第33話 デート
午後一時、エストア時計台前。
マシュアと共に一時間前から待っていたら女性陣がやってきた。
「ごめーん! 待たせちゃった?」
「いや、俺達も来たばかりだよ」
「すみませんお待たせしました」
「似合ってますよ、アイルース」
ん? マシュアとアイルースの距離がなんか近い気が?
「じゃあ一番街へしゅっぱーつ!」
元気いっぱいのミュフィスに皆がついていく。
一番街は相変わらずの賑わいっぷりだ。
「今日も賑わってますなー! お、串焼きはっけーん! おじさん! 二つ下さい!」
早速串焼き二人前食べるのかと思っていたら。
はいアイルース! と一つはアイルースに渡していた。
美味しそうに食べている様を見ていると。
「はい! 食べる……?」
串焼きが差し出された。
え……これはいわゆるあれなのか……?
「ああ、食べるよ」
串焼きを受け取ろうとしたが。
「あーん」
「あ、あーん」
ぱくっと串焼きを食べる。
何これ? めっちゃ恥ずかしいんだけど?
美味いなと感じつつも恥ずかしい……と思っていると隣りからも「あーん」と聞こえてきた。
見るのもあれだから俺はミュフィスを連れていって聞いてみた。
「マシュアとアイルースっていつ付き合いだしたんだ?」
「えー……? 聞いてないのマシュア君から??」
「聞いてないって……」
「レイが私にプロポーズしてくれた日だよ」
「そ、そうなんだ……」
あの日お前も頑張っていたのかマシュア……と感慨深くなる。
「よーし! じゃあ、服屋さんに行こう!」
服屋に着いてから一時間……。
女性陣の試着を褒めちぎりなんとか服を決め購入し、近くの公園のベンチで休む。
ふぅ……と一息つく。
「あ、飲み物買ってくるわ」
ドレイクは人数分の飲み物を買いに、路地を抜け通りに出ようとした……。
「あんたがランドロック領の領主か?」
声がかかる、……上?
上を見ると屋根に座っている男がいた。
「なんだ、違うのか?」
二度聞いてくる謎の男。
「俺が領主のドレイクだ、なんか用かよ?」
「そうか、黒蛇に王奪の壊滅、あんたが嚙んでるって聞いてな」
よっと、と言いながら屋根から飛び降りてくる。
「俺はギルド神殺しのニードって言うんだ」
「それで?」
「いやあ、挨拶がてら一目見ようと思ってな。ガスノットの馬鹿を倒したっていう奴をね」
こいつ、闇ギルド員か……?
「ならもう用は済んだか?」
「ああ、今日は別に戦おうって気は無いんだ。またな」
そう言ってドレイクの横を通り抜け通りの方に消えて行った。
「神殺し? 聞いたことがないな……マシュアに聞いてみよう」
屋台でフルーツジュースを四人分買って戻る。
「あ! おかえり!!」
ミュフィスが手をふってくる。
「ただいま、さっき変な奴に絡まれててちょっと遅くなった」
「変な奴?」
「ああ、ギルド神殺しのニードってやつにな」
「大丈夫だったの……?」
「挨拶したかっただけらしい。変な奴もいたもんだ……」
「そっか、レイが無事でよかったよ……」
はい、フルーツジュースと皆に配っていく。
「アイルースは何か知らない?」
「神殺し……確かLv.90以上の戦闘員四人で構成されている闇ギルドですね」
「Lv.90が四人……!」
「本人たちが悪事を働くのではなく、闇ギルドを纏め上げている立場に位置しているらしいと聞きました」
「まじかよ、てことはあいつも……」
戦闘にならなくて良かった。
今は三人とも武器を持っていない、王都で出歩くのは危険だな……闇ギルドの庭と化してるのは気に食わないが。
「悪い、ミュフィス……学院へ戻ろう。何かあってからだと遅い」
「うん……そうだね、今日は帰ろっか!」
いつの日かゆっくりと王都を見て回れる日は来るのだろうか……?
楽しみにしてくれていたミュフィス達に申し訳ない。
「貴方が気に病む事ではありません。王都は今や危険な場所ですから」
「ありがとう」
荷物を纏めて学院の寮へと戻る。
解散してからマシュアと合流した。
「俺がいない間そっちは大丈夫だったのか?」
「特に変わった様子はなかったな」
「そうか……悪いな呼んで、またな」
二人とも自室へと帰っていく。
「ふぅ、部屋は落ち着くな。今日はゆっくりするか……」
テレビを付けてお湯を沸かす。
Lv.90……。
誰もが到達したいと願う一つの目標であり、国家戦力の一番上なのがそのラインだ。
戦いになれば一騎当千の力を発揮し、他者を一切寄せ付けない強さ。
俺もいつかは辿り着きたい。
いや、いつかじゃない、五年生になる前には辿り着いて見せる……そう決心する。
だけどそれだけではない、ミュフィスとライラの昇格も必要だな……。
仲間全体でLvアップしていかなければ意味がない。
戦いが常に一対一だとは限らないからだ。
紅茶をいれてほっっとする。
テレビを付けてニュースを見ているが最近特に物騒だな、騎士団と闇ギルドの抗争は今もずっと続いている。
街行く人たちも活気はあったがどこか不安そうな顔をしていた。
一般人が狙われることは少ないが0ではない。
そりゃ不安だよな……俺たちでさえ不安なのだ。
何とかしないとと思うけど学生の出来る事なんてたかが知れている。
闇ギルドに向き合うのは騎士団に入団してから考えよう。
学院にいる間は大人たちに頑張って貰わないと。
「眠くなってきたな、仮眠でもするか……」
あくびをしながらベッドへ向かう。
気を張っていたからか疲れがたまっていてすぐに眠れた……。




