第56話 家
朝の訓練を終え、俺は刀刃を連れて家に帰って来た。
そう、念願のマイホームが完成したのだ。
王都の中心からは少し離れているが、広い土地を買えたし良い家を建てることに成功した。
「ただいま」
「おかえり!」「おかえりなさい!」
ミュフィスとライラが出迎えてくれる。
「久しぶり! 刀刃君!」
「お久しぶりです!」
今日は休日だが刀刃の誕生日でもある。
せっかくだし誕生日祝おうぜ!
というディアス先輩の提案で、会場がなんとハイルさんの家に決まったのだ。
何故……?
まあ、嫌なわけではない。
むしろ遊びに行きたいくらいなのだが……。
というか騎士団全員が行くらしい。
どんだけ広い家に住んでいるんだ……。
しかも連れて来たい人がいたらいいよと言ってくれている。
パーティーは夜からだから、一度家に帰宅して準備するという事だ。
「じゃあメイルの工房に顔出してくるよ」
「うん!!」
メイルの鍛冶工房へと行く。
「メイル! いるか!!」
「二階からバタバタとメイルが降りてくる」
「はいよ! 今日は何の用でい!!」
うーん、キャラが定まっていない気がするがまあいいか。
メイルと一緒に住み始めて抱いた印象は残念な娘だ。
鍛冶の腕前はそれはもう見事としか言えないが他が軒並み何もできないのだ……。
本当に鍛冶だけを極めて来たんだろう……。
まあ、それは置いといてと。
「刀、出来てるか?」
「はいよ! 出来てますぜい!」
「刀……?」
そう、刀刃の誕生日プレゼントで、刀を一振り打って貰っていたのだ。
「どうぞ! 刀刃君! お誕生日おめでとう!!」
「え? これ……僕のですか……?」
「ああ、受け取ってくれるか?」
「ありがとうございます!!」
メイルに深くお辞儀をして刀を受け取る刀刃。
「重い……」
「ヴァンちゃんの牙で出来てるからね!! 正真正銘の竜から出来た刀ですぜい!」
竜の牙は何物でも嚙み砕く強度を誇る。
それを刀への素材へ使っているのだ。
刀刃が鞘から刀身を出す。
「凄い……剣王国でもこんな業物見たことないです……」
どうやら気に入ってくれたようだ。
「本当に頂いてもいいんでしょうか?」
「使ってやってくれ、メイルの自信作らしい」
「おうよ!」
「ありがとうございます……!! 僕、一生大切に扱います!!」
「うん! メンテは任せてね!!」
任せろと胸を張るメイル。
「ありがとなメイル、俺からも礼を言わせてくれ」
「おうよ! じゃあ何でも言うこと聞いてくれるって事で!!」
「ははっ、善処するよ」
「まずは子供を二人産みたい!」
「ははっ……リアルな悩みだな……」
「男の子と女の子で! お願いします!!」
「が、頑張るよ……」
「今日は私の番で!」
「それは優先しとくよ」
そう、メイルとは半年前に結ばれたのだ。
俺からずっと一緒にいてくれと言ってプロポーズをした。
あの時のメイルの笑顔は忘れられない。
工房を後にする。
メイルは今は鍛冶ギルドで防具を中心に売りに出している。
夜のパーティーは行くみたいだが、それまではやることがあるらしい。
「じゃあ、家でのんびりするか!!」
「ドレイク先輩の家か……」
家の中に入る。
「綺麗なお家ですね……」
「だろ? 内装も結構凝ってるんだ」
話しながら一階の自室へ入る。
「失礼します……凄いですね!」
ここが俺の部屋だ、壁にはメイル作の両手斧と片手斧が飾られている。
家具は女性陣が俺に合いそうなものを選んでくれている。
ずっと居たいくらいにはお気に入りの部屋である。
「刀刃、俺からお前にプレゼントだ」
!!
「これは……」
「魔法耐性を上げるペンダントだ、俺が以前使っていた焔の魔法石を使ったものだな」
「そんな高価なもの受け取れませんよ!!」
「刀刃……お前は速いが軽い。魔法なんてくらったら一撃で死ぬぞ?」
「……」
「お前が今後も生き残れるようにだ。妹も守らないとだろ? 騎士団の強さは守りにある。お前が人を守るためには必要なものだ、着けてみろ」
「はい」
ペンダントを刀刃へとつけてあげる。
「僕は幸せ者です……」
「今気づいたか……?」
「先輩、今後もよろしくお願いします!!」
「ああ、お前は俺の可愛い後輩だからな!」
バシッと刀刃の背中を叩いてやる。
「リビングで話そうぜ、ミュフィスとライラが待ってる」
「ぐすっ、はい!」
途中帰って来たメイルを入れて話していたら、パーティーまでの時間はあっという間に過ぎた。




