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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第七章 魔法師団編
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第105話 流れ

 星歴3020年10月。

 今朝なんとなくテレビを付けたらとんでもないニュースが流れていた。

「剣王国と、獣王国、魔王国がドラゴニア王国の傘下となりました! これに伴って移民の受け入れや……」

 主戦力を失って危険だと判断したのだろう、傘下へと下るのはいいが移民が増えそうだな。

 来年の入団試験がいまから楽しみだ。

 

 今日行われる結婚相手の親族との顔合わせの準備をしつつ、騎士団に足りないものを考える。

 強い魔法使いが少ない……それと獣人と魔族を統率できる者がいない。

 以前はゲルドが国の獣人たちを統率していた。

 だが、これからは国内に獣人も魔族も溢れかえるだろう。

 そうなった時に纏める人が必要になる。

 まあ、明日騎士団に行ったときに考えよう、今は準備に専念せねば。


「準備できたかー?」

 ミュフィスの部屋をノックする。

「待って! 今着替えてるから!!」

 危うくドアを開ける所だった。

「表で待っているから皆呼んで来いよ」

「はーい!」

 後はのんびりと待って居よう。

「準備できたっすー!!」

 メイルが一番乗りだ。

 続々と準備を終えて皆が二話に集まってくる。

 今日はエストアホテルで夕方四時からの予定だ、今は午後二時、馬車に乗って早めに着いて父さん達と合流する。 

「お待たせ―!!」

 ミュフィスと手伝っていたアイルースも来たところで馬車に乗り込みホテルへと向かう。


 ホテルへと馬車が着き一同は中へと進む。

 ロビーに父さん達がいた。

「おお! レイ! 大丈夫だったか!?」

 先日のウェステンシアの件だろう。

「なんとかね、父さんそのスーツ似合ってるじゃん」

「良かった……お前、スーツはいいから心配させてくれ……」

「怪我していないし、あ、ジェミレさんと向こうで会ったよ、軽く話もした」

「本当にジェミレさん達も無事でよかった……ニュースを見た時心臓が止まるかと思ったぜ」

 そんな感じで話をしているとジェミレさん達ミュフィスの親族が到着する。

「お父さん! こっちこっち!」

「ミュフィス!」

 ジェミレさんがこちらへと向かってくる。

「初めまして、ジェミレ・フロージアと申します。娘が大変お世話になっています」

「初めまして、レナイゼル・ランドロックです、うちも息子がお世話になっています」

 挨拶を交わして握手をする二人。

「ああ、それとドレイク君」

「はい、なんでしょうか?」

「この前は命を救って頂き、ありがとう」

 ジェミレさん達は深く礼をしてくる。

「騎士の務めですから、私も家族を守れて誇らしいです」

「良い夫を持ったな、ミュフィス」

「えへへ」

 続いてライゼンさん達、ライラの親族が到着した。

「お父さんー!」

「ライラ、見ないうちに母さんに似てきたな」

 ライラの家は公爵家だ、ライゼンさんは貫禄もあるし緊張してきた。

「初めまして、レナイゼル・ランドロックです」

「おお、レナイゼル君。私はライゼン・アミュスフィア、どうかよろしく」

 ジェミレさんも挨拶を交わして三人で話している。

 外が騒がしいな……見に行ってみるか。

 グラドさん達が到着しちょっと揉めていた。

「ドワーフだからって通すことはできないのか? ええ?」

「ですから、あまりに人数が多すぎますので半数の方だけ……」

「グラド!」

「おう! ドレイクじゃねえか! メイルは来ているか?」

「ああ! 中で待ってるぜ」

「ガハハ! 娘の結婚記念に樽で酒を持ってきたぜ!」

 樽を担いで中へと入っていくグラドと工房の皆。

 警備の人は諦めたらしい、まあ騎士団の祝いの席だ、何も起きないだろうと思っての事だろう。

「メイル! いるか!?」

「親方!! こっちっす!」

 グラドが皆の方へと進んでいく。

 樽を担いでいる豪快さに皆、面をくらっていた。

「これは祝い酒だ。俺はグラド、メイルの親で国一番の鍛冶工房を持っている」

 父さん達も挨拶をしていき仲良く話をしている。

 アイルースの親族も到着して時間となったのでパーティー会場へと皆進んでいく。


 席に着き父さんが挨拶をする。

