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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第二章 エストア魔法騎士学院編
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第22話 エルンの街

 昨日は色々あった。

 ガスノット達の襲撃、エルフの森が闇ギルドと手を組んでいるという事。

 ラプドの死、初めて人を殺した。

「ヒヒィーン」

「……朝か」

 馬の鳴き声で目が覚める。

 今の季節は冬だ、朝日が昇っているとはいえ身体が冷える。


 起きたらすでにマシュアが焚火に薪をくべて料理の準備をしていた。

「おはよう、マシュア」

「おはよう、レイ。よく眠れたか?」

「ああ、気分はいいよ」

「そうか、準備にもう少しかかる。子供達とでも遊んで来い」

 近くを見ると子供たちがワイワイと楽しそうに雪合戦していた。

「おりゃー!」「キャーー!!」「アイシクルカノン!!」

 いや、アイシクルカノンはまずいでしょ……まあ子供なら平気か。

 つららでは無く雪玉みたいだし注意するのは辞めといた。


「ずいぶん元気だな」

「今朝起きた時も昨日の礼を言われたよ。将来は騎士になりたいみたいだ」

「へえ……」

「あ、お兄ちゃん起きた! 魔法! 魔法教えてよ!!」「僕にも!!」「私にも!!」

「あー、俺は魔法使えないんだ……マシュアが得意としているからご飯食べたら教えて貰いな」

 男の子の頭をグシャっと撫でる。

「でも、昨日凄かったよ! こう! 爪が生えて敵を圧倒してた!!」

 と興奮収まらない様子で眼を輝かせてくる。

「ははっ、あれは俺の切り札だからな」

「すげえかっこよかったよ!」「ドラゴンみたいだった!」「かっこよかったー!」


 褒めちぎってくれる子供達。

「そうか? じゃあ一つだけ魔法を見せてあげよう」

「やったー!!」

 湖の近くまで移動する。

「じゃあ、僕……名前は?」

「ダイル!!」

「ダイル、木の棒を手に持ってみて」

「うん!」

 木の棒を掴むダイル。

「それじゃあ合図を出したら思いっきり木の棒を湖の奥の方へ投げるんだ。分かった?」

「分かった!」

 これから何が起きるのか不思議でたまらない様子で三人が木の棒を見ている。

「神竜の加護よ……」

 そして木の棒に加護を付与する。

「いいよ! 投げて!!」

「おりゃー!!」

 思い切り湖に向かって投げるダイル君。

 そして湖の中央付近に到達し凍っている水面に落ちていき、氷を砕き盛大な水しぶきを上げたのだ。

「キャーー!!」「すげえええええええ!!」「うおおおおおお!!」

 と驚く子供達三人。

「これが魔法だよ、どうだった?」

「僕、絶対に白聖の魔法騎士になる!!」「僕も!!!」「私も!!!!」

「そうか! じゃあ俺は先に行って待ってるから。約束だ」

「うん約束!!!」

 そして子供たちはまた駆け回り遊びに行った。

 空には虹がかかっていた……。


「ご飯の準備ができましたよ!」

 マシュアを手伝っていたお婆さんだ。

「わーい!!」

 子供たちはすぐに駆け寄ってくる。

 それを見ていた大人たちは、終始微笑んでいた。


「エルンの街には明日着く! 道中の戦闘は引き続き俺たちに任せてくれ! では!行くぞ!!」

マシュアの号令により馬車が進んでいく。

そうして無事に三日目の昼になる。

「エルンの街が見えてきましたぞ!!」

御者の人が大声で皆に知らせる。

「ついに着いたか!」

「弓の損耗が思った以上に激しい。エルンの街に良い弓があればいいのだが……」


 エルンの街は国の中では大規模の街だ、王都に近いこともあり、商人や様々な人種で賑わっている。

 門をくぐり馬車ギルドまで到着して皆とは解散になる。

 子供たちがじゃーねーと手を振る姿に手を振り返しまたな! と声をかける。


「さて、武器屋に行ってみるか?」

「ああ、装備を整えるのが先だ」

「じゃあまずは鍛冶ギルドでも行ってみるか」

 鍛冶ギルドは鍛冶屋であれば全員が所属しているギルドだ。

 そこで注文や要望にそった武器、防具が売っている店を紹介して貰える。

「そうだな、時間はかかるが行くとするか」

 歩きながら周囲を見ていると店の装飾が凝っている大きなギルドが建っていた。

 鍛冶ギルドだ。


 鍛冶ギルド内は凄い熱気で包まれていた、強そうな冒険者がゴロゴロといて      皆が一級品の武器や防具を求めて集まっている。

 いくら高い金を払ってでも、武器と防具は良いのにしろと昔道場の先生にも言われたものだ。

 さて、お眼鏡にかなう弓はありますかねと早速、弓が売っている方へと進む。

「待て」

「ん?」

「そんな量産品を見に来たわけではない、名のある鍛冶職人が造り上げた弓が欲しい」

「そうか? ここにあるの全部凄いんだけどな……」

「確かに欲しいが全部普通の弓だ、俺は魔弓が欲しい」

 魔弓、それは魔力耐性の高い弓の事だ、おそらく俺が持つ神竜の加護との相性を吟味しての事だろう。

 通常魔法とは触媒に魔力(マナ)を込めて詠唱し発動する。

 魔力耐性が低すぎると魔力の込める量によっては壊れてしまうのだ。

 だから魔法使いは杖を必ず持つ。

 生身での魔法の行使は危険であるからだ。


「魔弓ねぇ……」

 ここ二年で金は結構稼いだつもりだ。

 ダンジョンでの希少素材、ガスノット討伐時の報酬、闇ギルド王奪討伐時の報酬等で結構持ってはいる。

 がどうしても倹約したい気持ちに駆られる。

 だが武器を扱うものにとっては命を預ける武器の強さは重要だ。

「よし、一番性能の良い魔弓を探すか!」

「ああ、悪いな」

「いや、大事なことだ」

 受付に行き要望をマシュアが伝える、するとドワーフが持つ工房を紹介された。

 ドワーフ、言わずとも知れた鍛冶の為に生まれてきたような職人が多い種族だ。

 俺達は鍛冶ギルドを後にして工房へと向かう。

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