リタ無双
ーリタ無双〜
お楽しみください。
三日月
竜〜リタ無双〜
四人はあまりの凄まじい話に完全に呑まれていた。
ティアが……あのティアが……
舞は怒っていた。
何に怒っているのか分からない。
動けない自分?違う――
裏切られたティア?少し違う――
裏切ったリタ?それだけでもない——
この理不尽な世界だ!この理不尽で歪んだ世界!
どうしてこんなに血が流れる?
どうしてこんなに人が泣く?
どうしようもない怒りが舞を突き動かした。
力の入らない身体でリタに近づく……
振り返ると結が、モカが、カリンが、後に続いていた。
「なんか用?もう四柱になんて、なんの価値もないのだから消えなさいよ」
リタがシッシッと手で払い除ける仕草で嘲笑った。
「価値のあるなしはあんたが決めることじゃないわ!」
舞は自分の中の鬼に語りかける
(美衣……今だよ今――私にチカラをお願い!)
結が自分の中のヴァンパイアに語りかける
(王の命令が聞けないの?――今すぐチカラを!)
モカが自分の中の獣に語りかける
(おい!何寝てんだ??――起きろバカヤロー)
カリンが自分の中のフェニックスに語りかける
(護れって言ったよね?――この焔で)
鬼が雷鳴を轟かせる。
ヴァンパイアが牙を鳴らす。
ライカンスロープが咆哮をあげる。
フェニックスが炎を纏い羽ばたく。
上空を旋回していた竜から光が迸り4人に注がれる。
それぞれの8thチャクラが回る。
舞の頭から二本の角が生える。
結の口に牙が生える。
モカに尻尾が生える。
カリンの背から焔の翼が生える。
「みんな!いくよ!」
結が走りながらエナジーライフルを連射した。
リタの姿がブレたように消えてエナジー弾が全てすり抜けたように後ろの木に当たった。
「こんな遅い弾!当たると思ってるの?」
言いながら闇の獅子を顕現した。
正面に舞が立ち塞がり闇の獅子の牙をナイフで受け止める。
「ぐぁぅっ!」
モカが援護する。
「舞姉ぇ!」
闇の獅子にタックルして動きを止める。
「モカ!ありがとう」
舞のナイフが雷を纏い、闇の獅子の首にナイフを突き立てて切り裂く。
「へぇ、私の獅子を……しかし、今更そんな力!私にはお前たちのエナジーの流れが見える!」
「ずっとティアの目を通してお前たちを見ていたのよ。技も、癖も、チャクラの流れも全部知っているわ」
カリンがティアのもとへ飛び、再生の炎でティアを回復させようとするが傷は治らない。
「ダメだ!この人、生きる気がない。心がもう死んでるみたいだ」
ティアの心は壊れていた。
一万年騙されていた。
それがこんな形で知らされたのだ、正常でいられる人間などいやしない。
結が叫ぶ!
「リタ!あなた一体何がしたいの?ティアは未来で神になろうとしていた!それを本当は自分がやりたかった?美味しいとこだけ持っていくなんて!」
モカが続ける。
「そういうのって他人の褌で相撲をとるって言うんでしょ?あんたセコイよ」
リタが笑いながら
「アッハハハ、馬鹿じゃないの?そんなことしたい訳ないじゃない!私は誰かを産み、育て、導く神になどなりたくない。すでにある命も、これから生まれる命も、すべて私の意思で書き換えられる存在になるのよ」
リタは叫びながらティアを見た。
「あ!ゴメンゴメンそこにいたよね?本気で1万年もそんなめんどくさいことを願いにしていた馬鹿な人が!」
モカが怒りを込めて、静かに言う。
「お前不愉快だ!もう喋んな!」
リタに襲いかかる。
「獣の分際で生意気な!」
モカが手加減なしで腕を振った。
リタが細い腕でモカの攻撃を受け止めた。
「な!?私の全力が!」
「これが全力って?」
リタが一歩踏み込んで右足がまっすぐモカの腹に吸い込まれていった。
モカの鳩尾に突き刺さり、ものすごい音がした。
ライカンの固い腹筋がなければ貫かれていたほどの力だった。
「ぐはっ!こいつ強い!」
「当たり前じゃない!一万年もの時間、力を蓄えてきたのよ!あんたら如きザコなのよ」
結が近づいて叫んだ。
「エナジーリミッター解放!」
結が異次元のスピードで接近しリタの頭を蹴った。
リタの髪を蹴りの風圧がなびかせた。
「……早いな……でも私には届かない!」
