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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第三章 ランドロック領編
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第29話 バーセラル山

 翌日、俺達はバーセラル山の山頂まで来ていた。


「よし、じゃあ早速だが神竜の加護を検証する」

「マシュアの弓に付与したときは相当な威力だったのだろう……? どこに撃つつもりだ?」

 バアルが心配してくる。

「いや、今回は空に撃つ」

「空なら安心だな……ジノ、念のために離れるぞ」

「おう」

 ジノとバアルが離れていく。

「マシュア、準備は良いか?」

「いつでも」

 では。

「神竜の加護よ!!!!」

 詠唱に共鳴して右手の人差し指に装着している指輪が光りだす!! マシュアの魔弓に加護が付与される。

「雷弓の加護よ! 敵を穿て!!!」

 前と変わらない短文詠唱!

 これで威力はどんなものか……。

 閃光。


「グルルルルッ!!!!」

 巨大な翼を四枚持つ、雷の竜が現れた。


「なんだこれは……?」

 え? いやいや、夢でも見ているのか……?

 雷の竜はと電気を放ちながらマシュアの上空に待機してじっと遠くを見ている。

 マシュアは制御するのに手いっぱいになっているようだ。

 魔弓から電気が発生している。

「マシュア! 空へ撃て!!」

「ああ!!! 竜よ空へ!!!」

 すると竜は咆哮を上げながら空へと昇っていく。

 雲に当たる高度まで凄い速度で登っていく。

「エクスプロード!!!」

 遥か上空で大爆発が起きた。

 皆が空を見て口を開いている。

 そう、曇り空が割れて太陽が顔を覗かせていた。

「か、かっけえええええええええええええ!!!!!」

 うおーーーー! と全員が声を出す。

「今の凄すぎんだろ!!」「これは凄いな!!」「びびったぁ!!」

 マシュアは汗をぬぐう。

「流石に冷やりとしたぞ、死ぬかと思った……」

「制御できるのは流石だな!!」

「ギリギリだったがな、あの雷竜、恐ろしい力だったな……」

 ジノとバアルはまだ空を見上げてすげー等言い合っている。

 皆興奮が冷めずにいる。

「俺の槍も新調して魔槍にしようかな……」「俺も剣を魔剣に切り替えるか……」

 なんか聞こえてきた、絶対自分がやりたいだけだ……。


「よし!! このまま魔物を狩りに行くぞ!」

「魔物……?」

「金が必要だろ……? 魔槍と魔剣を買うんだったらな?」

「あ、ああ!!」「そうだな!」

「よっしゃ金稼ぎだ!! ひゃっほーーう!」

「悪役みたいなセリフだな! ジノ!」

 ジノとバアルはすぐに下山していった。


「マシュア、手は大丈夫か……?」

 念のために聞いておく。

「電気が魔弓から溢れてきたときには驚いたが、大丈夫だ」

「そうか、ならいいや」

「レイ」

「なんだ?」

「あれが全力か?」

「いや、三割程度だ」

「三割であの威力か……」

「今回は試しだったし、そのうち五割は制御できるように俺達で練習しないとな」

「そうだな、確実に今の雷竜が俺たちの切り札になる。磨いておかないとな」

「さ、ジノとバアルはもう行ったけど俺達も行こうぜ?」

「そうだな……行くか!」


 下山し森で魔物や野生動物を狩って帰宅する。

「ただいまー」

「ドレイク坊ちゃまーー!! 大丈夫でしたか!!?」

「何が?」

「竜です!! 竜が暴れて空が割れてここいらは大騒ぎです!!」

「あ、ああ……それ、俺たちの魔法だから安心していいよ?」

「ま、魔法ですか……?」

「とっておきの……ね?」

「それなら安心しましたぞ……寿命が縮んだ思いですがね」

 ジーーーっっと見てくるセイベル。

「悪い! 父さんにも伝えといて!」

「かしこまりました……くれぐれも坊ちゃまの身に危険が無いように気を付けて下され」

「おう! そこは安心しとけ!」

 バシッとセイベルの背を叩き自室へと戻る。

 シャワーを浴び終えて一人外に出る。


 静かな夜だな……夜空に浮かぶ星が綺麗だ……。

 ミュフィスも今頃同じ星空を見ているだろうか……。

 玄関前で黄昏てみる。

「ふぅ、寒いな……」

 三月近いというのにまだ寒い。

 ここは雪が降らない街だがそれでも寒い、帰りの馬車を考えると億劫になる。

 (早く皆と会いたいな)

 ミュフィスを一年ほど待たせてしまった……。

 想いを告げなくちゃ……私は貴方と結ばれたいと……将来を共に歩みたいと……。

 地面に座り込み星空を眺める。

 入学式の日がはるか遠くに感じる。

 初めて訓練場であったあの日から、思えば俺はミュフィスに虜だった。

 誰よりも明るく、俺の行く道を照らしてくれる君を好きになった。


「私……ドレイク君の事が好きです! お付き合いしてください!!」


 あの時も本当はすぐに俺も好きだと伝えたかった。

 だけど、君を傷つけてしまうのが怖かった……。

 今は違う、ウィゼルさん、アイルースさんから守る術を教わった。

 竜の力を制御する術を手に入れて更に強くなった。

 君に前を歩かせてしまう、そんな情けない男ではなくなったはずだ。


 「よし、ここに思い残したことはもうないはずだ」

 明日立とう。

 クライツと約束してたけど手紙を書いて謝ろう、また、今度になると。

 よし! 父さん母さん、家の皆に別れの挨拶をしてこよう。

 また、帰ってくるとき、その時はミュフィスを連れて帰ろう。

 きっと皆からも受け入れてもらえるはずだ。

 そうと決まれば行動だ! やるぞ!

 そうして皆との別れを済ませ、俺達は翌日王都へと再度旅立っていった。

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