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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第七章 魔法師団編
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第87話 鍛冶

 休日になりジノとバアルと刀刃が家に遊びに来る予定だ。


 俺とメイルは庭で訓練をしている。

「せいっ!! やあっ!!」

「良い感じだ! 集中を切らすなよ!!」

 メイルは褒めるとすぐに集中力が切れてしまい、抱き着いてきて甘えだす癖がある。

 訓練どころではない……。

「レイ――!!」

 ドガッ!

 体当たりと見せかけて抱き着いてきた。

「おいおい……まあいいか」

 休日だし今日は甘やかすか。

 メイルとじゃれ合っていると俺を呼ぶ声がした。


「おーい! レイ!」

 ジノ達が着いたようだ。

「おはようございます! 先輩!!」

「おはよう刀刃、ジノ、バアル」

「おはよーって……朝から何してんだ?」

 バアルにツッコまれる。

「見ての通りイチャイチャしているんだけど?」

「まあ、お前らが幸せそうならいいか……」

 どうやら俺達のイチャイチャは幸せそうな光景に見えるらしい。

「それで? 俺はメイルに剣を教えればいいんだな?」

「ああ、頼むよバアル、刀刃と試合している所も見せてやって欲しい」

「お願いしまーす!!」

 メイルは元気が良いな、そんな笑顔で言われたら断れないはずだ。

「あ!」

 ん? なんだ?

「その前に皆に渡したいものがあるんだ!!」

 メイルから皆に?

「メイルちゃんから俺達に! 何だって受け取るよ!!」

 ジノはテンションが上がって来たらしい。

「着いてきて!!」

 すると工房の方へ行くメイル。

 まさかこの短期間で武器を作ったのか……? まさか、いや、確か固有スキルに鍛冶のやつがあったな。

 とりあえず行ってからのお楽しみという事で皆で着いていってみる。

「中へどうぞ!!」

 メイルがドアを開けてくれて、俺達はぞろぞろと工房内へと入っていく。

 そういえば最近工房には近付いていなかったな……なんだか久しぶりだな。

「少し待っててね!」

 工房の奥へと走っていくメイル。

 

 しばらく待っていると重そうな包みを重ねて運んで来たメイル。

「んー! 重いー!!」

「メイル! 怪我するぞ!」

 俺はすぐに包みを支えに行く。

「ありがと! えへへ……」

 無事に包みをテーブルに置いてふぅーと息を吐くメイル。

「これがジノ君ので……こっちがバアル君! それでこれが刀刃君! 開けてみて!」

「いいのか?」

 バアルが俺に確認を取ってくる。

「受け取ってやってくれないか? メイルなりの感謝の気持ちだ」

「うん! レイがいつもお世話になってるから!」

「そうか、じゃあありがたく受け取らせてもらう」

 皆が何かを包んでいる布をはがしていく。

「これは!!」「すげぇな……!!」「かっこいい!!」

 メイルが渡したのは皆の武器だ。

 ジノには槍、バアルには剣、刀刃には刀を。

「実はライラちゃんに聞いといたんだ、皆の扱っている武器を知りたいって!」

 そんなことをしていたのか、一人で全部は大変だろうに……。

「私は……鍛冶でしかお手伝いできないからさ……」

「メイル……嬉しいけど無理はするなよ?」

 俺は一応忠告しておく。

「うん! それと、レイにもあるの!」

「俺に……?」

「少し待っててね!」

 また工房の奥へと走っていく。

「いや、レイ! メイルちゃんはやっぱすげえ鍛冶師だよ!」

「俺もそう思うな」

「前からメイルさんは一流の鍛冶師でしたよ!」 

 三人がメイルの事を褒めちぎる。

「そうだな、メイルは凄い奴だよ」


 今度は包みを一つ持ってきた。

「これは最初に造ったんだ! レイがいつもお世話になっている人に!」

「俺がお世話になってる人か」

 一人に決まっている。

「ありがとうメイル。このまま渡しに行くよ」

「見なくていいの?」

「うん、メイルが造ったのなら喜んでもらえるよ」

「そうかな? えへへー」

 そうして武器を新調した俺達はメイルの訓練に付き合うのだった。


 魔法師団第一修練場。

「失礼します!」

「ドレイクか」

 フラム副団長はいつもこの第一修練場で魔法の訓練をしている。

「フラム副団長にメイルから贈り物です」

「私に?」

「是非受け取ってください」

 包みを見れば分かるだろう、そう、長杖だ。

「受け取ろう」

「ありがとうございます!」

 俺から包みを受け取り重さを確認しているフラム副団長。

「重いな」

「なんでも過去一の最高傑作らしいですよ」

「……」

 そして包みをはがしていく。

 !!

「これは……」

 レッドフレイムの魔宝玉が各所に飾られた見事な長杖が現れる。

「レッドフレイムか……しかも宝玉で……」

「どうですか?」

「素晴らしい造りだ、以前ドレイクが造り上げた杖よりも遥かにな」

 そりゃそうだ、俺は鍛冶に関してはほぼ素人なのだから。

「そして私の杖の扱い方も知っているようだ」

「ライラが教えたそうです」

「なるほどな、いや、素晴らしい杖をありがとうと伝えてくれ。そして我が魔法師団お抱えの鍛冶師にならないかとも伝えてくれないか?」

 それは嬉しい提案だ。

 きっとメイルも喜ぶだろう。

「はい! 伝えておきます!」

 そして、この日からフラム副団長の魔法の威力と精度が上がり、団員達からはさらに鬼だと思われるようになった。

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