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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第八章 騎士団長補佐編
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第108話 修練

 魔法師団第二修練場。

 入団試験の翌日から訓練が始まった。

 例年とは違う実戦形式の試合だ。

「おらぁ!!」

 新入りである獣人族のバーラルがウィゼルさんと戦っている。

「すかした防御してんじゃねえよ!! もっと本気で来い!!」

「戦場では常に冷静に、それが私の守りだ」

 互いに引かない接戦だ、バーラルは灰虎族、昔のゲルドとはライバル関係だったらしい。

「チッ!! 堅ぇな!!」

 他の新入りはどうだろうか。

「戦神テュール様、私に力を!!」

 メイルが獣化したところだ、メイルは白兎族に種族進化している。

 昔のメイルも兎族だったから、獣化するとそっくりだ。

 対するは色葉だ。

「可愛らしい姿ね……? あまり斬りたくないわ」

「行くっすよ!!」

 こちらも中々に接戦、技の切れは色葉だが速さと力はメイルに分がある。

 そして、一番驚いたのが……。

 ワーグルとカーミラの試合だ。

 カーミラは聖魔法、氷魔法、風魔法と三つの魔法を得意とする。

 あのワーグルが押されている……純粋な魔法の撃ち合いではかなり強力だなカーミラは。

 そして目を見張るのは近接戦の完成度の高さ。

 一度長杖の間合いに入ると鬼のように苛烈な攻撃を繰り出す。

(まるでフラム副団長のようだ……)

 俺は試合を分析して次は誰と誰を当てた方が良いかを考える。

 これは魔法師団だけでなく、聖騎士団と合同で訓練した方がいいかもしれない。

「魔法師団だけで育てるのはもったいないな」

「そうですよね……」

 ディアス先輩の意見に賛同する。

「来週あたりから合同で訓練できるかグレース様に聞いてみるか……」

「お願いします」

 試合を観ているとフラム副団長が修練場へと入ってきた。

「止め! 集合しろ」

「「「はっ!!」」」

 皆が集まるとフラム副団長が話し出す。

「先ほど陛下や殿下を含めた会議で決まった。今後、騎士団は一つの団に纏まって動くものとする」

「!!」

「理由は様々あるが……一番は統率を取りやすくするためだ。これには私も賛同している、時代の変わり目だ。組織も人も変化していかなければならない、分かるな?」

 俺もこの件は賛成だ、二つに戦力を分散させて特にメリットはない。

「今後はドラゴニア王国聖騎士団が正式名称となり、ハイルが騎士団長、騎士団長補佐が私になる。そして……騎士団長補佐にもう一人」

 ……ゴクリッ。

「ドレイク・ランドロック、今度こそやれるか?」

「!!」

 俺を指名してくれた……以前は期待に応えられなかったこの俺を……。

 深呼吸をして目を閉じる、決意はすでに固まっている。

 大切な家族を守る為、大切な仲間を守る為、もう大切な人が悲しむ顔を見たくない……。

 拳をぎゅっと握り目を開き宣言する。

「今度こそ、大切なものを守りきってみせます」

 フラム副団長にじっと見られる、この人は全てを見透かしてくる。

 半端な気持ちなら目を見続ける事さえできなかっただろう、だけど俺の今の言葉は本心だ。

「成長したな、今のお前には安心感を感じる」

「家族や友人、騎士団の仲間が俺を成長させてくれました」

「私から贈る言葉は一つだ。死ぬなよ? お前が消えれば騎士団は崩壊する、他を犠牲にしてもお前は生き延びろ」

「はっ!」

 それは苦しい決断だったが、俺が死ねば後を着いてきてくれた家族や友人は行く先を見失ってしまう。

 責任重大だな……だけど、俺は心を鬼にしてでもやりきってみせる。

「次に副団長だ。これはディアス・ブルーグに任せる」

「はっ!!」

「そして副団長補佐二人だ。マシュア・ランドロックとアイルース・ランドロックに任せる」

「「はっ!!」」

「以上だ。北の大国モーゼンギルド、西の大国セヴァイトもドラゴニア王国が力を付けたことに黙ってはいないだろう。本番はこれからだと私は見ている。各自いつでも戦えるように準備を怠るなよ? では聖騎士団の修練場へ移動だ!!」

「「「はっ!!!」」」


 聖騎士団第一修練場。

 総勢100名近くの騎士が集まっている。

「注目!!」

 フラム団長補佐が呼びかけて、ハイルさんが皆の前で話始める。

「一昔前まで騎士なんてなりたくないって人達が多かった。だけど時代は変わり、今や英雄の様な扱いだ。だったら僕たちがやることは一つだ、英雄らしく最期を飾る事。最期まで国を守って華々しく人生を終えよう。良い人生だったと大声で言えるような、一生をかけてしか成し遂げられない事を僕達でしよう!!」

「「「はっ!!!」」」

「守るよ、皆で、自分が愛した全てを、その為に我がドラゴニア聖騎士団は誰よりも誇り高く! 誰よりも強く在れ!!」

「「「誰よりも誇り高く! 誰よりも強く在れ!!」」」

「では、国王陛下から僕たちに向けての王命だ」

「「「!!」」」

「北の大国モーゼンギルドを討ち取り! 我がドラゴニアが世界へと羽ばたく為の礎とする!!」

「「「なっ!!!」」」

「もう、敵国へは宣戦布告を出している。傘下の国から兵や物資を集め、一か月後には魔導船を用いてモーゼンギルドへ進行を始める!」

 ドラゴニアから仕掛けるのか!! 確かに守りに徹する理由もなくなった今攻めに転じるのは分かるが……。

「部隊を編成する、まずは総指揮を執るのはディアス! 補佐と騎士団を連れて一年以内にモーゼンギルドを落としてこい!!」

 フラム団長補佐からの命令だ。

 ディアス先輩……大丈夫だろうか?

「……ずっと待ってましたよ、グレース様が俺を頼りにしてくれる事を!!」

 燃えているな、士気は大丈夫そうだ。


 その後は大まかな動きを説明されて夜には解散した。

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