第5話 仲間
今日はうちの家族とジノの家族と一緒に王都エストアに遊びに来ている。
「「王都ってすげー・・・」」
様々な人種で賑わっている王都の一番通りを見ながら放心状態になる二人。
「ここは国で一番人通りが多い場所だからな、はぐれたりするなよ?」
「ジノ!すげー!剣の値段がエストア金貨10枚だって!」
「うお!かっけー!こっちの槍も高ーな!!」
後ろで暖かく大人たちが見守る中レイとジノははしゃぎっぱなしである。
「子供たちを連れてきてよかったなレナード」
ジノの父ハザックはランドロック領にある騎士団の団長をしている為昔からの付き合いである。
「ああ、学園に行く前にいい勉強になるだろう」
「親父あっちにすげー店ある!先行ってるぜ!」
するとレイはジノを引き連れてグングン先へと進んでいった。
「あの馬鹿・・・はぐれるなと言ったばかりなのに・・・」
「はっは!まあ元気が合っていいじゃないか。どうせそう遠くには行くまい、近くの喫茶店で茶でも飲んでよう」
こうして大人たちは近くのフルーツケーキとコーヒーが有名な喫茶店で休憩(レイとジノの帰りを待つことにした)をとることにした。
「なあ、レイあそこ見てみろよ」
「なんだあれ?」
路地裏にまで来ていたレイとジノはそこで赤く派手な店を見つけた。
「なんだこの店?」
「ここは、多分奴隷商だ」
「奴隷?」
「ああ、王都では当たり前に奴隷の売買が行われているんだ」
「・・・」
近づいていくと奴隷商であろう中太りのピエロみたいな人に止められる。
「ここは子供のくる場所ではないよ?早く帰りな」
「勉強のために王都を見て回っているんだ」
ジノがそういいチップを渡す。
「お客様、どうぞごゆっくり中をご覧になってください。本日は目玉商品も入荷してますよ!」
「レイ、入るぞ」
「マジか・・・」
ピエロが扉を開けてくれて中へと足を踏み入れる。
店の中は派手なシャンデリアに飾られた赤と金を基調とした豪華な作りになっている。
「どうぞ、こちらえ」
ピエロの言う通りついていくと牢がずらりと並んでいる部屋に通される。
「ここにいる奴隷のほとんどは借金を払えなくて身売りした奴隷たちです。
若い男女を中心にそろえていますのでお客様の好みに合った奴隷もいらっしゃるかと」
話ながら歩いていると一際厳重な牢を見つけた。
「こちらが本日の目玉商品となっていますよ」
「・・・ダークエルフだな」
「エルフか・・・初めて見たな・・・」
「このダークエルフを今ならエストア金貨10枚!10枚でお売りいたしますよ!
武勇と賢知の二つ持ち!更に弓と雷の白!めったに出ませんぞ!!」
「マジかとんでもなく強いな・・・」
「レイ、金持ってるか?」
「俺?親父から何かあった時用に多めにもらってはいるけど・・・」
「ピエロのおっさん、もう少し安くならねえか?」
「と申しますと?」
「こっちのレイはランドロック領の領主の息子だ、13になれば王都にある騎士学園に通う」
「つまり今後も御贔屓にしてくださるということですかな?」
「ああ、そうだ」
「ちょっとまてい! 金出すの俺だし親父になんて言われるか」
「レイ?いいか?今各国で王星の加護を持つ者たちが生まれ育ってきている」
「王星・・・」
王星か・・・他人ごとではないな。
「父さんが言ってた各国で王星の加護を持ったものが次々生まれていると。
俺たちが大人になる頃には王星の加護持ちが育ってどこの国が戦争を始めてもおかしくないって」
「戦争・・・」
「白の加護持ちは必ず戦を動かす貴重な戦力になる。ここで仲間にして俺達の戦力を強くしときたい。
それに、騎士学園には従者を一人連れていけるだろ? レイの従者にピッタリじゃないか」
「確かにそうだけど・・・弓と雷の白か・・・
ピエロのおじさん、金貨11枚払うから今日連れて帰れない?」
「ははっ、金貨11枚!もちろんです!」
「ありがとう、じゃあこれエストア金貨11枚ね」
