第11話 王都激突
俺は装備を急いで整え、寮を出る。
昼間通ってきた桜並木の道を通っていく。
とても幻想的な光景だ、魔道具によりライトアップされている桜が暗い世界に映えている。
生徒達は寮へと戻っているのか、昼間のような活気はない。
静かな夜だ……。
午後十時。
桜並木を抜けようとしたとき誰かが校門にいることに気づく。
守衛じゃない?
「行くんだろ? 俺らもいるぜ」
そこにはジノとバアルが既に装備を整えて待っていた。
「ジノ……バアル……。 頼もしいな!」
「情報が足りない、とりあえずギルド風の歌に行って話を聞くか」
バアルがこの後の行動を決める。
あ、そうだ。
こんな時はヴァンに聞いてみるか。
「ヴァン、聞こえるか?」
「聞こえてるよ」
「闇ギルドに攫われた歌姫の情報が欲しい。何か知らないか……?」
「港だね」
港……?
「港から船を出して他国に奴隷として売りに行くみたい、今は倉庫にいるよ」
!!
ありがてえ……。
「動きがあったらまた知らせてくれ」
そうしてヴァンとの会話を終える。
「港だ、港に歌姫はいる」
「わかるのか?」
バアルが聞き返す。
「ああ、今さっき竜の仲間が教えてくれた」
「それは頼もしい」
バアルが感嘆する。
「すぐに俺らも向かうぞ!」
「だったら、僕に乗っていきなよ」
風が吹いた。
「ヴァン!!!来てくれたのか!!」
空から竜が降りてくる
「なっ!黒竜!!」
三人は驚きのあまり少しフリーズしている。
「皆乗ってくれ! 港まで直行だ!」
「色々言いたいことはあるが渡りに船というやつか……ジノ! 行くぞ!」
バアルが黒竜の背に飛び乗る。
「ああ! 行こう!」
ジノに続いてマシュアも飛び乗る。
すると翼を広げ一気に高度を上げ、目的地へと飛び立った。
エストア港第一倉庫。
「おい、後何分で船は着く?」
「三十分ほどです、ククッ」
「なげえな……」
「ボスー? あの女の顔面可愛くてむかつくから剝いで来てもいーい?」
「レーザ、あいつは売りもんだ……」
「ムカつくムカつく、私よりもかわいいのムカつくー」
「はあ、頼むから早く来てくれ……」
突然倉庫の扉が開いた。
「あぁ?」
「来てやったぜガスノット。今度こそお前らを仕留める!!」
速攻を仕掛ける!!
竜体になりガスノットへ向けて一気に駆ける。
「防御陣営だ! レーザ詠唱しろ!」
相手も即座に臨戦態勢に……だが遅い!!
「ガァアアアアアアアッ!!」
一撃でガスノットの剣を崩し脇腹へ爪を叩き込む。
ガッシャーン!
倉庫の奥へとガスノットを吹き飛ばす。
「ボス!」
「ククッ、困った坊主だ……」
背後に回り込んでいたラプダがフレイムナイフを持ち突っ込んでくる。
「させねえ!」
すかさずジノがハルバードで吹き飛ばす!
「おっと」
あと一歩で俺の背中を一突きしようとしていた体制から、グルンと宙へ翻りジノの攻撃をかわす。
「雷弓の加護よ!」
宙にいるラプダ目掛けて雷の矢が突き刺さった。
と思ったら宙でまた翻りマシュアの一撃を避ける!!
「避けただと!!?」
俺は驚愕する、宙であの体制からはどう足掻いても無理なはずだ。
「ククッ、危ねぇな、おい」
「ククッ、レーザ!やれ!」
ラプドがレーザへ指示を出す。
「砲氷よその身を砕け!! アイシクルカノン!!!」
詠唱していたレーザの長杖から特大のつららの砲撃が三つ飛んでくる!!
「避けろ!!」
「甘いわね! エクスプロード!!!」
俺とジノが避けて四人の中間地点に到達した特大のつららが爆発し、氷片が襲い掛かかってくる。
「ぐっ……!」
バアルの左太ももに氷片が突き刺さる。
「バアル!!!」
ジノが叫ぶ。
バアルは片膝をついている、思っているよりも傷が深いな……。
どうする……??
「これで三対三……ククッ、どうする?」
「本当にそうかな?」
その声が聞こえた瞬間ラプダの左腕が宙を舞った。
ドサッ……。
静寂が場を包んだ。
ポタポタとラプダの腕から血が滴り落ちる。
「ククッ、大物だ……ラプド、これはまずい!」
「ククッ、英雄ハイル・アーツ……!」
なんだ……?
あのラプダをいとも簡単に切り裂いた剣技……。
英雄……?
「この倉庫はもう騎士団に囲まれている。抵抗するなら……首を斬り捨てる」
ハイル・アーツの声が響き渡る。
「ラプダ……」
「ボス…… ククッ、生きていましたか……」
ガスノットの左脇は深く抉れていてもう立ち上がれそうにもない。
「降参だ…… もう、勝ち目はねえ……」
「ボ、ボス……」
レーザは力なく座り込む。
程なくして闇ギルド黒蛇の四人は騎士団に連行されていった。
歌姫は倉庫の奥の部屋から見つかり、無事に解放された。
「君達のおかげで素早く歌姫さんを解放することができたよ。ありがとう、礼を言う」
「いえ、俺達は当たり前のことをしたまでですから」
「ヴァンと飛んでいく君達を見つけて、もしや……と思い着いていったんだよね」
「ははっ、そうでしたかって、ヴァンを知っているんですか?」
「うん、人懐っこい竜だよね。そして賢い子だ……まあ、僕とはたまにしか話してくれないんだけどね」
と言い苦笑いする。
「あの、一つ聞いてもいいですか?」
「いいよ、お礼に一つ、僕が知っている事ならなんでも答えてあげるよ」
「ハイルさんの役職ってなんですか?」
「剣の英雄」
「剣の……英雄……」
か、かっこいい!!
「ユ、ユニークですか!?」
「う、うん。まあそんなとこかな?」
「凄いな……」
そんなかっこいい役職があったなんて……少しだけ羨ましい……。
「君もユニークでしょ? なんていうの?」
「俺はドラゴンロードです」
「竜の君主か……僕にはそっちの方が凄いと思うけどね」
「そうですかね? ははっ」
「それじゃあ僕は仕事があるからこの辺で。王都の騎士団に来るといいよ。僕が騎士団長をしているから三年に上がれたら引き抜いてあげる」
といい、ウインクしてくる。
「その時は是非よろしくお願いします!!」
「じゃあ、またね」
そういって馬に乗り颯爽と騎士を引き連れて去っていった。
騎士団長……剣の英雄か……。
【剣の英雄】ハイル・アーツ
人族25歳 Lv.89 剣術SSS,力SS,速さSSS,耐久S
【ドラゴンロード】ドレイク・ランドロック
王竜種16歳 Lv.74 竜術SS 咆哮S 闇魔法A 耐久S
【白聖の雷弓騎士】マシュア
ダークエルフ26歳 Lv.86 弓術A雷魔法B
【風槍騎士】ジノ・ウォルター
人族15歳 Lv.69 槍術S,風魔法A
【剣豪】バアル・ローマン
人族15歳 Lv.72 剣SS 力S,速さS




