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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第五章 ドラゴニア魔法騎士団編
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第68話 久しぶり

 星歴3020年6月。

 魔法師団第二修練場。

「おはようございまーす!」

 !!

「ワーグル!!」「戻ったか!」「身体は大丈夫か!!」

 皆がワーグルに駆けよっていく。

「なんとか無事でした……あはは」

「あはは、じゃねえよ! 心配させやがって!!!」

 ディアス先輩のヘッドロックだ。

「いだっ! 痛いですって先輩!!」

 わははーっと皆が笑っている。


 戻って来たんだな日常が……。

「ワーグル先輩……」

「刀刃、よく戦ってくれた」

「せ、先輩!!」

「時雨も! 偉かったぞ!!」

 刀刃と時雨の頭を撫でてやるワーグル。

「お前らもだ、ルーカス、ナーシャ、ルミア!」

「先輩……」

「今日からビシバシ行くから覚悟しとけよ?」

「はい!!!」

 やっぱワーグルがいないと始まんないな。

「で? 今日は何するんだ? 副団長補佐?」

「そうだな……フラム副団長も居ないし……100km走からかな」

「よっ! 待ってました!!」「名物来たー!」「鬼だな!!」

 新人強化もあるが、病み上がりのワーグルが走れるかも見なくてはいけない。

「じゃあ始めるぞ!!」

「おう!!」


 そして訓練は無事に終了した。

 今日は全員走りきることが出来たな、だが……。

 チラリと修練場を見渡す。

 そこには今にも死にそうなワーグルが倒れていた。

「はぁ! はぁっ!! ごほっ!」

「おいおい! 死ぬなよ?」

 ディアス先輩が心配している。

「だ、大丈夫です……このくらい走れないと……ごほっ!」

 まあ病み上がりにはキツイか。

 すると訓練場にフラム副団長が現れた。

「グレース様、お疲れ様です」

「ああ、調べ物をしに研究室に行っていた」

 何の調べものだろう……?

「皆! 集合!」

 ぞろぞろと集まってくる。

「前回ワーグルたちが戦った魔物の正体が判明した」

 ……?

「エクスポイズンスパイダーの希少種だ、毒が抜けきらないのは単に解毒できる方法がまだこの世にないからだ」

 希少種か……厄介だな……。

「ワーグル本人は分かっているだろうが……あいつが亡くなる日は近い……」

 フラム副団長が目をつぶり悔しがる。

 ……え?

 皆がワーグルを見る。

 ワーグルも自分を指さして僕? みたいな顔をしている。

「惜しい男を亡くすことになる……」

「あのー……」

「あいつにはまだ伸びる余地があるというのに!」

「あのーー!!!」

 フラム副団長がワーグルを見た。

「ワーグルか……?」

「はい」

「全員の顔を見渡す」

 皆が頷く。

「毒はどうした?」

「ドレイクから竜の加護を貰ってそれで……」

「竜の加護……治ったのか?」

「はい! さっき100km走りましたよ!」

「そうか……よく……!! 戻ってきた!!」

「グレース様……!」

「退院おめでとう!」「これからもよろしく!」「先輩かっこよかったですよ!!」

 うん、俺はこの魔法師団にいられて本当に良かった。

 情に熱いフラム副団長に暖かい皆、最高の団だ。


 それからは久しぶりに全員が揃ったということでダンジョンでの成果報告をする。

 フラム副団長は国王陛下に呼ばれているらしく。この後と明日は自主練となった。

 自主練は参加自由だ、一日は家族の為に時間を使おうかなと考えている。

 今日は後二時間くらいで切り上げようと思っていたら……。

 急に周りが騒がしくなり始めた。

「ドレイク先輩!!」

 刀刃が走ってくる。

「何が起きた?」

「侵入者です!! 今聖騎士団の修練場で騎士が応戦しています!!」

 !!

 ……侵入者?

「今行く!!」

 団長と副団長が国王陛下に呼ばれているこのタイミングで?

 とりあえず現場へ向かおう!


 聖騎士団第二修練場。

 ギィイイイイインッ!!

