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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第七章 魔法師団編
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第82話 傘下

 200km走って、その日の訓練は終了した。

 フラム副団長でさえも少し疲れたと言っていた。

 帰ってミュフィスとライラと一緒に夕飯を食べて俺はすぐに眠りについた。


 夢を見た。

 炎の巨竜の前に俺は居た。

「あのファヴニールに盾突く存在を久しぶりに見たぞ」

 不思議とこの、竜からは威圧感や恐怖を感じることは無かった。

「……俺は馬鹿だったよ」

「いや、お前の判断は正しい。魔王はお前達が入国した際から目をつけていた」

「……」

「逃げても確実に追って来ただろうな」

「そうか……」

 自分の判断が間違ってはいないと言われ、少しだけ気持ちが楽になる。

「それで? 悪魔種と天使種のどちらを選ぶ?」

「選ぶ?」

「魔王城での戦い、見事であったと我らの主神テュール様がお前を認めている」

「テュールって……戦いの神と言われているあの?」

「そうだ、我もテュール様の傘下に入っている」

 こんな強そうな竜でも誰かの下につくのか……。

「お前は竜だ。分類上は魔族、魔族は今四つの勢力に別れている」

「俺は魔族だったのか……」

「月からの使者である狼、マーナガルム。戦いの神である、テュール様。雄牛の狂戦士、ベルセルク。暴君として君臨する氷竜ファーヴニル」

「神暦の大戦でもまた起こるのか?」

「いや、その四神は神歴の大戦で弱っている。それでもお前の知りえない理や知識を持っている」

「それで俺はどうすればいいんだ?」

「お前が悪魔種を望むなら、ベルセルクかファーヴニルの傘下へ行け。もし、天使種を望むなら、マーナガルムかテュール様の傘下へ入るといい」

 天使と悪魔か……。

 俺は悪魔みたいな人間だ……戦いを好み、恋人をこの手にかけた。

 だが、本当は誰よりも勇敢で、情に熱い、フラム副団長のような人に憧れている。

 俺は天使になれるだろうか?

 また、どこかで過ちを犯さないだろうか……?

「天使種になるとどうなるんだ?」

「善性に属性が変わる。そして、闘争本能が抑えられ、殺戮衝動や血を好むことは無くなる」

「悪魔種は?」

「残忍で狡猾な悪性へと進んでいく。命を奪うことに抵抗がなくなると言ったら分かりやすいか?」

「なら、俺は天使種を選ぶよ」

「それはテュール様の傘下に加わるということだな?」

「ああ、テュール様にはよろしく言っといてくれ」

「では、明日すぐに教会へ行け。クラスチェンジをしてくるといい」

「分かった、ありがとな」

「ではな、ドレイクよ」

 

 目覚めると朝日が昇り始める時間だった。

 俺は教会へ行く準備をする。

 クラスチェンジか……何になるんだろうな。

 少しワクワクしながら家を出る。

 

 エストア教会。

「おはようございまーす」

 まだ朝早いがシスターも神父さんもいるはずだ。

 重たい扉を開いて中へと入る。

「おはよう」

 神父さんから挨拶をされる。

「クラスチェンジをお願いします」

「では、祈っていきなさい」

「ありがとうございます」

 俺は礼拝堂の席に座って深呼吸をする。

 両目を閉じて両手を合わせる。

 意識が暗闇へと落ちていくのを感じながら、俺は暖かい光のようなものが胸に入ってくるのを受け入れる。

 ……。

  

 光だ。

 晴天の空、緑豊かな草原に俺はいた。

 木々には鳥が止まり林檎をつついている。

 周りには花が咲き乱れていて、蝶が飛んでいる。

 暖かく幸せな気持ちが湧き出てくる。

 あれ? 俺は……初めて幸せな気持ちを感じたかも……。

 恵まれているという感覚はあったが幸福だったかを問われると難しい。

 今感じている気持ちは、今までの人生で触れてこなかった気持ちだ。

 草原に背中から倒れてみる。

 暖かく、優しい気持ちが溢れてくる。

 自然と笑みがこぼれた。

 空から天使達が舞い降りてくる。

 ハープの音色が心地いい。

「君にふさわしいクラスを選んできたよ!」「うん! お似合いのね!」「受け取ってくれると嬉しいな!」

「ああ、受け取るよ。ありがとう君達」

「じゃあ、目覚めたらテュール様へ祈ってね!」

「分かった、テュール様へお祈りするよ」

「じゃあ、僕達は行くね!」「ばいばーい!」

 天使達は空へと昇っていき俺は深い眠りへついた。

 

「ん? 寝ていたか……」

「一時間ほど経ちましたよ」

 シスターさんが微笑み教えてくれる。

「ありがとうございます、シスターさん」

「いえ、気持ちよさそうに眠っていましたよ?」

「あはは」


 俺は早速テュール様へとお祈りする。

「テュール様……どうか私を導いてください……」

 目をつむってお祈りをしていると、シスターが声をかけて来た。

「あら? 前のドレイクさんに戻りました?」

「え……?」

「角も爪も、元に戻っていますよ?」

 試しに頭を触ってみる。

 本当だ、角が無くなっている。

 爪も元の色に戻り、尾も消えた。

「本当に戻ったのか……?」

 多分クラスチェンジのおかげだろう。

「神父さんにステータスを聞きたいのですがいいですか?」

「はい、では呼んできますね」

 少し待つと神父さんが来る。

「おお、ドレイクよ。すっかり優しい顔になったな」

「そうですか?」

「前は危うい眼をしておった……今は慈愛に満ちた眼をしておる」

「そうでしたか……」

 確かに自分でも穏やかな心になった気がする。

「ほれ、ステータス紙じゃ」

「ありがとうございます」

 

 【戦神の守護者】ドレイク・ランドロック

天使種、神竜族 20歳 Lv.107 固有スキル、神竜の加護(一時的に莫大な力を発揮、付与する)、英雄竜召喚(ジャバウォックを召喚できる)、戦神テュールの加護(戦神テュールの武器を生成可能)

神竜術S,斧術S,剣術A,雷魔法S,力A,魔力A,耐久B,魔法耐性A,速さS,幸運SS


「おお、色々変わっているな」

 俺はステータス紙を見て驚いた。

 色々分からないことだらけだ。

 とりあえず訓練場で色々試すか……。

「神父さん、ありがとうございました」

「またいつでも来なさい」

 お辞儀をして教会を後にする。

「さてと、朝の訓練に行くか!!」

 俺は新しい自分に生まれ変わり、気分良く訓練場に向かうのであった。

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