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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第七章 魔法師団編
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第81話 副団長

 星歴3020年8月。

 俺はディアス先輩と王城の廊下を歩いていた。


 先輩は上機嫌だ、兄のロディスと再会できて嬉しいんだろう。

「いやー、しかし兄貴が情報屋として生きてたなんて驚きだ」

「そうですね、しぶとく生きてましたよ、ロディスは」

 談笑しながら歩いていると俺が今一番会いたかった人が前から現れる。

「おはよう、ディアス、ドレイク」

「おはようございます! グレース様!」「おはようございます」

「ディアス、良いことでもあったか?」

「はい! それが……」

 ディアス先輩は兄の話でフラム様と盛り上がっている。


「じゃあ、俺は先に……」

「待て」

 フラム様に呼び止められた。

「ディアス、お前の話はまた暇なときにでも聞かせてくれ」

「はい!」

「ドレイク、何があった?」

 どうやら俺に何かがあったとバレているようだ。

「メイルを、戦争に巻き込み、亡くしました……」

「そうか……魔王か?」

 !!

「はい…… 魔王にしてやられました……俺が、暴走していなかったら……!!」

「ドレイク」

「何ですか?」

「魔法師団に来る気はあるか?」

 !!

「……え?」

「前にも行ったが、お前はもっと周りを頼る事から始めろ」

「周りを……?」

「そうだぜ? 書置きだけしていきやがって。今度危険な場所に行くときは、まず俺に相談しろよ?」

「ディアス先輩……」

「私も同じだ、可愛い後輩を一人で死地に向かわせてしまった……私の責任でもある」

「フラム様……」

「まったく、世話のかかる後輩だ」

「本当にな」

「でも、魔法師団にというのは?」

「お前は前に前に進みすぎだという訳だ。もう一度、私の団で仲間と共に成長しろ。いいな?」

「分かりました……」

 頭をグシャっと撫でられる。

「魔王と戦いよく生きて帰って来たな……流石、私の右腕だ」

 !!

 俺は恵まれすぎている。

 頼りになる先輩がこうやって声をかけてくれている。

 今度こそ、期待に応え、一からまた歩んでいこう。

「よろしくお願いします!! フラム副団長!!」

「俺もよろしくお願いします!! グレース様!!」

 俺とディアス先輩で深くお辞儀をする。

「今日はミーティングとする。お前の団員を魔法師団、第一修練場へ集めておけ」

「はっ!」

 

 魔法師団第一修練場。

「久しぶりだね、ドレイク」

「ジークさん!」

「懐かしいな!」「元気してたか?」「うちの訓練はきついぜ?」

「皆!」

 俺達は早速歓迎されていた。

「ねえレイ、フラム副団長ってどんな人?」

 ミュフィスが俺に聞いてくる。

「俺の最も尊敬している人で、情に熱い人だよ」

「……怖かったりする?」

「怖くないさ、厳しいけど誰にでも優しい人だよ」

「私話したことないからちょっと緊張してるかも……」

「大丈夫さ、きっとすぐに慣れるよ」

「ねえ?」

「何?」

「レイ、優しくなった?」

「え?」

「前よりも口調が優しいから……」

「どうなんだろ……でも、以前よりはピリピリしてないかもな」

 ははっと笑う。

 ミュフィスと話しているとフラム副団長が修練場へ入ってきた。

「全員揃っているな。今からミーティングを始めるぞ!」

「はっ!」

「では、ジーク頼む」

「まず、竜導師団の団員は全員、今日から魔法師団の団員となります」

 これは俺から団員たちへとすでに伝えている。

「そして、主要の団が聖騎士団と魔法師団、二つになったという事で、どちらの団も補佐を三人選ぶことになりました」

 三人か……。

「まずはディアス! 前に出ろ」

「はっ!」

 ディアス先輩が呼ばれて前に行く。

「続いてドレイク! 前に」

「はっ!」

 内心驚いたが前へと出る。

「そして、ジークの三名だ。この三名を私の補佐として! 魔法師団は新しく活動していく事となる!」

 拍手が起きる。

「ドレイクについては悩んだ、心が成熟していないからな」

 グサリと言葉が刺さる。

「じゃあ、実質俺の方が補佐としては上だという訳だ」

 ディアス先輩が肩を組んでくる……何も言えない。

「だが、頼れる男ではあるのが確かな事実だ。団員は何かあったらまず先に私達を頼れ! 困りごとでもいい、小さな悩みでもだ」

 皆が真剣にフラム副団長の言葉を聞いている。

「では今日も訓練を始めるが……」

 何だ?

「ディアス、何がやりたい?」

 ニヤリと笑みを浮かべてあえてディアス先輩に聞いている。

「決まっているじゃないですか。水臭いですよ、グレース様」

 竜導師団にいて魔法師団員じゃなかったマシュアやミュフィス達は?マークを頭に浮かべている。

「200km走! 行くぞおらあ!!」

 !!

「伝統行事来たぁ!!」「祭りだぁ!」「そうこなくっちゃ!!」「馬鹿! やめとけ! 死人が出るぞ!!」

 なんてことだ……100kmでもきついのに200kmだなんて。

「今日は天気がいい。外の訓練場で行うか、各自準備をしろ!」

 皆パニックになっている。

 え? 今から本当に200kmも走るのかと。

「レイ、本当に200kmも走るの?」

 流石のミュフィスもひきつった笑みで聞いてくる。

「ああ、やると言ったらやる。あの人はそういう人だ……諦めてくれ」

「燃えて来たああ!!」「中々面白いな!」

 ジノとバアルはこういう過酷な訓練が好きだから燃えている。

「よっしゃ! レイ! どっちが先にくたばるか! 競争だ!!」

 ええ……くたばる前提なのか……。

 フフッと笑いが出る。

 !!

 あれ? 俺、あの日から初めて笑ったかも……。

「行くぞレイ! 俺より先にばてるなよ?」

 バアル……。

 よし!!

「お前らがばてたら背負って運んでやるよ!!」

「言ったな!」「そうこなくては!」

 ミュフィスとライラはその光景を見て安心していた。

 レイがまた笑って過ごせる日々が来たんだと……。

「ミュフィスお嬢様、行きますよ」

「うん! 頑張ろうね! アイルース!」

「ライラお嬢! きつくなったら私が運びます!」

「ありがとう! ウィゼル!」

 こうして、地獄の200km走は開始されたのであった。

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