第71話 決心
俺はやることがあって玉座の間へと来ていた。
「してドレイクよ、望みとは?」
「獣化の方法を聞きに来ました」
そう、獣化の方法を俺は知らない。
「なるほど、竜の身体になったという事はお主も獣人、やってみる価値はあるな。副団長就任祝いだ、特別に許可しよう」
俺はこの先、もっと強くならなくてはならない。
「では、玉座へ」
陛下が玉座から立ち、俺は入れ替わるように座る。
「神代の神々よ! 啓示を示せ!!」
意識が暗闇へと吸い込まれていく。
……。
ここは……。
満天の星空に足元は湖、以前にも訪れたことがある。
歩いていると何かが聞こえる。
「グルルルルルルルッ!!」
!!
そこには白色の巨竜がいた。
ゴクリ……すごい迫力だ……。
「ドレイク・ランドロック、久しいな」
「久しぶりだな」
「三年ぶりか」
「そうだったかな? だけどお前を見るのは初めてだ」
「Lv.100……それは強者である証明、強者には敬意を払うというものだ」
「懐かしいな……あの時は確かに弱かった。でも、弱いままじゃこの先仲間を守れない」
「グルルルルルッ」
沈黙が訪れる。
「力が欲しいと?」
「獣化について教えてくれないか?」
「獣化……獣族が持つ特性の事か……」
「ああ、詳しく聞きたい」
「血だ」
「血……?」
「血を操る事で獣族は獣化する、魔法ではない」
「魔法じゃないのか……」
「貴様の血は、人間の血五割の、王竜の血が五割」
「それを変えるって事か……?」
「いや、王竜の血は確かにあるが、眠っておる」
「眠る……?」
「竜の血は、神代より受け継がれてきた誇り高い血統の証明」
「俺の格が足りないと?」
「そうだ、貴様には格が足りん。現世で格の高い者に力を認められないと、獣化は完成しない」
「格の高い……」
「例えば、氷竜ファヴニールのような神話に出てくる竜だ」
!!
俺はその竜を知っている、昔物語で聞いたことがある。
氷竜は確か、とある洞窟で眠りについているとか……。
「ヴァンに聞けばわかるだろう」
「ヴァンに聞けばその氷竜がどこにいるのか分かるのか?」
「あやつも今は成竜、同族を嗅ぎ分けるくらいには鼻が利く」
「それで? 認められる方法は?」
「決闘しかあるまい」
……決闘か。
「分かった、俺は準備したらこの国を発つ」
「ああ」
「では、また会える日を楽しみにしている」
「またな」
意識が戻る。
玉座から立ち上がり陛下に礼を言う。
「ありがとうございます、陛下」
「よい、して方針は決まったか?」
「はい、しばらくこの国から出ます」
「ドラゴニアにはハイルもフラムもいる。安心して行ってこい」
「はっ!!」
団員達には悪いが書置きしておこう……。
俺は早く氷竜を探して力を認めてもらう、今はそれだけに集中しよう。
「では、行ってまいります」
「気を付けろよ」
「はっ!!」
こうして俺はしばらくの間、国を空けることになった。
一度家に戻る。
「ただいまー」
「おかえりー!」
三人とも既に仕事の準備をして動こうとしている所だ。
「悪い、俺しばらく国から出るわ」
!!
「なんで!!?」
ミュフィスが驚く。
俺は事情を説明した。
「そっかぁ……」
見事に三人ともしょんぼりしている。
「まあ、一年も経たずに早く帰れるかもしれないし……すまないな」
……。
「あ、メイルだけ連れてっても良いか?」
!!
「行くっす!!」
バタバタとしっぽを振り目を光らせるメイル。
「赤ちゃんできそう……」
ジーっと二人が視線を送ってくる。
「避妊はしっかりするよ……」
「本当に?」
「本当だ、結婚するまでは子供は作らないって約束だからな」
「なら、いいけど……それにメイルちゃんに着いていってもらった方が変な女も寄ってこなさそうだし……」
「私もメイルちゃんが一緒の方が安心かも!」
決まりだ。
「じゃあ準備したらすぐに発つから、団員にはよろしく伝えといてくれ」
「はーい! 気を付けて行って来てね!」
「おう!」
笑顔で離れることができて良かった。
そうして俺は庭にヴァンを呼んだ。
「やあ」
「ひさしぶりだな」
「ヴァンちゃん久しぶりー!」
「氷竜のいる場所まで連れてってくれ!」
「氷竜……?」
なんだ? 様子がおかしい……。
ガタガタと震えだすヴァン。
「ファヴニール様……だよね?」
「ああ、そいつだ」
「な、何しに行くんだい……?」
「決まってるだろ、決闘だ」
「それは辞めといた方が……」
?
「何言ってんだ、俺は負けないぜ?」
「うーん……レイが良いなら連れて行くけど……」
「よし! じゃあ行くぞ!!」
「おーー!!」
「ファヴニール様か……」
なんか歯切れの悪いヴァンは置いといて、氷竜ファヴニールを探しに行く旅が始まった。




