第12話 学院帰宅
闇ギルド黒蛇との戦闘を終えて、一同は学院へと着く。
バアルの傷は騎士団の聖魔法で治っている。
「……俺は何もできなかった」
バアルが珍しく弱音をこぼす。
「黒蛇の四人は相当な手練れです、初見で応戦するのは難しいでしょう。特にあの魔法、バアルを狙ってのものでした」
そう、レーゼは新入りのバアルを警戒していた。
データになく何をしてくるかわからないため、遠距離攻撃で潰す必要があったのだ。
「情けない所を見せてしまった……王都にはあのような闇ギルドがいくつもあるのか……」
大きい闇ギルドは五つくらいだが、その下部組織が犇めき、民間人にも被害が出ているのが現状だ。
「まあ、なんにせよ因縁の決着はつけれたんだ。よかったじゃねえか!」
ジノが明るく場の空気を支える。
「ひとついいでしょうか?」
「なんだ? マシュア」
「今回の件で改めて思い知りました、闇ギルドと戦うには危険すぎる」
「危険だから早く何とかしないとだろ?」
「いいえ、それは生き急ぎすぎです。今後は学院を拠点としてダンジョン攻略に臨むのがいいかと」
一理あるな。
毎回怪我人が出ながらの戦闘、いつ死んでもおかしくないよな……。
ダンジョンか、未知すぎてイメージも沸いてこない。
「ダンジョンには何があるんだ?」
「魔物の素材や希少な鉱石、薬草等です。ダンジョンはとても広大で豊かな資源の宝庫なんです」
確かに魅力的だが……。
「あー決めきれないな」
「今日はもう休もうぜ? 流石に疲れたし」
「そうだな……じゃあ解散で!」
明日は入学式がある。
さっきマシュアに言われた言葉。
今日確かにあのガスノットを仕留めた、今までとは比べ物にならないほどに強くなってきている。
焦ることはないんだ……時間をかけて後悔の無い選択をしよう。
そうだな、無所属でいるって言う手もあるし気楽に考えるか。
今日は疲れたしもう寝よう。
夢を見た。
夜に浮かぶ星々、そして加護を授かり喜ぶ子供たち。
加護とは不思議なものだ、まるで人類が戦う力を神が用意してくれたかのように存在している。
この世界には神がいる、空の神の天竜、海の神の水竜、陸の神の地竜。
神は直接この世界に姿を現したりはしない、星暦が始まる遥か前に滅んだからだ。
明日から始まる学院では、世界の歴史含め加護についても授業がある。
ハイルさんの剣の英雄……聞いたこともなかった、それにヴァンの事も知っていた。
この世界にはまだまだ俺の知らない事が多い。
翌日。
ぐっすりと眠っていた俺は目覚め、学院へ向かう準備をしている。
朝食を食べて寮を出て校舎へと向かう。
まだ時間に余裕あるな、訓練場にでも行ってみようか。
訓練場は校舎の裏にある。
近づいていくと剣戟の音や訓練場特有の熱気が伝わってくる。
素振りをしている生徒、立ち合いをしている生徒、休憩がてら少し談笑している生徒と結構賑わっている。
懐かしいな、道場もこんな感じだったな……。
そうして見学していると一人目を引く女の子がいた。
水色髪の背はそこまで高くない女の子。
彼女も見学しているようだ、新入生かな……?
俺は周りを男ばかりで幼少期を過ごしてきたので女の子にあまり耐性がない。
もっぱら声を掛けようなんて真似はしないしできない。
すると目が合った、と思ったらズンズンとこちらへ近づいてくる。
「君、新入生?」
「う、うん」
「よかった! 私一週間前に学院に来てからずっと一人だったの! ミュフィス・フロージアっていうんだ! 君は?」
なんだか勢いの凄い子だ。
「ドレイク・ランドロックです」
「ドレイク君って呼んでいい?? てか君背が高いね!」
そう言って手で背比べし始める。
!!
何だこの子? 可愛すぎるんだけど……。
「そういえば聞いた?」
「?」
「今朝ニュースで見たんだけど……闇ギルド黒蛇のメンバー全員捕まったんだって!」
「そ、そうなんだ」
と一応濁す。
「なんでも騎士団長のハイル・アーツが動いたとか!」
ファイティングポーズを取りシュッシュッとパンチの真似をする。
「へえ……」
「それとうちの生徒がリーダーのガスノットを倒したんだって!! 名前までは公表されていなかったけど……」
「それは凄いね」
「ね! 生徒会の人達かな?」
生徒会、騎士団から直接依頼を受けて動くいわゆる学院のエリート。
Lvも60以上で揃えていて優秀だと聞いている。
「良かったら一緒に入学式へ行かないか?」
せっかくだしミュフィスを誘ってみる。
「うん! そろそろ行こっか!!」