「確認させていただきますね・・・ふむふむ・・・確かに受け取りました!今すぐ準備いたしますので30分ほどお待ちを!」
応接間に通されお茶とお菓子がテーブルの上に並べられる。
「ジノはやっぱすごいな」
「俺か・・・?父さんに毎日勉強しろって言われてるからな」
「俺も国や世界の事について知りたい、帰ったら執事のバトレから教えて貰うことにするよ」
コンコンコン
「お待たせしました!こちらがダークエルフ族のマシュア26歳!こちらの書面にサインを頂いた瞬間からランドロック様が主となります!」
「えーと、ドレイクっと、これでいい?」
「はい、問題ありません。」
応接間を出て店からマシュアを連れて出る。
「今後も御贔屓にお願いしますよ~!」
ピエロに見送りされながら路地裏を後にする。
「とりあえず腹減ったな、飯にしよう!」
「待ってくれ・・・」
マシュアが二人を呼び止める
「あんたらが悪人じゃないのは話を聞いていたから分かる。そして戦力にしたいのにも納得している。
だがひとつだけ確認させてくれ。ドレイク・ランドロック、ジノ・ブリッツ、お前らどっちがリーダーだ?俺はリーダーについていく。」
レイが答える
「それはジ・・「レイだよ」」
ジノが被せて答える。
「レイがリーダーだ」
「ジノ・・・なんで・・・」
「わかるだろ?簡単さ、レイはいつか俺なんか追いつけないほどに強くなり、この国を支える王になる」
「・・・! 王になる・・・? それは簡単な事じゃない。この戦乱の時代に王になれるものなど王星の加護を授かったものだけだ!」
「だからだよ・・・。 レイは王星の加護を授かっているんだ」
「えーーー!!!ゴホッゴホッ!! なんでジノがそのことを!!!」
内心驚きすぎてむせ返る・・・なんでジノがそのことを・・・?
「目だよ」
「目・・・?」
目になんかついてる・・・?
「星の祈りを受けに行った後レイは目が変わっていた。そして同じ白の加護を授かったにもかかわらず最近俺とレイとの差は開いていっている。俺には分かるんだ。きっと道場の先生も気づいてるよ。」
「マジか・・・」
「これで納得しただろ? レイが俺たちの使える主だ」
ジノがそう言い切る。
「ああ・・・最初はジノがリーダーかと思っていたんだが私が間違っていた。許してくれ」
「いいさ、これからは仲間なんだ。それに俺たちは同年代と比べたら強い方ではあるけどまだまだなんだ。だから俺たちに力を貸してくれマシュア」
「ああ、俺が仕えるべき君主はドレイク・・・いや、ドレイク様・・・私を貴方の騎士として仕えることを許してください」
マシュアは片膝をつき忠誠を誓う。
「こちらこそ!よろしく頼むぜマシュア! ニコッ」
「はい・・・ありがとうございます」
「そういえばマシュアのレベルってどれくらいなんだ?」
「私ですか?Lv83の白聖の弓騎士です」
「「頼もしすぎる!!!」」
二人して声を合わせて驚く。
「私なんてまだまだですよ・・・せめてLv90の壁を超えないと戦場にはもっと上の化物が来ますよ」
「Lv90・・・世界でも数人しかいないんだっけ?」
レイがマシュアに聞いてみる。
「エルフの森の聖王、ドワーフ国の盾王、妖精国の妖王、獣人国の獣王、魔国の魔王、私が知る限りではその5名ですね」
「そこに割って入るためにも、今は上手い飯を食わなくては!腹が減っては戦が出来ぬってね!」
「だな!改めてマシュアが仲間になった記念として飯でも食いに行くか!」
「ふふっ、今後が楽しみですね・・・」
幼い頃憧れていた白聖の騎士がこんなにも早く仲間に加わるなんて・・・。
「レイ!ご機嫌だな!」
「ああ!マシュアの好きなものでも食べに行こうぜ!」
「そうですね・・・私は久しぶりにワインが飲みたいです」
「「よっしゃ! じゃあ酒を飲みに行くぞ!」」
「それは駄目です」
「「え」」
「未成年飲酒は駄目ですよ。それと、私が仕えることになった以上テーブルマナーも叩き込みます」
「「えーーーー!!!!」」