「改めまして、マシュアとドレイクの父のレナイゼルです。ドラゴニアと両家の栄光へ乾杯をしたいと思います」

 皆が席を立ちグラスを持つ。

「それでは! 乾杯!!」

「「「乾杯!!」」」

 俺は乾杯しながらまずはライゼンさんに挨拶に行く。

「ドレイクです、報告が遅くなりすみません……」

「そうだな……だが、いつ死んでもおかしくない職業故仕方ない。君も分かっているだろう?」

「はい、私の命に代えても家族は守り抜きます」

「君も生きる事だ、そうでなくては私が娘から怒られてしまうからな、ははは!」

「はい! 必ず!」

 良い人だ、厳しさの中に愛がある。

「君の人となりはライラからもウィゼルからも聞いている。娘にはもったいないくらい良い男だとな」

「ありがとうございます」

「謙遜はしないのだな?」

「行く行くは騎士団長にまでなりますから、そう思われても仕方ないかと」

「はっはっは! 騎士団長! 聞いたか皆! ドレイクは騎士団長になるらしい!」

 色々な視線が突き刺さる、疑心暗鬼の視線、期待の視線、好奇心の視線。

「私も馬鹿ではない、様々な戦場を潜り抜けてきて何人もの仲間が着いてきてくれた。だからこそ君の言葉が嘘ではないと分かる」

「本心ですよ」

「この場にいる君を知っている者は、君を信じている目をしている。それは、私でも無理な事だった」

「ライゼンさん……」

「騎士団長になって何を為す?」

「家族と仲間を守ります」

「良い答えだ、応援しているぞ我が息子よ」

「はい」

 握手を交わす、厚い手だ、それだけでこの人が長年剣を握って来たことが分かる。

 俺はジェミレさんの方へと向かおうとした時、一人のメイドさんに呼び止められた。

「ドレイクさん」

「なんでしょうか?」

「貴方はライラお嬢様には似合いません」

「ルーラ! 何を言っているか分かっているのか?」

 ライゼンさんが怒る。

「ライゼン様でも成し遂げられなかった騎士団長に成る? 笑わせないでくださいよ。そんな妄言を吐くような方が、お嬢様を幸せにできる訳がありません」

「それは、ドレイク君が弱いという事かな?」

「!!」

 声のした方を見るとハイルさんとフラム副団長が立っていた。

「どなたでしょうか?」

「ドラゴニア騎士団長のハイル・アーツだ」

「私はドラゴニア騎士団副団長のフラム・グレース」

 一気にざわつき始める、騎士団のトップ二人が現れたのだ。

「祝いの言葉を持ってきたつもりが仲間が侮辱され笑われていた。こんなにも許せないことは無いよ」

 珍しくハイルさんが怒っている。

「だ、だって! 騎士団長ですよ!? そんな無謀な夢に付き合わされるお嬢様の身にもなってくださいよ!?」

「無謀な夢か……僕はね、後三年もあればドレイクに敵うものは騎士団には居なくなると観ているよ?」

「そ、それは……」

「人望も厚くドレイクを慕っている仲間は私やハイルなんかより多い、心が未熟で不安にはなるが、それを補うのが仲間というものだ」

 ハイルさん……フラム副団長……。

「わかったかい? 君が勝手に下に見ているだけだという事が」

「ご、ごめんなさい! 私が間違っていました!!」

 冷汗をかいてルーラが頭を下げている。

「ルーラ、少し外しなさい」

「……はい、ライゼン様」

 ルーラが会場を後にする。

「……うちのメイドが済まなかった! どうか許してやって欲しい!」

 ライゼンさんが頭を下げる。

 ライラも親族の方達もそれに倣って頭を下げた。

「ドレイクの父として言いたいことは色々とありますが……レイ! お前が決めろ!」

「……決める?」

「あのメイドをどうするかだ。俺達はもう現役ではない。今後はお前中心に動いていく事になる、だから決めろ」

「だったら許すよ。ライラ、ルーラを連れてきてくれないか?」

「レイ……! うん! ありがとう!」

 俺は許すことにした、甘いと言われてもいい、俺はルーラの事をあまり知らない。

 今日は家族の事をもっと知っていきたいと思ってここにいる、だからルーラにもこの先もいて欲しいのだ。

「甘いな、だが女性に恥をかかせなかったのは良しとしよう」

 フラム副団長が肩に手を置いて褒めてくれた、そしてそのまま挨拶へと向かって行った。

「僕も挨拶してくるよ」

 ハイルさんも挨拶をしにいった。

 そうしてその後はパーティーを楽しみながら夜の時間へと移っていく。

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