第63話 ダンジョンへ
魔法師団第二修練場。
「おーっす」
「ディアス先輩って……何ですかその剣??」
「おー! 良く気づいてくれた、刀刃!!」
「そんな大きい剣持ってれば気づきますって……」
「これはクレイモアだ!」
「クレイモア?」
「ああ、両手剣の一種だな」
それを軽々と持っているディアス先輩。
俺はディアス先輩がクラスチェンジに行ったことを知っているから特には驚かない。
「ディアス先輩って剣も使えるんですか?」
「昔は剣士だったんだぜ?」
「おお!」
「まあ、盾も使うがな」
すると盾を見せてくる。
「重くないんですか??」
「慣れだよ慣れ、重さは正義!! ってな!!」
ブンッとクレイモアを振り回す。
確かに重い武器は強い、これは俺も同感だ。
素振りを観察する、へぇ……確かに違和感ない動きをしているな。
「じゃあ先輩、一本やりましょうよ」
刀刃がディアス先輩に試合を申し込んだ。
軽く吹き飛ばされる未来が見える……。
「いいぜ! やるか!」
俺は静観していることにした。
二人が距離を開けて対面する。
「いつでもいいぜ!!」
「じゃあ行きますよ!! っと!!」
喋り終わるくらいには刀刃は駆けていた。
相変わらず速いな……。
するとディアス先輩の剣が黒くなっていた……なんだあれは?
「悪いな刀刃!! 復帰一発目の生贄になってくれや!!!」
そして刀刃がまだ半分も行ってない距離にいるうちに、先輩は剣を振るう!!
あの大きさでこの剣速か……何が起きる??
すると剣身から衝撃波が飛んでいく!!
!!
咄嗟に刀の峰で防いだ刀刃は、威力を殺し切れずに後ずさりする。
そこには既に詰めてきているディアス先輩が……。
これはキツイか……。
「貰ったぜ!!!」
刀刃に向けての大振り、吹っ飛ばす気だな……。
「クソッ!!」
それも峰でガードするが吹き飛ばされる。
「ゴホッ!! ゴホッ!!」
壁に背中から衝突し、肺から息が押し出される。
「勝負あり! ディアス先輩の勝利!!」
俺が判定を下す。
「よっしゃあ!!」
「ク……クソッ……!!
「刀刃の弱点はやはり魔法だな……魔法を何とかせんと近づくことすらできない」
俺やディアス先輩なら魔法を放たれても威力に押し負けず、そのまま走れる。
だが刀刃はガードするたびに後ろへ後ろへ追いやられてしまう、軽い魔法でもだ。
「刀刃! こっちへ」
「は! はい!!」
俺は刀刃を呼び出しアドバイスをする。
「お前は魔法を馬鹿正直にガードする癖がある、魔法を斬るんだ。形を保てなくなった魔法は威力も消える、常識だ」
「失敗したらと思うと勇気が出なくて……」
そう言って目を伏せてしまう刀刃。
「何が怖い?」
「先輩は怖くないんですか?」
「俺は自分に自信がある」
「自信ですか……?」
「そうだ、刀刃には自分の実力以上の自信が無い、普通はお前くらい強ければ少しは調子に乗るものだ」
「それは……」
「分かった、お前には実戦経験が圧倒的に足りない。練習で強くて本番に弱いタイプだ」
「じゃあ、どうすればいいんでしょうか……??」
「ダンジョンに行くぞ」
!!
「なんだかんだあって行けて無かったが、明日からダンジョンに潜る」
「お! 面白そうだな!! 俺も行くぜ!!」
「ダ、ダンジョン……」
刀刃に足りないのは命のやり取り、純粋に、死ぬのが怖いのだ刀刃は。
「ルーカス、時雨、ナーシャ、ルミアも連れて行く」
「いいね、そういう事だドレイク」
ディアス先輩がうんうんと頷いている。
「新人研修と行こうぜ」
そういって俺はニヤリと笑う。
翌日。
時刻は朝の八時、皆が集合する時間だ。
「おーい!!」
最後の一人ディアス先輩がやってくる。
「じゃあもう一度おさらいだ」
今回のダンジョン攻略について話す。
「今から潜るダンジョンは全六十層からなる中級ダンジョンと言われているものだ。十五層ごとに休憩地点があり二十層ごとにボスが出てくる。
ボスの推定Lv.は75だ。お前らが普段通り力を発揮できればまあ勝てる相手だ」
「中級ダンジョン……」
皆、不安がっているが新人研修は心を鬼にせねば。
「俺とディアス先輩は後方でナーシャを守りながら見ている事にする。後ろは気にするな、戦闘はお前たちだけでやれ、いいな?」
「は、はい!!」
「では準備が出来次第進め」
「先頭は僕と時雨が受け持つ! ルーカスとルミアは後方から魔法で支援をお願い!!」
今回は刀刃がリーダーだ。
さて、無事に攻略できるかどうか……。
「行くぞ!!」
良い声だ、声を出せれば不安も消えるし士気も高まる。
意外とリーダーが向いているんじゃないか??
そうして新人たちによるダンジョン攻略が始まった。




