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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第五章 ドラゴニア魔法騎士団編
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第40話 神竜の加護

 星歴3018年6月。

「動きが遅い!! それに単調だ!!」

「はぁっ! はぁっ!!」

「顕現せよ! 焔の豪騎!」

 炎の斧を持った騎兵が現れる。

「ヒヒィイイイイイイン!!!」

 一瞬で距離を詰められる。

 斧を振りかざした衝撃で空気が震えた。

「ぐっっ!!」

 受けきれないほどの凄まじい力だ……!!

 だが対策はできる!!

「神竜の加護よ!」

 一割程度の付与で騎兵の斧を弾き飛ばす。

「ガァアアアアアアアアッ!!!」

 懐に入り切り裂く!

「常に打開策を考えろ! 相手を格上だと思って挑め! 顕現せよ!!」

 次は二体現れる。

 ……。

 そんなこんなで十分が経過する。

「はぁっはぁっ!」

 息が持たない! 片膝をつき地面に手をついて身体を支える。

「十分持つようになったか、及第点と言ったところだ」

 フラム副団長はまったく息を乱していないし、涼しそうにしている。

「次! ワーグル!!」

「はい!!」

 ワーグルが騎兵に四苦八苦しているのを離れて見学する。

「おつかれ! レイ!」

 ライラが水とタオルを持ってきてくれる。

「ありがとうライラ」

 汗をぬぐい水を飲む。

「グレース副団長は相変わらず凄いねー……」

「ああ、厳しさも凄いけど」

 ふふっとライラが笑ってくれる。


 ちなみにディアス先輩はグレース副団長と近接戦になるくらいには実力が高い。

 まあ、フラム副団長は近接戦さえ強いのだが……。

 ワーグルは三分耐えるのが限界のようだ。

「はひっはっ……はっはぁっ……」

 死にかけながらこちらへやってくる。

「お疲れ! ワーグル君!」

 声に出ないが手で礼をして、ライラから水とタオルを受け取る。

「ぶはぁ!! グレース様は鬼だ! そうに違いない!!」

 ワーグルは面白いなあと思いながら、次のディアス先輩の番を見る。

 なるほど……ああして騎兵を倒すのか……。

 近接戦もやはりフラム副団長が上だ、ディアス先輩の攻撃は全て防がれている。

 守りが堅いな……。

 ウィゼルさんもそうだったけど、強い人は総じて守りが堅い。

 相手の技をよく見て対処している。

 攻めあぐねているディアス先輩が長杖で吹き飛ばされ、追撃で魔法を放たれた。

 魔法はディアス先輩の顔、ギリギリを通り過ぎていく。

「勝負ありだ」

「参りました」

 この二人の攻防はいつ見ても勉強になる。

「まだまだ甘い! 闇ギルドとの決戦まで時間はないぞ!」

「はい!」

「ドレイク、お前の神竜の加護を試しときたい。この後少し付き合え」

「はい」

 付与の事だろうか?

「もう遅い、今日は解散とする」

 皆解散していく。

 ライラがバイバーイと手を振ってくれる、手を振り返しフラム副団長の所へ向かう。


「来たな」

 訓練場から少し離れた所にある闘技場。

 ここは基本団長か副団長の許可が無いと使用できない場所だ。

 そこに団長と副団長二人が待っていた。

「やっほー、ドレイク君」

 ハイルさんが手を振ってくれる。

「はっ! 見ないうちに少しはマシになったか??」

 ゲルドさんがジロジロとみてくる。

「呼んだのは他でもない、お前の神竜の加護についてだ」

「それがどうしました?」

「運用方法を考えていたが……その力、何割制御できる?」

 来たか……いつかは聞かれると思っていた。

 その為に毎日コツコツと制御を頑張って来たんだ。

「六割です」

「ハイル、今のうちに試しときたい、いいか?」

「うん、僕も見てみたいしいいよ」

 するとハイルさんが闘技場の中央に行く。

「さあ、僕に撃ってごらん?」

「え?」

「大丈夫さ、僕は魔法の天敵だからね」

 そう言って両手を広げる。

「いいんですか?」

「責任は私達がとる。今のお前の最大を引き出せ、やるぞ!」


 そうしてフラム副団長が長杖を構え、ハイルさんの正面に立つ。

 深呼吸をする。

 指輪を着けている右手に意識を集中。

「神竜よ、その力、我に授けよ!!」

 指輪が輝きだす。

そしてフラム副団長の長杖に加護を付与する。

「なるほどな、確かに強大な力だ」

 長杖から炎が溢れ出てくる。

「ではいくぞ、ハイル」

「いつでもいいよ、フラム」

「万象を焼き尽くし、敵を喰らい尽くせ!! 顕現せよ!! 炎竜ジャバウォック!!」

 詠唱が終わる。

 すると翼が四枚の炎の巨竜がグレース副団長の上空に現れる。

「グルルルルッ!」

 一度目で完全に制御しているのは流石としか言いようがない。

「これがドレイク君の力か! 面白い!」

「ははっ! 加護だけは褒めてやる!」

 二人から褒められる。

「ハイル、どう見る?」

「うーん、先制攻撃に使えたら半分は殺せるんじゃないかな?」

 ……半分?

「そうだな、私もそれくらいを見ている。ゲルド、君はどうだ?」

「敵の三分の二だ。こいつはもっと進化する、そんくらいはしてもらわねえとな?」

「確かにな。では先制はこれで行く」

「うん」

「おもしれえ」

「ドレイク、お前は明日からこの力とだけ向き合え。いいな?」

「はい」

「ハイル、斬ってくれ」

「行くよ」


 一閃。


 炎の巨竜が斬られて消えて行った。

 え? ええええええ!!??

「今のって……?」

「僕の固有スキルの魔力無効さ。魔力で出来ているものは僕には効かない」

 そういってははっと笑っていた。

 いや、強すぎるだろ!!!!!! そしてこの日は解散となった。


 考え事をしていたら一人で中庭まで来ていた。

 ベンチに座って考える。

 魔力無効なんてものがあるなんて、それにフラム副団長も凄かった。

 自分はまだまだだな……。

 上には上がいる、でも仲間でよかった。

 頼りになる先輩達だ。

「考え事?」

「うん、考え事って! ミュフィス!?」

「久しぶりだね」

 隣りに座ってくるミュフィス。

「レイ、さっき楽しそうな顔してた」

「楽しそう?」

「うん、わくわくしてる顔だったよ?」

「そうかも、今毎日が楽しいんだ」

「ライラちゃんといれるから?」

「うん……って違わないけど、それだけじゃないよ?」

「ふーん……」

 少しミュフィスが拗ねる。

「今夜はミュフィスと居たいな」

「えー、私の部屋狭いよ……?」

「ミュフィスと居れるならどこでもいいよ」

「どこでもは嫌だけど……じゃあ部屋に戻ろっか?」

「うん」

 二人で手を繋ぎ部屋へと戻っていくのだった。

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