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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第三章 ランドロック領編
25/111

第25話 実家

 馬車は遂にランドロック領へ着いた。

 家から王都へと出てきた逆からの景色だ、空気が懐かしい。

 馬車ギルドへはここから一時間ほどで着く、そこからは歩きで30分ほどで実家だ。

 早く着かないかなーと心が躍る。

 マシュアと実家に帰宅してからやりたいことなどを話しているとすぐにその瞬間は訪れた。


 馬車ギルドへと到着する。

「久しぶりの街だ!!!」「やはりバーセラルの街は落ち着くな」

 久しぶりの故郷だ! 早く家に帰って皆の顔が見たい!!

「マシュア! 昔みたいに走っていこうぜ!!」

「そうだな! 競争だ!!」

 街の迷惑にならない程度に駆け抜けていく。

 見慣れている街並みが過ぎていくのを感じるとともにいかに自分が成長したかを実感してきた。

 背も高くなり、実力もついた。

 父さん……母さん……帰ったら何から話そう?


 色々考えていると館がみえてくる。

 門にいた護衛の騎士たちがいち早く気づいた。

「レイ坊ちゃま……? レイ坊ちゃまだ!!!」「おお! レイ坊ちゃま!!」

「おーい! ただいまーー!!!」

 門を開けてくれる。

「久しぶり! シア! シグニ!」

「大きくなりましたね!!」「すぐにレナイゼル様とエレナ様へ伝えてきます!!」

 シアとシグニは兄妹だ、生まれ育ったこの街からエストア魔法騎士学園に行き、卒業して戻ってきている。

 いわゆる先輩だ。

「マシュア君も! 元気だった???」

「久しぶりだなシア、元気だよ」

「相変わらずクールね! さ! 中へ入って!」

 庭を進んでいくと玄関のドアが開いた。

 母さんだ。

「レイ!」

 駆けだしてきて抱きつかれた。

「レイ! 久しぶりね……! 大きくなって!!」

「ただいま! 母さん! 元気にやってたよ!」

「マシュアも、おかえりなさい!」

「エレナ様……ただいま戻りました……」

 涙ぐむマシュア。

「あらあら? 何かあったの……?」

「うん、色々。本当に色々な事があったんだ……」

 涙ぐみながら答える俺。

「そう……」

 俺から離れてマシュアを抱きしめる。

「良く帰ってきましたね」

「エレナ様……」

「レイを守ってくれてありがとう」

「はい……!!!」

 マシュアもエルフの中じゃあ全然子供の年齢なのだ。

 親に甘えた経験がこの家に来てからしかないマシュアにとってはおかえりの一言がとても嬉しかった。

「さ! 中に入りましょ!」

「うん!」「はい!」

 久しぶりの家だ……。


 過酷な経験を繰り返してきたドレイク達にとっては唯一心が安らぐ場であった。

「ドレイク坊ちゃま……マシュア君……おか、おかえりなさいませ……」

 号泣している執事長のじい、セイベル。

「ただいま! セイベル!」

「セイベル様、ただいま帰りました」

 皆が笑顔になっている、嬉し泣きしているものが大半だが……。

「レイ!!! マシュア!!」

 二階から父さんが降りてくる。

「父さん……!! ただいま!!!」

「ああ!! おかえり!! レイ!!」

 父さんに抱きしめられて頭をぐしゃぐしゃにされる。

「また強くなったな!! 父さんを超えたか、レイ?」

「痛いよ……ははっ、本当に超えたかも!」

「何ぃい!? 生意気な奴だ!!」

 せっかく整えてきた髪が崩れる。

「ははっ!! マシュア!! お前も来い!!」

 二人を抱きしめながら豪快に笑う父さん。

「痛いですよ……レナイゼル様!」

「俺に文句言えるくらいにはなったか! マシュア!!」

 マシュアも頭をぐしゃぐしゃと撫でられる。


「それでだ……帰って早々に悪いがレイ、俺と試合をしろ」

 真剣な目、声だ。

 まったく、家に帰って早々に。

 だが、やるしかない。

 父さんに認めてもらえなければいつまでたっても俺は子供のままだ、もう守られる側じゃあない。

 家を、仲間を、友人、恋人、領民を守っていく側なんだ……!

「ああ! やってやるぜ!!」

「よし! 威勢はいいが……父さんも本気で行かせてもらう!」

「ああ!」


 中庭に一同は移動する。

 父さんは昔、国の騎士だった、そして剣を得意とする。

 今思うと騎士ごっこ以外では戦ったことはない。

 しかし領の騎士団の皆や、ジノの父であり騎士団長のハザックさんが言うには、領の中では父さんが一番強いらしい……。

「大丈夫かしら……レイ……」

 エレナはドレイクを心配する。

 するとマシュアはこう言った。

「レイは今やLv.90にも肩を並べるほどの実力者です。勝負はすぐに決まりますよ……」

 !!

「マシュア! 合図を頼む」

 俺は集中していた、目の前の父を超えなければいけない日が今日なのだと。

 対する父さんも剣を構え、隙が無いように見える。

「では、行きます。試合! 開始!!」


「神竜の加護よ……」

 ドレイクが詠唱する。

 加護を両足に付与し一気に加速する。


 一瞬だった。

 マシュアや父さんだけ目で追えていたが勝負は一瞬。

 ドレイクの爪がレナイゼルの喉元に突き付けられていた。


 レナイゼルはドレイクの目をじっと見ていた。

「ふっ、俺の負けだ」

 剣が手から落ちていく。

「勝負あり!! 勝者!! ドレイク・ランドロック!!!」

 マシュアが叫ぶ。

「な、なんて力だ……」「レナイゼル様が負けるなんて……」

 騎士団の誰かがそう呟いた。

「……レイ、今日を持ってお前をランドロック領主に任命する」

 !!

 皆が驚く。

 ただ俺だけは違った。

「はい! 父さん!!!」

 そうして深く礼をする。

 俺はランドロック領の領主となった。


 館に皆で戻り父さん、母さん、俺、マシュアだけでの話し合いが始まる。

 まずは俺達から今までの出来事を全て、包み隠さずに話す。

 父さんと母さんにとって、それは衝撃だった。

 しばらく無言が続いていたが父さんが口を開く。

「お前たちは本当によくやった…… それとよく話してくれた」

 友人達との出会い、種族が竜になったこと、初めて人を殺したこと、そして好きな人がいること。

 ギルドでの活動、クラスの先生、ダンジョンでの魔物との戦い、全部を話した。

「レイ、お前を誇りに思うよ……もちろん、マシュアもだ」

「うん」

「はい」

「そうか……お前たちももう立派にやっているんだな」

「まだ甘いとこも多いけど楽しくやっているよ」

「そうか、安心したよ。二人とも腹減ったろ? 今日は美味いご飯でも食べて! 語り合おうぜ!」

 そうして朝まで語り合ったのであった。

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