は味見を頑張ります!!」

「そうか……家族を持ったんだな、レイもマシュアも」

「レナイゼル様のおかげです……」


 何か考え込むレナイゼル……。

「そうだ!! ちょっと待ってろ!」

 父さんは二階へと戻っていった。

 そしてすぐに戻ってきた。

「これを見てくれ!!」

 ん?

 そこには養子縁組の書類があった。

「おととい受理されたんだ! マシュアは正式に私達の息子になったんだ!!」

 !!

「ほ、本当でしょうか?」

 マシュアの声が震えている。

「本当だ! 見ろ!!」

 マッシュアハ書類を受け取り端から端まで読む。

 頬を涙が伝う。

「マシュア、これからは父さんと呼びなさい」

「レナイゼル様……!! いえ、お父さん!!」

 父さんとマシュアは抱き合った。

 それを俺達は拍手で迎える。

「じゃあ、俺の兄貴だな! 兄貴! これからもよろしく!」

「ああ! よろしく! レイ!」

「家族なんだ。なんでも頼れよ?」

 父さんはそう言って兄貴と肩を組む。

「という事は……私たちがレイと結婚したらアイルースがお姉ちゃんに!!」

 何かに気づいたようだ。

「レイ! お前も休暇中に婚姻届けくらい出していったらどうだ?」

「まだ向こうの両親に挨拶も済んでないのに……」

「私は了承済みっす!」

 メイルは確かにグラドが許しているからオーケーか。

「私は報告は後でも良いかなー」

 チラリと俺を見るライラ。

「私も!」

 それに賛同するミュフィス。

「それならいいじゃねえか! どうだ? レイ!」

「じゃあ……婚姻届け出すか?」

 三人へ確認する。

「うん!」

 皆が返事をする。

「待ってろ! こんなこともあろうかと用意してあるんだ!!」

 また二階へと戻っていく父さん。

「そっか、アイルースさんはマシュアと結婚したから義姉さんに……」

「よろしくね? ドレイク君」

「おう! 姉貴!」

 ニカっと笑いちょっとだけ照れてしまう。

「これだ! ここにサインをしろ!」

 父さんが急いで持ってきた婚姻届けに皆でサインをする。

「おお! 明日役所へ持っていこう!」

 何故父さんが一番はしゃいでいるのか……嬉しいのは分かるが。

「いや、今日持っていこう」

 !!

「確かに、全然間に合うな……走れ! レイ!」

「ああ! 行ってくるよ!!」

 俺は書類を大切に持って役所へと走った。


 バーセラル街の役所。

「すみませーん!!」

「はい? どうしましたか?」

「この書類をお願いします!」

 書類には四人のサインと血判が押してある。

「ご領主様でしたか! はい! 確かに受理いたしました!!」

「よっしゃあああああ!!」

 俺は一人でガッツポーズをする。

「ご結婚おめでとうございます!!」

「ありがとうございます!! では、妻が待っていますので!」

「はい!」

 俺はまた走って帰宅する。

「提出してきたぞ!!」

「おー!!」

「はぁはぁっ、疲れた……」

「俺に娘が四人も……!! セイベル!」

「レナイゼル様……こんなにも嬉しい日はございません!!」

「ワインを開けるぞ!! 一番いいので頼む!!」

「かしこまりました……!!」

 父さんとセイベルは号泣している。

 でも、嬉しいみたいだからよかったな……母さんも喜んでくれるかな?

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