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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第五章 ドラゴニア魔法騎士団編
52/111

第52話 新人

 星歴3019年5月。


 朝だ……準備をして宿を出る。

 王城に到着し訓練場へと足を運ぶ。

 既に十人くらい見慣れた顔が訓練をしていた。

「ドレイク、久しぶりだな!」

 ディアス先輩か。

「おはようございます先輩」

「エルンの街はどうだった?」

「良かったですよ、特に牛タンが」

「あそこの料理は何でも美味いからな! でだ、今年の新人君を紹介してやろう」


 お、もう来ているのか?

 訓練場を再度見渡すとそこには黒髪の少年がいた。

 ディアス先輩についていく。

「よっ!刀刃!」

 素振りをしていた彼は剣を鞘に納めてこちらへ振り返る。

「おはようございます、ディアスさん」

 へえ……珍しいな、東の武器かな?

「剣王国から来た刀刃(とうじん)って言うんだ、結構やり手だぜ?」

「刀刃です、よろしくお願いしますランドロック先輩」

「ドレイクでいい、よろしく刀刃」

 握手を交わす。

 握手しただけで分かる、長年、剣だけを振り続けてきた手だ。

「その武器は?」

 珍しい形の剣について質問してみる。

「これは(かたな)って言うんです。良かったら触ってみますか?」

 刀を抜きドレイクへと差し出す。

 持ってみると意外と重いな……それに綺麗な色だ。

 刀刃へと返す。

「僕、ドレイク先輩に憧れて騎士団に来たんです」

「え?」

「三年位前にガスノットを倒した少年がドラゴニアにいるって聞きました」

「ああ、確かに一回倒したな……その後逃げられたけど」

「僕の両親はガスノットに殺されたんです……」

 !!

「剣王国でも奴は有名だ……各国を飛び回って非合法な商売に手を染めていたんだ野郎」

 ディアス先輩が怒っている。

「両親は当時、剣王国の騎士だったんです。それで奴を討伐に向かった次の日、家に二人の遺体が届きました……」

「そうだったんだな」

「そこから僕は血を吐いてでも刀を振り続けました、いつか死んでいった両親の敵討ちを果たすために」

「……」

「ある日ガスノットを倒した人がドラゴニア王国にいると聞いて、いつか ドラゴニア騎士団に入り、その人に会うと決心したんです!」

「そうか、頑張ったな」

「これからよろしくお願いします!!」

 深くお辞儀をする刀刃。

「なんでもこの前の戦でガスノットを討ったのは、ドレイクだからな! な?」

 ディアス先輩が肘でつついてくる。

 !!

「本当ですか!!?」

 凄い勢いで喰いついてきたな……両親の仇だ、当然か。

「あ、ああ本当だ」

「ドレイク先輩!! 僕に指導を付けてください!! 何だってやります!!」

 再度深くお辞儀をする刀刃。

 嫌いじゃないな、こういう熱く真っすぐなやつは。

 むしろ面倒を見たくなってしまう。

 ふっっと笑みをこぼす。

「俺でいいのかよ? 後悔すんなよ?」

「はい!! 一生ついていきます!!」

「あんまし後輩をこき使うなよ?」

 さてと、何を教えるか……まずは、実力を見るか。

「刀刃、まずはお前の力を俺に見せてみろ」

「はい!」

「じゃあ俺が審判をするぜ」


 空いている方へ歩いていき俺は刀刃と対面する。

「準備は良いか?」

「ああ」「いつでもどうぞ」

 刀刃が集中していくのが分かる。

 さてと、何分持つか、いや、秒で終わらせるか。

「では、始め!!」

 刀刃が走り出そうとしたときには既に俺は走り出していた。

 速い!! それが刀刃が抱いた最初の感想だ。

「遅いぜ!!!」

 右爪で刀刃の刀を宙へと弾き飛ばす! そして竜尾を相手の首へ突き付ける。

「ま、参りました」

「守りに入れたのは褒めてやる。ただ、俺に遠慮はするな」

「もう一本お願いします!」

「倒れるまでやるぞ!」


 十本目が限界だった。

「はぁっはぁっ……! はぁっ!!」

 刀刃は既に息が上がっている。

「最初よりは固さが取れてきたが初日はこんなもんだ。俺もフラム副団長と戦った時はこんな感じだったよ」

「強いですか? グレース副団長は?」

「ああ、騎士団で一番強いんじゃないか?」

「そ、そんなに……」

 刀刃は驚いた、上には上がいるとはまさにこの事だと。

「俺だけじゃなくて皆からも学べよ? お前は騎士団の仲間なんだからな」

 近づいて頭をわしわし撫でる。

「先輩してんじゃん、ドレイクよ」

「茶化さないでくださいよ……」

「俺の後輩の後輩か……孫が出来た気分だな」

 ……孫?

「二人とも俺の可愛い後輩って事だよ! うりゃ!」

 ディアス先輩が二人の間に入り肩を組んでくる。


「そんなお前らに残念な知らせが一つ」

「なんですか?」

「今年は女の子の入団者無し!! なんてことだ!!」

 うおおお! と嘆くディアス先輩。

「遊びに来てるんじゃないんだから……」

 はぁ……とため息をつくドレイク。

「お前はいいよな!! 美人の同期が二人もいて!! 不公平だろ!!」

「同期じゃなくて彼女です」

 一応訂正しとく。

「……え? マジで?」

「本当ですよ」

「この……幸せ野郎!!」

 至近距離からパンチを繰り出してくる。

 だが素手の近接戦でドレイクに勝てるわけもなく……。

「いだっ!!」

 見事にカウンターを喰らい倒れる。

「ええ……」

 刀刃がドン引きしている。

「まったく……刀刃、この人だけは見習うなよ?」

「ええ、そうですね……」

 新人にもすでに見放されてしまったディアス先輩であった……。

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