第30話 学院へ
俺達は王都エストアへ戻ってきた。
「帰って来たな」
「また、騒がしい日々になりそうだ」
ふっと笑いマシュアは王都の街並みを馬車の中から観る。
「俺達も三年か……」
「意外と早いもんだな」
ジノとバアルも今回は一緒に乗っている。
馬車ギルドに馬が着き荷物を持って降りる。
「さ、学院へ帰ろうぜ」
四人は並んで学院へと歩いていく。
門をくぐり寮へと歩いていると、女生徒達がチラチラと見ては何か話している。
「うわっあのダークエルフの人かっこよくない……?」「くそっ、高Lv集団め。地獄に落ちろ!」「ドレイク先輩達帰って来たんだ……」
そう、後輩人気が高いのだ。
ギルド竜友の会でも積極的に後輩を迎え入れて指導したり、時折遊んだりしているドレイク達。
女子生徒と同じくらい男子生徒人気も高い。
「さーて、帰ってジノの部屋で飯にでもしようぜー」
「今日はトランプ負けたやつが片付けな」
「私はやることがある」
「俺の部屋はいいけどマシュアは来ねえの?」
そんな会話をしつつ歩いていると、一人の女の子がこちらに向かって走ってくる。
「ジノ先輩ーーーー!!」
あの子は……レベッカ・クライツ。
そう、クライツさんとこの孫娘だ、赤髪赤目で綺麗系の顔立ちをしている。
確か土属性の魔法が得意でウィゼルさんにもよく守備が上手いねと褒められていたっけ……。
うちのギルドに所属している一年生でジノとバアルと特に仲が良かったはずだ。
勢いよくジノの目の前に来てから、息を整える。
「ジノ先輩!! 好きです!! 私と付き合ってください!!!」
……え? うそおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
皆口と目があんぐりと開いている。
もちろんジノ自身も、いや、ジノが一番驚き口が開いている。
するとごほんっっと咳払いしたマシュアが、俺とバアルの首根っこを掴み脇へと移動させる。
「私、冬休暇中もどうしてもジノ先輩の事が忘れられなくて……だから!!」
「レベッカちゃん……」
想いを叫び、今にも泣きそうになっているレベッカ。
「俺と結婚してくださいぃぃ!!!」
な、なにいいいいいいいいいいぃぃぃいいいい!!! 結婚!!
!!
レベッカが驚く。
「必ず!! 必ず君を幸せにして見せる!! だから俺と!! 結婚してほしい!!」
なんて男らしい直球のプロポーズだ。感動してしまう。
周りの聞いていた生徒達も感動している。
あの馬鹿でガサツなジノが、たまには良いこと言えるじゃねえかと……。
「は、はい!! よろしくお願いします!! ジノ先輩!!」
顔を真っ赤にしたレベッカが嬉しそうに口元を抑えて笑う。
「おう!! よろしく!!」
ニカッっと笑ったジノの笑顔が眩しい!!!
「ということで俺たち話があるから、今日の集まりは無しにしてくれないか?わりぃな……?」
とジノが申し訳なさそうに言ってくる。
……殴りたい、いや、タコ殴りにしたい。
こっちの三人は今まで彼女の一人も居ないんだぞ……羨ましいけしからん。
皆思う事はあるだろう、だが自然と笑ってしまった。
「おう、おめでとうジノ!」「やるなジノ、嫌われるなよ?」「ジノ……感動したぞ」
「また明日な!!」
そう言ってジノはレベッカと一緒に校舎の方へ歩いて行った。
羨ましい……。
取り残された男三人は……静かに寮へ帰宅するのであった……。
翌朝、ギルドで借りた訓練場でウィゼルさんと訓練をしていた。
結局ギルド設立の話は、一般のギルドでは無くて学院の生徒達が運営する学生ギルドを設立した。
自由度が高いのが魅力であり、活動方針も特に決まっていないからありがたいのだ。
「はぁっはぁっ!!」
「うん! 強くなってる、以前よりも」
ウィゼルさんとの訓練はずっと本気でやっている。
十回戦って三回くらい勝てるかどうかだ。
戦ってきた経験値が違いすぎて、中々、一本を取るのが難しい。
対人戦闘のコツや守り、攻めのタイミング、色々と教わっている。
ウィゼルさん本人も近接戦闘は俺が一番だと褒めてくれる。
その訓練光景を後輩や同級生のギルドメンバーたちが見ている。
「ウィゼルさんの盾と剣さばきかっこいいよなー!」「お、ドレイク先輩が一本とった!」「私も強くならないと!!」
今の一本はなんとかドレイクが勝ち取った。
「はぁっっはあっ……休憩してくる……」
「私も休憩してこようか……皆も休憩に入ろう!!」
「はい!!」
水道の並んでいる水飲み場まで行き水をコップに入れて飲む。
ゴクゴクゴクッと水を飲むと少し回復する。
火照った体にはやはり冷えた水が一番美味い。
「ウィゼルさんは相変わらず強いな……」
「そうだね! ウィゼルさんはいつでも強いよ!!」
と言って横でファイティングポーズを取りパンチの真似をするミュフィス。
ってミュフィス……!?
「おはよう、ドレイク君! 元気にしてた……?」
「ミュフィス、話があるんだ。午後会えないか……?」
少し驚いた表情をするミュフィス。
「うん、いいよ」
笑顔で了承してくれる。
「じゃあ午後一時に噴水の前で」
「うん!」
するとドレイクは準備のためにその場を後にする。
「……ドレイク君、覚えていてくれてたんだ……」




