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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第五章 ドラゴニア魔法騎士団編
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第65話 エラー

「刀刃は僕に続け!! 時雨は中衛に下がれ!!!」

 そういってワーグルは駆け出す!

 速い!!

 この人、前の模擬戦では魔法を駆使する頭脳派の人だと思ってたけど、僕と同じくらいには速い!!


「蜘蛛野郎!! くらえっ!!!」

 ワーグルは長杖を構えエルダースパイダーの横にそれる。

「喰らいつくせ!! エルダーゴースト!!」

 牙の生えたゴーストが五体召喚される。

「行けっ!!!」

 ゴーストたちがエクスポイズンスパイダーの脚を喰らい始める。

「キイイイイイイイイイイイィッ!!」

 蜘蛛が振り払おうとするがゴーストには当たらない。

「ははっ! 効いてるぞ!!」

 今はワーグル先輩に合わせて脚を狙う!!

 エクスポイズンスパイダーがゴーストに意識を削がれているうちに反対方向へ回る。


 今なら斬れる!!!!

「せああああああああああっ!!」

 まずは一本!!

 ザンンンンンッ!!!

「ルーカス! ルミア! 援護!!」

「ロックランス!!」「フレイムランス!!」

 魔法がエルダースパイダーに放たれる。

「キイイイイイイイイイイイッ!!!!」

「よしっ効いてる!!」

 刀刃は手ごたえを感じた、勝てる!! そう思った。


 すると目の前にエルダースパイダーの牙が迫っていた。

「刀刃!!!!!!!!」「兄者!!!!!!!!!」

「ぐっ!!!!」

 何者かに押されて刀刃は背中から地面に落ちた。

「ワーグル先輩!!!!!!!!」

 ナーシャの悲鳴だ……え……?

 そこには右足を喰いちぎられたワーグル先輩がいた。

「先輩!!!!!!!」

「動揺するな!!!!!」

 !!

「ハイポーションは持ってる、まだ動ける」

「でも……」

「勝つんだろ!!?」

「っ!!」

「勝ってグレース様に皆で自慢するんだ!! 僕たちでボスを倒したと!!」

「先輩っ!!」

「安心しろ……僕は……簡単に死ぬような男じゃない……!」

 先輩……泣いている場合か!! 絶対にエクスポイズンスパイダーを倒す!!

「刀刃!! 注意を引け!! 僕の魔法でやる!!」

「はい!!」

「私も行きます!!」

 !!

「そうか……時雨!! 頼むぞ!!」

「はい!! 先輩!!!」

「こっちだ蜘蛛野郎!!」

 刀刃と時雨がワーグルとは反対に行き注意を引く。

 ギィイイイイン!!

 刀刃が吹き飛ばされる。

「兄者!!! よくも!!!」

 時雨が斬りかかるが脚の耐久度の方が上だ。

 弾かれる。

「クソッ!!! くっそおおおおおおお!!」

それでも斬り続ける、絶対にワーグル先輩の元へは行かせない!!

「ロックランス!! おいこっちだ馬鹿野郎!!」

「フレイムランス!! あたし達もいるよ!!」

 刀刃……皆……ありがとう……。


 ワーグルは詠唱を始める。

「顕現せよ!!! 神代の闇よ!!」

 闇だ。

 闇の巨人が現れる。

「一撃で!! 屠れぇ!!!!」

「キィイイッ!!」

 こっちを脅威と感じたのかエクスポイズンスパイダーが向かって来る。

 ワーグルの杖ごと右肩に噛みつかれる。

「ぐぅぅぅっ!!」

「先輩っ!!!!!!!!!!」

「後は、頼んだ……!……」

「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオォ!!!!」

 闇の巨人が吠える!

 一撃。

 一撃でエクススパイダーは肉片と化した。

「先輩!! ワーグル先輩!!」

 ナーシャが聖魔法で傷を癒す。 

「グランドヒール!! 駄目!! 毒が!!!」

 「先輩!!!!!!」

 そこでワーグルは意識を失った。

 ははっ、僕もグレース様みたいにかっこよく戦えたかな……?


