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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第二章 エストア魔法騎士学院編

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第13話 入学式

 出会ったばかりのミュフィスと俺は入学式の会場へと向かう。

 こんなに可愛い子と知り合えて、俺は内心ウキウキで気分がよかった。

「学院生活! それは青春と友情の日々……そして恋なんかも……ああ、楽しみだなあ!」

 芝居がかった演技をしている隣のミュフィスは、もっと気分が良さそうであった。


「ねえ? 派閥は決めた? どこが楽しそうかな??」

 派閥、そう、結構大事な事だったりする。

 だけど俺は一つの選択肢を考えていた。

「派閥には入らないよ」

「えーー!? 入らないの?」

「うん、新しくギルドを作ろうと思うんだ」

 そう、新ギルドを設立して自分たちの好きなように活動する。

 これが俺の中でのやりたい事だった。

「ギルド!? 私も入りたい!!」

「うん、いいよ」

 あっさり返事をする俺、そう断れないのだ。

「やったーーーっ! 新しいギルド! 楽しそう!」

 天に向けて両手を上げて喜んでいるミュフィス。

 ふふっ、と思わず笑みがこぼれる。

 こんなに天真爛漫な子初めて出会った……。

 なんか色々小難しいことを考えて悩んでいたのが馬鹿みたいだな。

 せっかく家族皆が笑顔で送り出してくれたんだ、もっと楽しまないと。


「でもさ、ギルドって学生でも設立できるの??」

「Lv.80以上が一人いればギルドは成立するんだ。後は学生ギルドかな?」

「え……? てことは……君、Lv.80!?」

「いやいや! 俺の従者のマシュアってやつなんだけどね、今度紹介するよ」

「びっくりしたー……」

 ふーっ、驚いて疲れたとパタパタと手をふって涼むしぐさを取る。

「でも」

「でも?」

「君も実はすごかったりするでしょ……?」

「うーん、どうかな?」

「ここの学院って入れるだけでも優秀で、将来を約束されているようなものなんだよ? 君、訓練場での見学している時も涼しい顔してたから……」

「はは、マシュアが近くにいるからね……感覚が麻痺しているのかも」

「ふーーん……どうかなーー……?」

 少し怪しむ目でこちらを覗いてくるミュフィス。


 そうして俺達は会場に着く。

 場内はかなり賑わっていた。

 新入生や式を見に来た親御さん、来賓の方達、客席は二階で、新入生が並ぶのは一階。

 受付をすまし俺たちは一階の会場へと入る。

 ここは大事な学生行事やこういった式典の時に使用されるらしい。

 なので凄い豪華な造りとなっている。

「凄い、緊張してきた……」

「新入生だけでも三百人はいるからな」


「おい……!」


 ?

 すると腕を掴まれた。

「おい、レイ!? 隣のすげー可愛い子誰だよ!?」

 急に肩を組まれ、ミュフィスに聞こえないよう話始める。

「あ、ああジノか。訓練場で知り合ったんだよ」

「なんで!? どうやって!? そしてずるい!!」

「ははっ、まあ俺が学院生活一歩リードしたのは間違いないな?」

「くっそおおおおおおお!!!」

「バカ! 声でけえよ!!」

 周囲の視線を集めながらジノは膝から崩れ落ちた。

「友達……?」

 するとミュフィスにも気づかれたようで状況を説明する。

「ああ、紹介するよ。こちら幼馴染の「ジノ・ウォルターです。貴方に出会うため生まれてきました」」

「ジノ君ね! 私はミュフィス・フロージアです。よろしくね!」

 かっ、可愛い!!!

 ズキューンっ! と一瞬でハートを撃ち抜かれたジノはまた膝から崩れ落ちそうになる。

「よ、よろしくお願いします……」

 と急にモジモジし始めた。

 馬鹿だ、いや、それは昔から知っていることでいまさらか……。


 思えばジノは昔からこういう感じだった。

 道場にいた可憐な女の子に片想いしていた時も、パン屋の可愛い女の子に片想いしていた時も。

 最初は勢いづいてキザなセリフを並べるも、話していくうちに段々としおらしくなっていき、会話が続かずに結局展開がなくなる。

 こいつに彼女ができる日は来るのか? と心配になるが俺もまだ彼女は出来たことがない……。

 人のことは言えないか……。


「まもなく式が始まります。新入生は一階の会場に整列し、来賓の方々は二階席へ移動お願いします」

 アナウンスが流れる、もうすぐ式の始まりだ。

「あ! そろそろ式が始まるよ!」

「おい、ジノ! 式が始まる、整列しよう」

「あ、ああ」

 そうして三人は列に整列しにいく。

 マシュアとバアルは従者なので別で二階席にとっくに向かっている。


「それでは王立エストア魔法騎士学院の入学式を始めます」

 そうして式辞やお偉い方の挨拶が次々行われていく。

「次に学院長からの挨拶です」

 学院長か……。

「初めまして学生諸君、学院長のミュゼラ・フロージアだ」

 ん? フロージア?

「ここ王都エストアが誇るわが生徒達よ、まずは入学おめでとう。我が学院の生徒である以上は国を守り、民衆に手を差し伸べ、規律を重んじ、結束を大事にする。限られた時間の中で君達が健やかに成長していく様を見守っておる。

困っている人がいれば手を差し伸べなさい。さすれば、加護が君達の行く道を照らしてくれるだろう。以上である」

 学院長の挨拶が終わり拍手が起きる。

「以上を持って入学式を終わります。」


 ふぅ……これで正式に学院の一年生だ。

「あ、そうだ。学院長ってミュフィスのお爺さんだったり?」

「うん! 私のお爺ちゃんなの! こっちまで緊張しちゃったよ……」

「はは、凄い人だったな。なんていうか貫禄が……」

「そう? あ! そういえばクラス! クラスはどうだった……?」

「俺はA組だったよ」

「私も! 私もだよ!」

「な! 俺はB組……」

 とジノは落胆する。

「まあ放課後はいつでも会えるさ」

「そうだよジノ君! 放課後はギルドで会えるじゃん!」

「ギルド……?」

「新しいギルドを作るんだ、俺達で」

「マジか! わくわくするな! バアルにも伝えねえと!」

「ふふっ、楽しみだね! これから!」

「ああ! これで放課後はミュフィスちゃんと一緒か……へへっ……」

 顔、顔がだらしねえぞジノ……。

「じゃあガイダンスあるからまたなジノ! ミュフィスには従者を紹介するよ」

「うん! 私の従者も紹介するね!」

 こうして入学式は無事に終わり、ガイダンスが始まる前にお互いの従者と合流しに行くのだった。

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