第47話 会場設営
星歴3019年4月。
この季節は毎年騎士団の入団試験が行われる。
以前は学院の卒業生を中心に取っていたが体制が変わった。
十六歳以上の青の加護以上を持っているものなら入団試験を受けれることとなった。
そして俺は前日から入団試験の会場設営を手伝っていた。
「今年は闘技場でやるから準備が大変だ……」
そう、せっかくなら客を入れてイベントにしてしまおうと言う王子殿下の案が採用され、一種の祭りみたいになっている。
闘技場は王城の横にある、騎士団も模擬戦だったり団体戦で良く使用している。
当日は王城も一般開放して楽しんでもらう予定らしい。
俺は闘技場の準備担当だ。
屋台設営の手伝いと場内の見回り、外にも屋台があるからきりがない。
入団試験はハイル騎士団長、ゲルド副団長、フラム副団長が新人の技を見て合否を決める。
そして当日俺は入団試験後に行われる御前試合がある。
フラム副団長との一騎打ち。
国王陛下等の王族の目の前で試合が行われるのだ。
ランドロック領にいる家族達も呼んでいる。
父さんと母さんへ御前試合があるから見に来てねと手紙を送った所、絶対に観に行くとのことだ。
セイベルと竜拳派の先生とクライツも観に来るらしい。
俺の成長した姿を皆に観てもらう良い機会だ、勝つつもりで行く。
【英雄竜ジャバウォック】ドレイク・ランドロック
王竜種19歳 Lv.94 固有スキル:王竜眼(竜の眼を手に入れる)、神竜の加護(一時的に莫大な力を発揮、付与する)、英雄竜召喚(ジャバウォックを召喚できる)
竜術SSS,馬術S,斧術SS,土魔法S,力SSS,魔力SS,速さSS,耐久SS
これが昨日確認した俺のステータス、そしてフラム副団長のステータスは……。
【焔の豪魔導師】フラム・グレース
固有スキル:無詠唱(詠唱無しで魔法を行使可能)
ハイエルフ100歳 Lv.98 杖術SSS,体術SS,焔魔法SSS,魔力SSS,力SS,速さSS,耐久SS
これだ、分かってはいたが強い。
それにLv.98?? もうすぐLv.100に到達しそうな勢いだ。
そうなれば星歴になってからの歴史上初の偉業となる。
俺もLv.94まで上がったがまだ差を感じる。
俺の最も尊敬している人だ、いつかは追いついて見せたい。
場内の準備も終わって一息つく。
「いやぁ、やっと終わりが見えてきたな。後は外か……」
ディアス先輩が愚痴りつつも作業している。
仕方ない、作業量が尋常じゃないのだ、片付けの事を考えると恐ろしくなる……。
「明日の御前試合はどうだ? 勝てそうか?」
冗談はよしてくれ……と思いつつも俺は心の底では勝ちたいと思っている。
「勝ちに行きますよ、勝ったら焼肉奢ってくださいね?」
「焼肉でも高級ディナーでもなんでも奢ってやるよ」
「言いましたね?」
「ああ、漢に二言は無い」
くだらないやり取りをしながらも手と足は動かす。
そしてようやく全ての準備が終わった。
「ふぅ、やっと終わった……」
ディアス先輩も疲れているようだ、もちろん俺も疲れた。
今日は朝から準備に追われてたから斧術の訓練をしていない。
無性に斧が降りたくなってきた……。
この後は訓練場に行って素振りでもするかと決め、ディアス先輩にお疲れさまでしたと伝え闘技場を後にする。
「まあ、待ちなよ」
ん? ディアス先輩が声をかけてくる。
「せっかく広い会場が貸し切りなんだ、俺と一戦やろうぜ?」
おお、願ってもない誘いだ、ディアス先輩も斧使い。
吸収できることはいくらでもある。
そしてこの人は底が知れない強さを持っている。
力とか技じゃ説明できない何かだ、もちろん了承する。
「俺が勝っても泣かないでくださいよ?」
「ははっ、上等だぜこの野郎!」
そう言って広い闘技場で二人は向き合う。
一緒に作業していた屋台の主人や騎士団の皆が何か始まったぞ、とぞろぞろ見に来る。
どっちが勝つか予想している人もいる……。
「ドレイクだな」「いーやディアスだ」「ディアスだな」
まあこういうのには慣れっこだ。
「じゃあ、行くぜ?」
「本気でいきますよ……?」
「本気じゃなきゃ意味がないだろ?」
ディアス先輩の目が、本気に変わっていくのが伝わってくる。
なら、まだディアス先輩に見せていないとっておきを披露しよう。
「理を超越し、顕現せよ! 英雄竜ジャバウォック!」
上空から竜が落ちてくる。
観客がなんだなんだと騒ぐ。
そして俺の上空で止まり静かに地上へと降りてくる。
「グルルルルルッ!!」
竜の背に乗り手綱を取り、右手に斧を生成する。
「行きますよ! ディアス先輩!!」
「はっ! 面白い!!」
決着は一撃で着いた。
「嘘だろ!?」「あのディアスが負けた……?」「これは明日もあるぞ……」
初めてだ、騎士団に入団して一年が経過して初めて、俺はディアス先輩に勝利した。
「はぁっ、やるじゃねえか、ドレイク、完敗だ……」
片膝をつき斧で身体を支えているディアス先輩の元へ行く。
「先輩がいなきゃ俺はここまで強くなれませんでした……明日は勝ちに行きます!」
「ああ! 勝って観客の度肝抜いてこい!! ドレイク!」
「はい!!」
互いに握手を交わし、俺は明日の試合に向けて絶対に勝つと意気込む。
拳をグッと握り空を見上げる。
必ず、ディアス先輩の無念を晴らさなければ……。
「いや、俺まだ死んでねえから!!」
相変わらず心を読まれてツッコミが来た。