「チィッ!! なんだこいつら!!」「まるで歯が立たねえ!!」「ぐあああああっ!!」

 そこは血だまりだった。

 屈強な騎士七名が三人組の侵入者相手に殺された。

 相手は無傷でこちらは押されている……。

「クソッ!! つええ!!」

 相手は低く見積もってもLv.95……しかも身体能力が尋常じゃない。

 認識妨害のフードを被っていて、正体も武器の間合いも測りづらい。

 一番厄介なのはあの真ん中の大男だ強すぎる……!

「大丈夫か!!」

「レイ!」

 俺がそこに到着したときには既に十名近く騎士がやられていた。

「嘘だろ…… おい……」

「レイ! 相手はかなりつええ! 油断するなよ!!」


 違う、ジノが忠告してくるがそうじゃない。

「なんで……」

「どうした!?」

 ディアス先輩が続いて到着した。

「なんであんたが! ゲルド副団長!!!」

 !!!

「ゲルド副団長だって!?」「嘘だろ……!!」「どうして……」

 相手は沈黙を貫いている。

「沈黙かよ……だったらそのフード……」

「ああ、俺だ」

 大男がフードを脱いだ、そこには獣化したゲルド副団長がいた。

「副団長……? どうして!!」

 ジノが叫ぶ。

「ずっとだ」

「え……?」

「ずっと、俺はお前らの仲間じゃあない」

 !!

「気づかなかったかよ? ハイエルフを介入させたのは誰か? 闇ギルドに情報を渡していたのは誰か?」

「それは……」

 気づかなかったんじゃない、分からなかったんだ最後まで。

 誰か確実に裏切り者がいるのは確信していた。

 だけどゲルド副団長……いや、ゲルドがそうだったなんて。

「俺は五十年もこの騎士団にいる、まあ気づけなくても仕方ねえか」

「ゲルド……!! てめえええ!!」

 ジノが駆けていく! 速いが!!

「ヴァイト、殺せ」

「ふぅ……なんで俺が……」

 右にいた男がフードを取る。

 狼族だ、しかも見たことがない。

 ヴァイトがジノに向かって駆ける。

 向こうの速さが上だ。

「どけええ!!」

 ジノがハルバードに風を纏わせ一気に相手の胴体目掛けて槍を放つ!!

「おっと! 危ねえな!」

 ヴァイトと呼ばれた男はその一撃を躱した!

 マズい!!

「じゃあなっ!!」

 ヴァイトが鋭い爪を持ってジノにカウンターを放った。

 ザシュッ!!!

 腕が宙に舞った。

「ジノ!!!!!」

「いでええええええええええっ!!!」

 !!

 ヴァイトだ、ヴァイトの腕が宙に飛んで地面に落ちた。


 俺は後ろを振り返る。

「解せんな」

 マシュアがいた。

「マシュア……助かった……」

 ジノが後退して戻ってくる。

「へえ……良い弓兵に育ったじゃねえか……Lvは?」

「先日Lv.100になったばかりだが、貴様の首を取るぐらいの実力はあるつもりだ」

 マシュアがLv.100に!!

「おもしれえ、だが遊んでいる暇もなくなってきたようだ」

「逃がさんぞ」

 そう言ってマシュアは次の矢を構える。

「マシュア、合わせるぞ」

 アイコンタクトしなくてもわかる、マシュアとは長年共に戦ってきた仲、そして最も信頼を置ける戦友だ。


 俺はゲルド目掛けて一気に駆ける。

「邪魔だぁ!!」

 もう一人のフードを被った男が止めに来る。

 だが……。

 マシュアの放った矢がフードの男の頭へと突き刺さる。

「ぐああああああっ!!」

 そいつには一瞥もせず、俺はゲルドの間合いに入り右爪を振るう!

 ギィイイイイイン!!

「ははっ! 悪いな! 俺もこの間到達した!!」

 ゲルドもLv.100か!!

 一旦距離を取る。

 マシュアの矢がゲルドの首を捉える。

「効かねえよ!!」

 飛来した矢をゲルドが噛み砕く!!

「ハハアッ!! 俺様が警戒を怠るわけないだろ?」

 ちっ!!

「おいヴァイト!! 逃げるぞ!!」

「てめえら……次合ったら殺す!!」

「待て!!」

 するとゲルドとヴァイトは屋根に飛び移り消えて行った。

 くそっ!!

「何が起きてる!!」

「フラム副団長!!!」

 遅かった……ゲルドにしてやられたな……。

 そしてこの夜、騎士団全員に緊急招集がかかった。

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