 あの御前試合の日だ……僕はグレース副団長の魔法に心を奪われた。

 洗練されたどこまでも無駄のない魔法。

 僕もいつかそこにたどり着きたかった。

 同期にドレイクっていうすげえ奴がいる。

 いつだってグレース副団長に褒められるのはドレイクだ……。

 僕は一度も褒められた経験がないって言うのに……。

 あの日を境に僕は死ぬ気でいや、実際死にかけながら魔法の鍛錬に励んだ。

 絶対に振り向かせてやるとそう誓ったんだ……僕なりに頑張ったよ……毎日……毎日……

 それでもドレイクとの差は埋まるばかりか離れていく一方。

 今やフラム副団長の右腕だ……凄いじゃないか……

 僕だってなりたかった!! 僕だって憧れのあの人の隣に立ちたかった!!!

 死ぬのは怖いよ……でも、最後にあの人が大切にしてきた仲間を守れただけでも脇役の僕は十分仕事をしたよね……?

 ああ……最後にもう一度だけ僕の魔法で笑って欲しかったな……。


 エストア病院第一手術室。

「急げ!! 輸血をしろ!!」

「毒が回りすぎてます!! 聖魔法で延命を!!」

「私がやる!!」

「誰だ! 今は手術中だ!! よそ者は出ていけ!!!」

「エルフの秘儀で助ける!! 必ずだ!!!」

 !!

「だから今すぐ私に任せろ!!」

「助かるのですか……この状態から?」

「このゼイルース・ディーネルは約束をたがえたりしない、絶対だ」

「お願いします!!」

「どけ!」

 するとゼイルースは詠唱に入る。

「エルフの宝樹よ……あの時の誓いを……ここに神々の奇跡を!!」


 第一手術室前。

「……」

「フラム副団長、少し休まれては?」

「私を気遣うな……それよりもワーグルだ……あの馬鹿、私の詠唱を真似してただで済むと思っているのか!!」

「俺が」

「私の責任だ!! 私のせいで今ワーグルは……」

「……」

 ワーグルは右腕と右足を失い、しかも魔力の暴走で体内の内臓が酷く損傷している状態で病院へと運ばれた。

 生きている間にダンジョンを抜けれたのは奇跡……いや、ワーグルの頑張りである。

「ワーグル……」

 今は俺とフラム副団長だけが手術室の前にいる。

 さっきゼイルースさんが入っていったがエルフの秘儀を使うらしい。

「頼む……助かってくれ……ワーグル!」

 するとドアが開いた。

 うなだれていた顔を上げるフラム副団長。

「グレース様、彼は無事に一命をとりとめました」

 !!

「今は気を失っているので病室へと運びます」

「っ!!! よくやってくれた!!」

「グレース様……」

「あの馬鹿は私の大切な団員なんだ……助けてくれて感謝する」

そう言って深く頭を下げるフラム副団長。

「グレース様……」


エストア病院第一病室。

「ん……」

 あれ……ここはどこだ……?

「あ、朝か……」

 日差しが眩しい……。

 カーテン閉めてなかったけ??

 目を開ける、そこにはグレース様がいた。

 !!

「グレース様……」

「怪我は大丈夫か?」

「怪我……?」

 そうだ、思い出した……俺達はエクスポイズンスパイダーに……。

 !!

「刀刃達はどうなりました!?」

 勢いよく身を起こす。

 あれ? どこも痛くない……?

 じっとこちらを観察してくるグレース副団長。

「あ、あの……」

「怪我は大丈夫のようだな」

「は、はい」

「新人は無事だ」

「よかった……」

「ワーグル」

「?」

「よく、団員を守ってくれた」

 !!

「お前のおかげだ……感謝するよ」

「グレース様!!」

 涙が止まらなく溢れてくる……。

「私がなんでも願いを聞いてやろう」

「なんでもですか?」

「ああ、なんでもだ」

 だったら決まっている。

「だったら……僕に魔法を教えてください!!」

「それでいいのか?」

「はいっ!! お願いします!!!」

 頭を下げて懇願する、二度とないチャンスだ。

「ワーグル」

「?」

「私は厳しいぞ?」

「はい!!!!!」

【常闇の魔道士】ワーグル・ブラック

人族20歳 Lv.96 固有スキル:隠蔽(姿、気配、音を隠す)

闇魔法SSS,杖術SS,魔力SSS,力SS,速さSSS,耐久SSS

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