第85話 騎士
俺は朝からメイルの指導をしている。
「でい! とりゃあ!!」
ますはステータスと現実はどこまでやれるかの差を測る。
結果は……。
「うん、Lv.70くらいの実力はあるな……熟練度はよくてBだな」
「はぁはぁっ!」
朝の一時間目でもう息が切れている。
俺達は朝四時から訓練している。
魔法師団の訓練がが大体八時からだから後二時間は訓練できる。
「どうした? もう動けないか?」
「まだまだ!」
俺は剣の才はあるが、型というものを知らない為、素振りを教えることが出来ない。
だから実践形式で教えるほかない。
木剣と木斧で相手をしているがメイルは相手を傷つけるのが怖いのか、あと一歩のところで威力が落ちる。
こればかりは経験を積み重ねないと直らないので今はとにかく数が大事だ。
質を最初から求めていると動けなくなっていく。
まずは、数をこなすこと。
それが上達への近道だ。
「やあ」
!!
来たか。
「ハイルさん、おはようございます!」
「おはよう、朝から精が出るね」
俺はヴァンに頼んでハイルさんを呼んで来てもらった。
剣を教えて貰うのにハイルさん以上はいないからだ。
「久しぶりだね、メイルさん」
「お久しぶりです! ハイルさん!」
「うん、元気でいいね。じゃあ早速、素振りを教えるよ」
「はい! お願いします!!」
ここからはハイルさんに時間ギリギリまで指導して貰う。
一人でも素振りは出来る為、早めに覚えといた方が良い。
「うん、筋が良いね。これを十時間はできる体力と身体は作っておくこと、いいね?」
「はい!」
素振りを十時間か……かなりキツイが、教えるという事はハイルさんがそれくらいはやってきたという証だ。
そうして二時間みっちりと指導して貰う。
「じゃあ、僕達は訓練があるから行くよ。またね」
「ありがとうございました!!」
ハイルさんへお辞儀をしてまた素振りへと戻るメイル。
初日だから無理をするなとは言わない。
初日で訓練に耐えられなきゃそれまでだ。
後はどんどん周りと差が開くだけ。
それは騎士団に入ってからも同じ、ぶっ倒れるまでやらなければ新人は成長しない。
スパルタなんかではない。
国民の命を預かり、自らの命を守るというのは簡単ではないのだ。
俺は準備をしてハイルさんと共に王城へと向かった。
魔法師団第二修練場。
「おはようございまーす」
「おはようございます! 先輩! 試合しましょう!!」
早速、刀刃から試合を申し込まれる。
「アップしてからな」
俺は30分走ってからストレッチをする。
周りはもう試合形式で訓練を始めている。
俺も刀刃と何戦かやるかとテュールの魔斧を生成し、刀刃に話しかける。
「やるぞー」
「はい! って何ですか!? その斧!?」
「ん? まあ気にすんな」
「めちゃくちゃ気になります……」
俺達は距離を取って武器を構える。
「いつでもいいぜ」
「では、行きます!!」
刀刃ももう少しでLv.100だ。
ここらで俺を倒せるようになってきてもおかしくはない。
刀刃が駆けだした瞬間に俺は肩に担いでいた斧を地面に叩きつける。
凄まじい音と共に刀刃の真上に雷が現れる。
!!
一瞬怯み速度を落とした刀刃は、雷を避けられない。
だが。
「せああああっ!!」
見事に雷を斬ってみせた。
「おお、成長しているな。ならこれはどうだ!! 雷神の一撃を!! グングニル!!」
俺の真上に三本の雷の槍が現れる。
一本目を射出する。
「ぐぅううううっ!!」
刀で受けたが軌道を逸らすので精一杯のようだ。
だが軌道を逸らされた雷の槍は、刀刃を目掛けて軌道を変えまた飛来する!
「くそっ!!」
また軌道を逸らす。
「押し負けるな! よく見て対処しろ!!」
フラム副団長だ。
「そのネックレスは飾りか!! 魔法を恐れるな!!」
「分かってますよ!! せあああああっ!!」
俺のグングニルを捉えたか……俺の出来る最上級魔法なんだがな。
「やるな刀刃!! 二本同時はどうだ!!」
俺は二本同時にグングニルを射出する。
「見えてますよ!! 先輩!!」
高速の二連撃で俺のグングニルは消される。
そして近接戦を仕掛けてくる。
斧の火力で一度刀刃を吹き飛ばし獣化をする。
「戦神テュール様……私に力を!!」
「剣の王よ……竜殺しの斬撃を!!」
次の一撃に全てを込める気だな……。
「受けて立つ!! 神竜の加護よ!!」
――衝突
互いに一歩も引かない鍔迫り合いが続く。
「ガアアアアアアアアッ!!」「せああああああああっ!!」
剣と爪の衝突により激しい音が鳴り響く。
刀刃の刀が威力に耐え切れずに砕け散った。
俺はそのまま爪を刀刃の喉元の寸前へと突き立てる。
しばらく沈黙し……。
「ドレイクの勝利!!」
フラム副団長の合図により決着が決まった。
危なかった……テュールの魔斧で刀の耐久を削っといて良かった。
「クソッ!! クソッ!! くそおおおおおおお!!」
刀刃は大声で悔しがっていた。
「俺とここまで競ったのは初めてか……お前は強くなってるぜ、刀刃」
「勝たなきゃ!! 勝たなきゃ意味がないんだ!!!」
刀刃……。
俺はかける言葉を失ってしまった。
「すみません……頭、冷やしてきます」
そう言って刀刃は修練場を去っていった。




