第100話 因縁
俺はフラム副団長の家に辿り着く。
庭に降りると既にディアス先輩とフラム副団長が待っていた。
「ディアス先輩! フラム副団長!!」
「ドレイク、よく来たな」
「話は後だ!! ウェステンシアへ行くぜ」
「はい!!」
三人でヴァンの背に乗り一気に飛び立つ。
ディアス先輩まで着いてきてくれるなんて頼もしすぎる!!
「ドレイク!!」
「はい!」
「ゲルドは私がやる! お前は剣王国の鬼葉を相手しろ!!」
「!!」
やはりゲルドが絡んでいるのか!!
「分かりました!!」
鬼葉か……剣王国の頂点に立っている女剣士の名だ。
「ディアスは生き残っている騎士と連携して民を守れ!!」
「合点!!」
拳を合わせて遥か遠くを見ているディアス先輩。
「いきなりウェステンシアが落とされたのは匂うが……」
「いきなり……」
俺が思い出すのはあの光景だ、メイルがいきなり現れた魔王との戦い。
「もしかしたら! 魔王が糸を引いているかもしれません!!」
「!!」
「もし魔王ググドアがいたら……俺に任してくださいよ、グレース様」
「分かった、死んでも生き残れ!! いいな!!」
「「はっ!!」」
水の都ウェステンシア。
「おい、そろそろ引き上げるぞ」
「全員殺してからだ、まだ領主の館が落ちていないだろ?」
「同感ね。情けは無用だわ、ゲルドちゃん」
ゲルド、鬼葉、ググドアの手下達は街を破壊して見つけた民間人は虐殺、女は拘束して持ち帰ろうとしていた。
「領主の館にいる女は連れて帰る、上位魔族の繁殖に必要だ」
「じゃあ、行きましょうか?」
三人はミュフィスの家族が住む領主館へと向かって歩き出す。
「ググドアちゃんのワープは使えないの?」
「今日は後一回使えるよ、何が起きるか分からないからね」
「そう、用心しとくに越したことは無いわね」
「待て、何か来るぜ」
「あれは……黒竜か?」
ヴァンの背から俺達は飛び降りる。
目の前には三人、こいつが鬼葉か……。
「やあ、久しぶりだ」
「ググドア……」
魔王が軽い挨拶をしてくる。
「はっ、フラムか。なんだ? 俺達を止めようってのか?」
「当たり前だ、私はこの国の騎士だ」
「フラム・グレースね……気をつけなよ? ゲルドちゃん」
「こいつとは何年も戦ってきた仲だ、俺の方が強いのはフラムも良く知っている」
「そうだ、貴様は確かに強い。だが、今日は私が勝つ」
「面白いね、それで? 私の相手は誰がする?」
「俺が相手だ、クソ野郎」
「貴様は中々骨がありそうだ、いいだろう」
「私は僕が相手してくれるの?」
「ああ、あんたは俺だ」
「そう……お姉さん、本気で相手してあげるわ」
刀を構えて鬼葉の目付きが変わった。
「まずは……お前からだ!! フラム!!」
ゲルドはいきなり獣化をしてフラム副団長へと迫る。
「!!」
フラム副団長が僅かに長杖を構えるのに遅れた!! マズい!!
「死ね」
右爪がフラム副団長の首を捉えた。
「グレース様!!!」
ディアス先輩が叫ぶが……爪が振るわれて、首が飛んだ。
「!!」
「……は? テメェ!! 何をした!!!」
鬼葉の位置とフラム副団長の位置が入れ替わっていて、鬼葉はゲルドの一撃で死んだ。
「何も、魔法でスキルを奪った、それだけだ」
フラム副団長がググドアのスキルを奪ったのか!!
「舐めた真似してくれるね……いいだろう、全力で相手をしよう!! 氷竜の加護よ!!」
「狂神ベルセルクよ!! 俺に殺戮の許可を……!!」
真正面から二人がぶつかる。
「なんだその剣……!? なんだその力は!!」
「終わりだぜ……!! 死ねよゴミ野郎!!!」
ググドアの剣ごと身体を両断するディアス先輩。
ドサッとググドアの上半身が地面へ落ちる。
「ふざけんな!! てめえらにそんな力があるはずねえ!! ふざけんなよ!!」
ゲルドが吠えている。
「戦神テュールよ……私を勝利へ!!」
「ざけんな!! お前!! 思いあがるのもいい加減にしろ!!!」
ゲルドが突っ込んでくる。
あまりにも単調な動きだ、もはや勝敗は決した。
「神竜の加護よ!!」
ゲルドの右爪が迫りくる。
(団にいた時はあんたが大きく見えた……でも今は、比べ物にならないほどに!! 小さいぜ!!)
「ガアアアアアアアアアアアアアッ!!」
伸ばした右爪でゲルドを切り裂いた。
「ガハッ!!……」
ゲルドが崩れ落ちる。
「終わりだ、言い残すことはあるか?」
首へ爪を突き付けて最期の言葉を聞く。
「ねえよ……何もな」
俺はゲルドの首を跳ね飛ばした。
「守るものもない信念なき貴様らと私達では、強さの格が違う」
そう言ってフラム副団長は三人の遺体を燃やした。
骨すらも焼き払って後には何も残らなかった。
「行くぞ、領主館へ」
ヴァンに乗って領主館へと急ぐ。
「どけえ!! 女は生かして拘束しろお!!」
「耐えろ!! 援軍が来るまで耐えるんだ!!!」
空から見て乱戦が起きていた、若干ゲルドたちの手下が押している。
そこへヴァンと俺達が突撃する。
「竜が降ってくるぞー!!」
「退避しろおおおお!!」
「魔王様の援軍だ!! これでお前らはお終いだ!! ギャハハハハ!!!」
騎士と兵士たちは絶望する。
「援軍に来た!! 騎士達よ!! 賊を捕えろ!!」
フラム副団長が地面へと飛び立ち、騎士の士気を上げる。
「!!」
「グレース様!! 我々の援軍だ!! 一気に終わらせるぞ!!」
「「「はっ!!!」」」
十分ほどで賊を全員捕えることが出来た。
中には死んだ者や自決した者もいるが、尋問して今回の件を聞き出せそうだ。
「助かりました!! グレース様!!」
「中には入られていないか?」
「はい! 賊共はここで全員止めました!!」
すると館の扉が開いて一人の男性が出てくる。
「ジェミレ男爵!」
「おお! 援軍か!! グレース様!!」
フラム副団長とジェミレさんは握手をしている。
「攻めて来た魔王とゲルド含め全員仕留めました」
「何と!! 魔王が!!」
「お初にお目にかかります、フロージア男爵」
「君は……?」
「魔法師団のドレイク・ランドロックです」
「!!」
「そうか、君が……。落ち着いたら話そう、助けてくれて感謝するよ」
「はい!」
ジェミレさんと握手を交わす。
フラム副団長はここに残って騎士や兵士の指揮を取っている。
俺達は一度城へ戻って国王陛下へ報告、そして騎士をできるだけ連れて行き街の復興をする予定になった。




