第84話 出会い
ヴァンに乗ってエルンの街まで辿り着いた俺達はグラドの工房へ行く。
「グラド! 居るか!!」
俺は中へと入り大声でグラドを呼んだ。
「ドレイク……何の用だ?」
「メイルと最初に出会った場所に連れて行ってくれ!!」
「今からか?」
「今すぐだ!!」
俺の様子を見てただ事ではないと感じ取ったグラドは、仕事を弟子に任せて俺達を案内してくれる。
二時間ほど歩き街の外の草原へと辿り着く。
「この先だ……メイルが倒れていた場所は……ん? 何かあるぞ?」
俺達は大きな何かに近づいていく。
「墓か……?」
大きな墓が目視できるようになった時、墓の前に一人の幼い少女が座っていた。
誰だ……?
「ちょっと俺一人で行かせてくれないか……?」
震える声で俺はそう言ってその少女へと近づいていく。
少女は俺が近づいてきたことに気づいた。
「ここが、誰の墓だか知っているのか?」
振り向かずに、少女は答える。
「うん、もう遠い昔のように感じる……ここには私の大切な人が眠っている……」
「メイルって言うんだ。俺の大切な、結婚を誓った仲の……」
「知ってるよ」
「え……?」
「知ってる。だって、私の名前もメイルだもん!」
少女は振り向き、笑顔でそう言った。
「メイル……なのか……?」
「テュール様がね、元の姿は無理だけど、人族としてなら送り出してやれるって……!! そしたら……!! また……! レイと会えるって!!」
「メイル!!」
俺はメイルと抱き合った。
「良かった!! また! お前と出会えて本当に……!!」
「レイ!! ごめんね? 心配かけて……」
「いいんだ! お前が無事でいてくれたらそれで!」
「メイルなのか……?」
「親方! また会えたね!」
「ははっ、また会えたねって……馬鹿野郎!! どんだけ心配かけるんだ! このお転婆娘が!!」
グラドのげんこつがメイルの頭に直撃する。
「親方! 痛いっすよ! 何するんすか!!」
「いたかったのはこっちの方だぜ……馬鹿野郎が!!」
ああ、また皆で笑いあえる日が来たのか……。
俺はメイルに誓う。
「メイル……今度こそ誓わせてくれ。お前を二度と泣かせたりはしない」
「うん!」
「俺とまた、結婚してくれますか……?」
「うん!!」
思いっきり抱き着いてくるメイル。
俺達はまたやり直せる。
今度は絶対に死なせないし、悲しませない。
戦神テュール様……本当にありがとう。
ドレイクの家。
俺達は特別に休みを貰えたので家に帰って来ている。
「改めて! メイル・テュールです!! 神様から名前を頂いちゃいました!!」
おおお! と俺達は沸きたつ。
これからはまた一緒に暮らせる。
帰ってからもミュフィスはずっと泣いている。
ライラは眩しい笑顔を振りまいている。
「おかえり、メイル!」「おかえり! メイルちゃん!」
「はい! ただいまっす!!」
「それで……帰って早々お願いがあるんですが……」
「なんでも言ってみろよ、叶えるよ」
「私を! 鍛えて欲しいっす!!」
!!
「メイルちゃん……」
ミュフィスが泣き止んだ。
「私が強くならないと、また皆を心配させてしまうっす……」
「分かった」
「レイ! お願いします!! 指導をつけてください!!」
「分かったよ。早朝と深夜、メイルに指導をつけてやる」
「本当っすか!?」
「ああ、本当だ」
「レイ―!!」
また思い切り抱き着かれた。
甘えん坊な所は変わってないな……。
「ただし、俺は厳しいぜ? 泣き言は許さない、分かったか?」
「はい!!」
「じゃあ、ステータス紙を貰いに行かないとな」
「あ、テュール様から貰ってきました!!」
「お、準備が良いな。どれどれ……」
【勝利の戦女神】メイル・テュール
神人族 16歳 Lv.90 固有スキル: 戦女神の加護(戦女神の武器、防具、道具を作成可能。戦女神の力を宿す。悪魔種に対して特攻効果あり)
剣術SS,力S,魔力S,耐久S,魔法耐性SS,速さSSS,幸運SS
「つ、強いな……」
「奮発して貰いました!!」
「親バカというかなんというか……」
しかし、メイルが強くて困る事は何もない。
むしろ俺を超えて強くなって欲しいとも思っている。
「剣か……ハイルさんやバアルにも指導お願いしてみるよ」
「お願いします!!」
「このステータスなら来年の騎士団入団試験は余裕で受かりそうだな」
「頑張るっす!!」
こうして俺達は久しぶりに揃った家族で楽しくお喋りをして、夕飯を食べて、一緒に眠り一日を過ごした。