次の蹴りが簡単に掴まれた。
「嘘でしょ」
足首を掴まれ、そのまま振り回された。
「うぐぅ」
そのまま舞に向かって投げつけた。
「ああくぅ」
受け止めた舞も飛ばされ木に激突して止まった。
「結!大丈夫?」
「強すぎる」
「連携するわよ」
「わかった!」
舞と結が走り左右に大きく弧を描きリタに飛びかかり攻撃した。
結の蹴りがリタを狙う。コマのように回りながら回し蹴りを連続して放った。
リタが避けながら結の軸足を払った。
中に浮いた結にリタが蹴りを放とうとする隙をついて舞が間合いを詰めた。
舞が連打する。全て片手で受けられ、舞は腕を掴まれ引き寄せられた。リタの頭突きが舞の頭に当たりものすごい音がした。
一撃で意識が飛ばされそうになった。
「ううあ」
リタがそのまま結に飛びかかり、連続で蹴りを放つ。
腹!胸!顔!三連の蹴りで結がまた吹き飛ばされる。
吹き飛ばされながら、結がライフルを構え叫ぶ。
「エナジーバースト!」
銃身から数十発のエナジーの奔流がリタを飲み込むと思った瞬間、リタが軽く右手を上げると見えない壁が立ち塞がったようにエナジーバーストが弾かれた。
「これもダメなの?」
モカが気付いたように叫ぶ。
「あいつ避けてるということは当たれば効くんだよ、動きを止めよう」
カリンがマッハのスピードで体当たりしようとフル加速した。
「フェニックス フルブースト!」
カリンの最大スピードが当たる寸前、リタがカリンと同じスピードで後ろに飛んだ。
「遅い遅い!」
下からカリンが蹴りあげられた。
リタが飛んだ、その先にモカが待ち構えていた。
「受け止めて動きを止める!」
手を広げリタを受け止めようと手を広げた。
しかし、リタのスピードが上がりモカにぶつかった!
衝突の瞬間、モカの身体が打ち出された砲弾のように吹き飛んだ。
ぶつかった木が簡単に折れた。
膝をついてすぐには立てない。
「なんてやつなの!」
「やっと身体が温まってきたわ」
リタがモカを追撃し拳の連打を浴びせた。
「さっきの生意気のお仕置よ!」
すごい拳の連撃がモカに叩き込まれた。
「あぐああああ……ちくしょう!喰らえ!ビーストインパクト!!」
モカの最大のエナジーを込めたパンチがリタに向かって放たれた。
「ふん!こんなパンチ!」
リタがモカの拳に拳を当ててきた!
ドゴン!!
拳と拳が激突し骨の軋む鈍い音が響いた。
二人とも後ろに飛ばされた。
モカの腕から血が滴った。
「獣!少し痛かったぞ!死ね!」
リタがモカを睨みつけて襲いかかった。
「私が相手だ!」
舞がモカを庇うように飛び込んだ。
「エナジースラッシュ!乱舞」
一度に数十本のエナジースラッシュを叩き込む斬撃だ。
それすらリタは素手で斬撃を叩き落とした。
舞がリタを挑発しながらカリンに目で伝えた。
(その間にカリンがモカの回復を!)
「そんなことだろうと思ったわ」
リタが標的をカリンに変えた。
「させないわ!」
結が間に飛び込んだ。
「邪魔よ!」
結にも拳の雨が降り注いだ。
何とかガードするがダメージも大きかった。
四人の息が上がり、肩で息をしていた。
「どうすればいいのよ」
「強すぎる!」
「ちくしょう!8thチャクラ全開なのに…………」
モカが叫んだ。
「……それだ!チャクラを増やせばいいのよ!」
舞がとんでもないことを言う。
「みんなの四柱の8thチャクラを、私の8thチャクラに重ねて回すのよ!
「馬鹿なこと言わないで!出来るわけないじゃない、万が一可能だとしても8thチャクラ一つで何倍ものエナジーなんだよ?三人のチャクラが追加で一人の肉体で廻ったら今の何倍になるかもわからないのよ!算数わかってるの?身体がバラバラになっちゃうでしょ」
結があまりの舞の無茶な提案に言葉を荒ぶらせた。
「上見てよ、まだずっと竜が飛んでる」
「さっきは私たち四人の意識が、竜という大きな器に入った。なら今度は逆よ。四つの力を、私という器に入れる!」
「私にはわかる!出来るわ!そしてするのよ!」
「私が竜になる!」
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