第61話 偉業
翌日の朝。
「研ぎ終わったっす!」
「ありがとな、メイル」
普通の爪切りじゃあ到底切れない長く硬い爪を研いでもらっていた。
この爪自体にはさほど切れ味は無いが、いかんせんめちゃくちゃ硬い。
魔力を通すと少しだけ伸びて切れ味が増す仕様だ、かっこいい。
俺はこの身体を結構気に入っている。
そして角も立派に伸びた。
この角も長すぎたから綺麗にメイルに研いでもらって形を良くした。
「うん! 似合ってるっすよ!」
「さすがメイルだ!」
二人でワイワイと話しているとすぐに訓練の時間が迫る。
「じゃあ皆にお披露目してくるわ!」
「いってらっしゃーい!」
部屋を出て王城へ向かう。
守衛の騎士にびっくりされたが身分証明証と王城入場許可証を見せる。
「ほ、本当にドレイクか……?」
「ああ、そう言っているだろ? 昨日昇格したんだ」
「昇格!! ってことはお前……!!」
「ああ、Lv.100だ」
「すげえ!!」「やるな!!」「おめでとう!!!」
皆がおめでとうと言ってくれる。
「ありがとよ!」
「そっか……二年前はまだ子供だったお前が遂に……」
感動している守衛の騎士。
「そうだな……俺もここまで来るとは思ってなかったよ、ははっ」
「いーや、お前ならいつかはと思っていたよ!」
「本当か??」
笑いあいながら話していると一人近づいてきた。
「ドレイク……その姿は!!?」
「ああ、ディアス先輩。すみません、先に昇格しちゃいました」
「マジかよ!! てかなんかかっけえな!!」
テンションが爆上がりするディアス先輩。
「そうか! お前獣人になったのか!!」
「そうなんですよ、爪とか手入れするのが大変で……」
更にわいやわいやと話し込む。
「じゃあ、俺達はこれで」
「ああ! 頑張れよ!」
話し終わり王城へと入っていく。
「そっかぁ、お前とグレース様がLv.100か……魔法師団の格も上がるってもんだ」
「先輩もすぐじゃないですか?」
「俺か? 行けるかなー??」
「先輩なら余裕ですよ!!」
「お前に言われると自信が湧いてくる! そうだな! ここまで来たら目指すか!」
うおおおお!! やるぞお! と燃えるディアス先輩。
「にしてもお前Lv.96じゃなかったか?」
「それが……」
昨日のことを説明する。
「神父のじいさんたちは楽して金稼いでたって事かよ……笑えるな……」
「まあ、あの魔道具はどうかと最初から思ってましたよ……」
「俺も最初はこんなので測れるのかよって半信半疑だったぜ」
そう話しているうちに訓練場へと着く。
「おーい!! ドレイクが昇格したぞおおお!!」
着いた瞬間ディアス先輩は訓練場にいる騎士達に向かって報告し始めた。
!!
「マジか!」「やるな!!」「すげえじゃねえか!!」
ぞろぞろと俺の周りに人が集まってくる。
「せ、先輩!!?」
刀刃が驚いている。
また説明しないと……皆に簡潔に説明する。
「というわけで、俺は王竜族になりもう獣人の仲間入りって訳だ」
「おおお!!」
皆が納得した。
「なんの騒ぎだ……?」
!!
「グレース副団長!! ドレイクがLv.100に!!」
「ああ、昨日神託で私も知ったところだ」
「神託……?」
フラム副団長が俺の前に来る。
「随分と男らしく進化したなドレイク」
「フラム副団長……」
「私とお前で魔法師団にはLv.100が二人、この意味が分かるか……?」
皆がざわめく。
「副団長もLv.100!?」「一気に二人も!?」「史上初だぞ……」
ドレイクはその意味を解っていた。
「騎士団長の座を狙うんですね?」
!!
「ああ! 直接ハイル率いる聖騎士団に決闘を申し込み! 三対三の決闘によって騎士団長の座を取りに行く!!」
!!!!
昔から騎士団長の座は各団から三人選んでの三対三の決闘によって決まる。
騎士団長だけ強くても意味がないと言う訳だ。
そしてこの三対三は最後の一人が戦闘不能になるまで続く。
伝統により一年に一回、十二月に国王陛下が許可した場合にのみ執り行われる。
そして見事に騎士団長の座を新しい者が勝ち取ったなら、年末には騎士団長就任の儀、新年には新騎士団長を祝う祭りごとが行われる。
「皆! 来年は一層と忙しくなるぞ!!」
「おお!!」
もう勝利宣言をするフラム副団長……その自信、己を鼓舞するためでもあるが、確かな努力の積み上げから来ている自信が頼もしい。
「それでだ、ドレイク。これを着てみろ」
なんだ?
フラム副団長から渡されたものを受け取る。
「国王陛下から副団長補佐に与えられるマントだよ! 着てみろよ!」
ディアス先輩に急かされる。
騎士団では団長か副団長、その補佐しかマントを着れない。
マントは勲章なのだ。
ゴクリッ。
マントを着てみる。
「おおおお!!」
皆が拍手をしてくれる。
「俺がここまで来れたのも皆さんのおかげです! これからもよろしくお願いします!!」
「期待してるぞー!」「よっ副団長補佐!」「先輩かっこいいです!!」
皆から褒められて少し照れる。
右肩に手が置かれる。
「頼りにしている」
「はい!!」
こうして正式に副団長補佐へとなり新しい魔法師団での毎日が始まる。




