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竜を従え王と成る  作者: 水亥
第七章 魔法師団編
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第101話 水の都

 戦いの後、水の都ウェステンシアでは復興作業が行われていた。

「こっち手伝ってくれ!!」「怪我人がいるぞー!!」

 多数の怪我人と死傷者を出した昨日の出来事にも負けずに、そこに住む人々は必死に作業をしている。

「土魔法を扱えるものは街全体の修繕だ! かかれ!」

「はっ!!」

 王都から到着した騎士団により復興はどんどんと進む。

 魔導船で物資も次々と届いていて順調だ。

 俺はミュフィスを連れてフロージア男爵の館に向かっていた。

「お父さん!!」

「ミュフィス!!」

 ジェミレさんと抱き合うミュフィス、心配だったのだろう。

「ドレイク、流石に土魔法使いが足りなさすぎる。一度王城へ戻ってクラスチェンジして来れないか?」

 ディアス先輩が一仕事終えて俺に話しかけてくる。

「分かりました、俺はあんま魔法使わないので大丈夫ですよ」

「助かるぜ、それと修練場に俺のクレイモアが置いてあるからそれも頼む。ヒビが入っちまってな……」

「でしたら俺が戻るまでこれを使って下さい」

 俺は武器生成してクレイモアを渡す。

「サンキュー、じゃあ頼む」

「はい」

 俺はヴァンに乗って王城へと飛び立つ。

 ヴァンの飛行速度は魔導船よりもはるかに早く、一時間あれば王城へと着いてしまう。

 前よりも成長して乗れる人数も増えたし本当に頼りになる。


 王城に着き玉座の間でクラスチェンジを果たした俺はディアス先輩のクレイモアを回収する。

「見ためよりも遥かに重いな、こんなのを扱っていたのか……」

 取り合えずウェステンシアへと戻る。


「先輩、クレイモア持ってきましたよ」

「助かった、お前はレベッカに着いて街の修繕を頼む」

「はい」


 今いる騎士で最も土魔法を得意とするのはレベッカだ。

 魔法にはいろいろな種類があるが豪魔法と呼ばれている魔法は特に高度なことが出来る。

 フラム副団長が豪炎使いだとしたらレベッカは豪土魔法使いだ。

「レベッカ!! 俺も土魔法で協力する、指示をくれ!!」

「でしたら向こうからお願いします!!」

「おう!」

 今は昼前だが街の復興作業は夜遅くまで続いた。


「ふー……疲れたな、後二日くらいあれば建物は直りそうだ」

 皆の協力のおかげで予定よりも早く作業が進んでいる。

 今日はもう作業を止めて明日また頑張ろう。

 俺は皆と合流するために広場へと向かう。

 炊き出しが行われていたので遠くからその光景を見つめる。

 家族、友人を亡くした人も多いはずだ……街が直っても心までは治らず、亡くなった人は帰らない。

 今回も全員を守る事はできなかったな……。

 俺は下を向いて自分の手のひらを見ながら考え事をしていた。

「はい!」

「ん?」

 顔を上げると可愛らしい女の子がいた。

「お兄さんもどーぞ!」

(これは……炊き出しでやっているカレー……)

「お兄さんはいいよ……君はもう食べたのかい?」

「まだです! 皆さんに食べて貰ってから……」

 もう午後十時、それでも行列は途絶えない。

「食べなよ? お兄さんはさっき食べたから」

「え? でも、皆さんが……」

 チラリと振り返りまだ炊き出しを頑張っている人達を見る女の子。

「近くに家族はいないのか?」

「昨日、亡くなりました……」

「そうか……」

 シュンとしてしまう女の子。

 俺は片膝をついてその子の頭を撫でてやる。

「今は食べて生きるんだ。家族の分までね、分かった?」

「お兄さん……はい!」

「いい子だ」

 その子は俺の隣りに腰かけてカレーを食べ始めた。

「美味しいか?」

「おいじいですっ!!」

「良かった」

 その子が食べ終わり、泣き止むまで俺は隣りにいてあげた。

「ルーシー!!」

 遠くから小さい男の子がこちらに向かって走ってくる。

「……お兄ちゃん?」

「探したぜ! よく生きてたな!!」

 お兄ちゃんと思われる人と無事に合流することが出来た。

「セイルお兄!!」

「ははっ! 泣くなよ!」

 兄弟で合流したようだが、この年齢の子が親を亡くして生きていくには厳しいな……。

「行く当てはあるのかよ?」

 俺はセイルと呼ばれた兄の方に聞く。

「俺達、剣王国から家族で逃げて来たんだ……だけど父さんも母さんももう……」

「だったら俺の家に来るか?」

「え?」

「子供二人くらいは面倒見れるさ、安心しろよ」

「あ、あんた何者だよ?」

 セイルは俺を警戒している。

「ドラゴニア王国、魔法師団のドレイク・ランドロックだ」

「「!!」」

「騎士様……?」

 ルーシーは驚いている。

「嘘つけ! 騎士はそんなに優しくねえ!!」

「どうしてそう思う?」

「騎士は偉そうにして! 何かあれば不敬罪で殺しをする悪い奴だからだ!!」

 剣王国も相当内部が腐っているようだな。

「ドレイクさんは怖くないよ!」

「ルーシー……」

 セイルは黙ってしまう。

「ドレイクさんは人を傷つけるような人じゃない!」

「で、でも……」

 孤児院に引き渡す手もあるし、俺が出しゃばるのも良くないか……。

「まあ、まずはカレーを食ってから考えろよ俺が貰ってくる」

 そう言い残して俺は炊き出しの方へと向かう。


 カレーを受け取り戻ってきた時にはルーシーは寝ていた。

「こんな所で寝たら風邪ひくぜ?」

 セイルにカレーを渡す。

「いいのかよ? 俺達なんかに飯食わせても」

「難しいこと考えないで黙って食え」

 一口、二口と食べ進めるうちにセイルは泣き出していた。

「剣王国は内部が既に腐っている……ドラゴニアに来て正解だったなお前ら」

「どうすれば……どうすれば父さんや母さんを守れたんだろう……!!」

「悔しかったらうちに来い、将来強くなって、家族に誇れる騎士に成れ!」

「お願いじまずっ!!」

 

 それから三日後、無事に街を直した騎士団は王都へと帰還する。

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