第31話 プロポーズ
部屋に戻った俺はシャワーを浴びて、髪を乾かし、丁寧にセットしていく。
「よし、これで見た目はok。次はスーツだ」
この日の為にスーツもオーダーメイドで買っていた。
「よし、これで服装はok」
「次は……」
せっせと準備をする。
一世一代の大勝負なのだ気を抜いていられない。
「指輪とピアスも着けて」
「短杖はここにあるからokっと」
「今何時だ? 十一時か……よし、もう行こう!!」
約束は午後一時からだがドレイクはもう行って待っていることにする。
「近くのベンチで待っていよう……あそこは中々人が来ないし大丈夫だろ」
母さんから聞いたことがある、女生とのデートに遅れるなど言語道断、一時間は早く行って女性を待つのが紳士のマナーだと。
今回はプロポーズだ、二時間位早く行けば大丈夫だろう、忘れ物がないか念入りにチェックして寮を出る。
何人かの生徒達とすれ違うが、スーツを着ている為チラチラとみられる。
珍しいのだ、学院内では基本生徒達は学生服か私服で過ごしているから。
だが今のドレイクには周囲の視線を気にしている余裕はなかった。
目的地の噴水前に着く。
綺麗な場所だ、何故かあまり人が来ないのが不思議だが今は都合がいい。
「よし、おさらいをしよう」
「まずは挨拶! 挨拶からだ……ごきげんよう? いいのか? これで……」
女性へのプロポーズなんてしたことがない俺にとっては、何が正解か分からなかった。
「直球で行くか! 直球で……好きです、付き合ってくださいか……?」
言葉に出してみて結構恥ずかしいことに気づく……。
「落ち着け……落ち着け俺……」
「どうしたの?」
「いや、今から……って! ミュフィスッ!!」
「うん! 時間空いてたから噴水を見に来たんだ!」
綺麗だねーと噴水を眺めるミュフィス。
行け! 今しかない! 行くんだ! 覚悟を決めろ俺! と自分を奮起させる! 行くぞ!
「ミュフィス……」
「うん? どうしたの??」
「ずっと待たせてすまなかった……出会った時から貴方の事が好きです。私と結婚してくれませんか……?」
短杖を服の中から取り出して片膝をつき相手へと差し出す。
!!
ミュフィスは驚いた。
きっと今日は振られるのだと思っていたから……。
「一年も待たせるなんてズルいよ……ドレイク君は……」
ポタポタと涙が頬を伝う。
「ズルい、本当にズルいんだから……私がこの一年どんな気持ちでいたか…… 分かる……?」
返す言葉もない。
俺は最低な事をしてしまった。
「本当に、ごめんなさい」
「最低、女たらし、スケベ」
「ごもっともです」
返す言葉もない……スケベはちょっと違う気もするがまあそうなんだろう。
「女たらし、女たらし、女たらし」
「ごもっともです」
するとミュフィスはふふっと笑う。
「貴方は、私の事を幸せにしてくれますか……?」
!!
「必ず、必ず君を幸せにすると誓うよ!!」
「うん! よろしくね! レイ!」
彼女から抱き着いてきた。
あたふたしたが抱きしめ返す。
ああ、やっぱり彼女には笑顔が似合う……。
「ああ! よろしく! ミュフィス!!」
こうしてドレイク・ランドロックとミュフィス・フロージアは結ばれたのであった。




