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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第五章 ドラゴニア魔法騎士団編
53/111

第53話 成人

 星歴3020年4月。


 俺は二十歳となった。

「それでは! ドレイクの成人を祝して!! 乾杯!!」

「乾杯!!」


 ディアス先輩の音頭で皆が声を上げる。

 今日は魔法師団の皆で俺の誕生日会だ。

「おらあ! ドレイク! 飲めえ!」

 ディアス先輩は既に酔っぱらっている。

「先輩……」

 刀刃は少し引いている。


 あれから刀刃はメキメキと成長した。

 後一年もすれば魔法師団の主戦力に加わる勢いだ。

 騎士団の皆とも仲良く、上手く付き合っている。

「まったく……ディアス! 焼かれたいか?」

「す、すみません!」

 フラム副団長に怒られている……冗談だろうが少し怖い。

 そんな光景を見て皆が笑っている。

 良い人たちに恵まれて幸せだ……。

 この幸せがずっと続けばいいのに。

 そう思ってしまう。


「はぁ……どうだ? 酒は美味いか?」

「うーん……ワインは美味しいですね、ビールはちょっと……」

「ははっ、ビールの味がわからないとはまだまだだな!」

 ちょっとだけムカつく。

「でもお前も立派な大人か……結婚は考えてないのか?」

「先輩が!! 結婚!!? 領地に帰ってしまうんですか!?」

 刀刃が慌てふためく。

「いや、結婚しても騎士は続けるよ」

「へえ? なんでだ?」

「先輩がだらしないからです、一人くらい好きな人を見つけてくださいよ……」

「お前! 俺を心配してくれるなんて!!」

 泣いたふりをする先輩。

「でも、先輩のことが好きな子もいると思いますけどね」

「誰だ!!? 今すぐ紹介しろ刀刃っ!!!」

「ほら、この前助けたエストア病院のエルフの人とか」

「あー、あの美人さんか……俺には釣り合ってないな……」

そういってビールを飲むディアス先輩。


「そうとも言い切れないな」


 !!

 フラム副団長が話に入ってきた。

「エリゼはお前のことを評価していた」

「エリゼ……?」

「お前が助けた娘の名だ」

 ワインを飲む姿が様になっている。

「エリゼちゃんか……素敵な名前だ……」

「向こうから私に聞いてきてな、この間助けてくれた騎士様の名前を知りませんか? とな」

 !!

「先輩! 脈ありですよ! アタックしてください!!」

「ディアス先輩に遂に春が……」

 俺と刀刃は泣いて喜ぶ。

「俺に……春が……?」

 なんか、わなわなしている。

「グレース様、本当ですか?」

「ああ、本人に聞けばいい??」

「本当の本当に?」

「本当の本当だ」

「き……」

「き?」

 皆が聞き返す。


「来たああああああああああああああああああああああ!! 俺の時代だあああああああ!!」


「おお!!」「乗って来たな!!」「今から行くぞ!!!」

 もう行く準備をしている人たちもいる。

「面白い余興だな」

「え……? フラム副団長?」

「皆でディアスを応援するぞ!! 私に続け!!」

 そういって魔法師団に号令をかけるフラム副団長。

「面白くなってきたあ!」「よっ!副団長!」「頼りになるぜ! 兄貴!」

 ワイヤワイヤと騒ぎながら、一同はエストア病院へ向かうのであった。


 エストア病院。

「ふぅ……今日は暇ね」

 時刻は午後八時、エリゼは院内で暇をしていた。

「今日は帰ったら面白いテレビやっているかしら……」

 そんないつもと変わらない日常を過ごしていた。

「失礼する」

 聞き覚えのある声だ。

「グレース様、こんばんわ」

「こんばんわ、エリゼ」

 何の用だろう?

