第70話 竜導師団
竜導師団第一会議室。
「では、ミーティングを始める」
俺は慣れないが団員の前に出て取り仕切っていた。
「まず始めに補佐を決めたいが……これはもう決めてある」
すると皆の視線が一人に集まっていく。
「やらせて頂く」
そう、マシュアだ。
実力的にもLv.100、反対の声はない。
「よろしく」
「ああ」
握手を交わす。
「じゃあ次に、自己紹介をって必要あるか?」
「あります!!」
刀刃が声を出す。
「そうか、じゃあ一人ずつ反時計回りで」
「マシュアです」
「はい! ミュフィス・フロージアです!! よろしく!」
「アイルース・ディーネルです」
「ライラ・アミュスフィアです! よろしくね!」
「ウィゼル・フリッドです」
「ジノ・ウォルターだ、よろしく!」
「バアル・ローマンだ」
「レベッカ・クライツです!!」
「時雨だ!! よろしく頼む!」
「刀刃です! よろしくお願いします!!」
「ワーグル・ブラックです! お願いします!!」
「ナーシャ・ハーミスです…… よろしくお願いします……!!」
「ユミア・クロードです! よろしく!!」
「ディアス・ブルーグです、素敵なお嬢様方は私が守ります」
「ドレイク・ランドロックだ、よろしく」
これで総勢十五名、少ないがまあそこは追々だ。
自己紹介も済み、次の議題へ入る。
「じゃあ明日は午前休みにするから皆ステータス紙を持ってきてくれ。この会議室に一ヵ月置きに貼りだす、それを見てどれくらい成長しているのかを見比べたい」
「はい!」
「後は、ライラはナーシャへ聖魔法を指導してやってくれ」
「うん!!」
「それと、俺の団はもう一人補佐を付ける」
!!
「俺がまだ副団長になって間もないからと、フラム様からの提案だ」
俺はフラム副団長の事をフラム様と呼ぶことにした。
「そして補佐は……ディアス先輩」
「……私でしょうか? ドレイク様」
「そう、この馬鹿が補佐を務める」
「誰が馬鹿だこの野郎!!」
ははは……といった苦笑いが起きる。
「冗談は置いといて、ディアス先輩には俺の補佐になってもらいます」
「本当に俺が……?」
「はい」
「そうか、じゃあ引き受けよう!」
「お願いしますね? 補佐降格もあり得ますから」
「な、何いいい!?」
あははーと今度は普通の笑いが起きた。
ウケたな……と先輩とアイコンタクトする。
「もう時間だし……って朝の四時か」
どうするかと悩む。
「決めた。午後二時にまた会議室集合で、以上! 解散!」
皆疲れているのか早々に解散していく。
さて……俺は王都でやることがあるな。
王都三番街にあるバー、蛇の城。
ドアを開けて中へと入る。
ここは最近フラム様に教えられて、ディアス先輩と来たことがある。
マスターは蛇族で珍しい白蛇だ。
「マスター、蛇の卵を一つ」
「シュルルッ、カクテルで良いかな?」
「ああ、それで頼む」
ここは所謂情報屋だ。
今のマスターは三代目で五百年以上前からある店だとか。
だからここでは王都の騎士団と闇ギルドの抗争の歴史、情報が全て手に入る。
値段は結構高いが……。
「シュルルッ、エルダーフラワーのカクテルです」
「ありがとう」
カクテルへと口を付ける。
うん、結構度数はあるが美味しい。
「シュルルルッ、副団長就任おめでとうございます」
「ははっ……流石、耳が早いですね」
「シュルルッ、蛇はどこにでも現れますから」
ここのマスターは趣味でバーをやっている。
最初は自分の身を守るために色々なコネを使って情報を集めていたらしい。
そしていつの間にか周りから頼られるようになり情報屋を始めた。
Lv.80はある猛者だ。
それでもここまで用心深くしていないと王都では生き残れなかったということだ。
俺はしばらく酒と店内に流れている曲を楽しむ。
ふぅ……一人で息を抜ける場所があるっていうのは良いもんだ。
グラスを回しながら考える。
ゲルドは獣人、つまり裏で獣王国と繋がっていてもおかしくはない。
だとしたらこの先戦争だってありえる。
まあ、ゲルドがどんだけ偉いかによるが……確か部族の族長だったかな?
狙いはなんだ?
考えながらカクテルに映っている自分の眼を見る。
竜の眼、爬虫類といえばわかりやすいか。
俺も分類的には獣人だ。
てことはいつか獣化を習得できるのか……?
分からんことでいっぱいだ……。
グイッとカクテルを飲み干す。
すると一人お客さんが入ってきた。
「ずいぶん酔ってるね? 祝杯かい?」
「んん? ってハイルさんか……」
「マスター、同じのを僕にも一つ」
「シュルルッ」
マスターは手慣れた動きでカクテルを作り始める。
「君はいつもこういう場でもセーブしているように見えたけど、今夜は違うようだね」
「あはは……色々考えることがあって……」
「副団長の宿命さ、僕も団長になって最初の頃はよくマスターに愚痴を聞いて貰っていたよ」
「シュルルッ、エルダーフラワーのカクテルです」
そう言ってハイルさんもグラスを持つ。
「じゃあ、君の副団長就任に乾杯!」
「乾杯!」
二人して酒を飲む。
うん、美味しいねとマスターを褒めるハイルさん。
「で? 何か悩みかい?」
「悩んでいますね……今後の団の動きとゲルドの動きに」
「そうだね……僕も今それで悩んでいる所さ」
「ゲルドは何で裏切ったんでしょうか?」
「昔から影はあると思っていたよ、あまり馴染んでこないし」
「はぁ……考えてもわからない事が一杯だ……」
「シュルルルッ、ゲルドの生まれは黒狼族、何か故郷と関係しているのでは?」
「故郷……何かあったのかい?」
「シュルルルッ、なんでも竜に滅ぼされた一族だとか」
!!
「俺に腹を立てての行動か?」
「そんな幼稚な性格じゃないよゲルドは」
「じゃあ、なんで……」
「考えても仕方ないさ、今日は飲もう! 僕も頭が疲れてここに来たんだ」
「そうですね……飲みましょう!」
「いいね! マスター、おかわりをくれるかい?」
「シュルルルッ」
結局その後朝六時まで飲んで、俺は眠れずに王城へと足を運ぶ。