「前に聞いてきただろう? お前を助けた騎士が、我が魔法師団にいないかと?」

「ええ、聞きましたけど……いたんですか!?」

「ああ、いた」

「なんて言う方でしょうか?」

「直接会って聞きたくないか?」

「……え?」

 これをお前宛に預かっている。

「私宛に……?」


『今日の二十四時に、エストア中央公園にて君を待つ。

ディアス・ブルーグより』


「……私を助けてくれた方はディアスさんって言うんですか?」

「そうだ、うちの魔法師団の古株でな、会ってくれないか?」

「会いに行きます!」

「そうか、ではな」

 去っていくグレース様。

「ディアス・ブルーグ様……ふふっ」

 貰った手紙を読み返し、ほほ笑むエリゼ。


 エストア中央公園、時刻二十三時。


 そこにはスーツを決め込み、髪も美容室で整えたディアス先輩が立っていた。

 赤いバラの花束を持ち、エリゼさんの到着を待っている。

「プロポーズの練習とかは……?」

 刀刃がフラム副団長に聞く。

「必要ないだろう、魔法師団に何年いると思っているあの男が」

「え……? 学院を卒業して二十二歳からじゃ?」

 ドレイクが聞き返す。

「十五歳だ」

「え……?」

「奴は十五歳で魔法師団へ来た、私が当時の副団長に頭を下げて入れて貰ったんだ」

「十五歳……」

 理由は聞かないことにした。

 聞かれたくない過去の話は誰にでもあるものだ。

 いつか、ディアス先輩が話したくなったら聞いてあげよう。

「それにしても、僕らバレませんかね?」

「僕の魔法で隠蔽しているから完璧だよ!」

 ワーグルが胸を張っている。

 気になるし見届けたい気持ちもあるが罪悪感もある……。

 いや、ここまで来たら皆で見届けよう。

 そして待つこと数十分……。

「来たぞ」

 ジークさんがエリゼさんを見つける。


「やあ」

「ブルーグ様で合っていますか……?」

「うん、ディアス・ブルーグは僕だ」

 なんだこのイケメンは……?

 皆が思っている、いつものディアスとは違うと。

「ごめんなさい、待たせてしまいましたか……?」

「全然、エリゼさんで名前、合ってるかな?」

「はい、エリゼ・ロージェントです」

「素敵な名前ですね」

「いえ」

 ふふっとお互いに笑いあっている。

 良い雰囲気だ。

 ディアス先輩が持っている花束はワーグルの魔法によって隠れている。

「エリゼさん……」

「なんでしょうか?」


「一目惚れです。出会った時から貴方に一目惚れしてしまいました。私と、付き合ってください!!」


 !!

 片膝をつき花束を向ける。

 いきなり現れたバラの花束にエリゼさんはびっくりする。

「私なんかでいいんですか……? 嬉しいですけど……ブルーグ様にはもっと素敵な人がお似合いかなと……」

「貴方がいいです! 貴方じゃなきゃ僕のこの気持ちは収まらない!!」

 おお……情熱的な言葉だ……。

 静寂が訪れる。

 ポタポタと涙をこぼすエリゼさん。

「嬉しいです……私でよければ、ブルーグ様とお付き合いしたいです!」

「エリゼさん!!」

 二人が抱き合ったその瞬間。

「うおおおおお!!」「ディアスーー!!!!」「男だよお前は!!!」

 皆が駆けだしていた。


「わっ!!」

 エリゼさんが驚く。

 皆が一斉にディアス先輩を胴上げする。

 もちろん俺も胴上げに参加する。

「すまないな」

「グレース様……でも、嬉しいです」

「おめでとう、エリゼ」

「ちょっと! エリゼさんは俺のお嫁さんですよ! グレース様!」

 ディアス先輩が話しかけただけのフラム副団長に抗議を始める。

「お嫁さんって……」

 エリゼさんが照れている。

「八割は私のおかげなんだから許してくれディアス」

「俺の頑張りは二割だけですか!?」

 わははーと笑いが起きる。

 エリゼさんも楽しそうだ。


「皆! 聞け! 今からエストアホテルを貸し切って!! ディアスとエリゼの為の! パーティーだ!!!」

 フラム副団長がとんでもないことを言い始めた。

「おおーーー!!」「太っ腹ーー!!」「兄貴――――!!」

 どんどんエスカレートしてないか……?

「よっしゃあ!! 今日はとことん飲むぜーー!!!」

 ディアス先輩も乗ってくる。

 行くぞー! と一同はホテルに向かう。

 本当にホテルを貸し切りにするのか……? 今から……?

 流石副団長だ。

 なんかフラム副団長ならできそうなのが怖い。

「さあ、エリゼさん行きましょう!」

「はい!!」

 ディアス先輩とエリゼさんは皆の後を嬉しそうに、笑いあいながら付いていくのであった。

 今日はなんて素敵な日なんだろうと俺も後からついていく。

 そしてパーティーは本当に決行されて皆が酔いつぶれるまで終わらなかった……。

 と唯一飲めなかった刀刃からの後日報告だ。

【勇敢な斧騎士】ディアス・ブルーグ

人族25歳 Lv96 斧術SSS,力SSS,速さSS,耐久SSS

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