EMP
〜EMP〜
お楽しみください。
三日月
四柱〜EMP〜
舞と結とマユリが戦闘区域に着いた。
「これは!!」
惨い状態だった。
炎と煙……火薬の臭いと、もっと嫌な肉が焼けるような臭いが充満している。
もう誰が敵で誰が味方なのかも分からないほど、戦局は混沌としていた。
「モカとカリンは?」
「多分ここと反対側の街かもしれない。ここからは見えないわ」
「ティアは?」
「光の塔のところなのだよ」
ティアは光の塔への攻撃を阻止することで精一杯だった。
「マユリ!結!ほっとけないでしょ?行くよ」
二人は黙って頷く。
「マユリはここから状況と敵をマッピングして。私と結で叩く!」
「わかったのだよ!」
「舞との共闘久しぶりだわ」
舞が右手で左腰の左手で右腰のコンバットナイフを抜きエナジーを込める。コンバットナイフが燐光を放つ。
結が背中に背負っていたエナジーライフルを持ち構えエナジーを込める。
キュインと音がしてエナジー弾が装填される。
その二人の背中にマユリが左右それぞれの手を添える。
マユリから体温以上の熱が伝わり二人の魂が光る。
うなづいた瞬間……消えたように移動した。
舞がティアに接近してきた兵士を切り裂く。
結が銃を持つ兵士を確実に一発で沈めていく。
見事なコンビネーションでアジア連邦の兵士を倒していく。
そして……ティアの横に立つ。
「もう大丈夫なの?」
「助けてなんて言ってないわよ」
ティアが憎まれ口を言う。
キィィィーーン……鼓膜を震わすジェットエンジンの吸気音が世界樹の麓から鳴り響く。
アジア連邦の空母から発進した最新鋭戦闘機が編隊を組み世界樹の幹にミサイル攻撃を仕掛けた。
その瞬間ものすごい衝撃が世界樹を揺らした。
「全機世界樹本体にミサイル全弾発射!」
「これだけデカいんだ!外すなよ!」
ミサイルが世界樹の幹に着弾していく。
世界樹が悲鳴を上げるように震える。
「全弾着弾!」
マユリの脳内モニターに警告アラームが点灯した。
(戦闘機が光の塔狙ってる、させないのだよ!)
「次はあの塔だ!」
と空母から司令が飛ぶ。
兵士が光の塔から撤退していく。
舞がその動きを見て叫ぶ。
「やばい!兵士が離れた!光の塔がミサイルに狙われる!」
「間に合わない!!」
「次の目標はあの光の塔だ」
「撃て!」
ミサイルが一直線に光の塔に向かう。
突然、ミサイルの推進力が消えミサイルはずっと手前に爆発することなく落ちて勢いが止まるまで転がって止まった。
「何が起きたの?ミサイルが落ちた」
結が驚きの声を上げた。
「フッフッフ」
マユリが光の塔の前に立ち塞がる。
「マユリ!!」
遠くから見てもドヤ顔がわかるぐらいだった。
「衛星回線をハッキングして戦闘機のウェポンシステムを操作してやったのだよ!」
次のミサイルが発射された。
マユリの目がチカチカと青く光る。
ウェポンシステムを操作して目標を強制的に変更する。
ミサイルが発射した戦闘機にUターンして向かって飛んで行く。
戦闘機に着弾し紅蓮の炎に包まれる。
コクピットからパイロットは脱出していた。
「ははは!全部落としてやるのだよ!」
「ミサイル一斉に撃て!」
同時に3発のミサイルが一斉に発射された。
ジェット推進でミサイルが光の塔に背を向け立ち塞がるマユリに向かって飛んでくる。
「ぐむむ!三発同時!!」
マユリの目が光り、血管が青く浮き立つ。
全脳細胞がハッキングの演算を瞬時にする。
推進力がなくなりスピードが落ちたミサイルが鉄の塊となってマユリに向かっていく。
その鉄の塊の前にマユリを護るように三人が立ち塞がる。
結がエナジーバーストでミサイルを破壊する。
舞のナイフから雷を纏った斬撃が飛びミサイルをバラバラにした。
ティアの顕現させた巨大な獅子がミサイルをたたき落とした。
マユリの目と鼻から血が流れていた。
「マユリ!!また無茶して!」
戦闘機が一旦離脱していく。
「少し頭を使い過ぎてしまったのだよ!天才マユリ様のスーパーハッキング!名付けて、マユリ・スーパー・エクセレンス・グレー………………」コボッっと血を吐いた。
「マユリやめて!」
結が血を拭いながら介抱する。
「ありがとう、結」
マユリの手が結の手に重なる……
「戦闘機はきっとミサイルを装備してすぐに戻ってくるのだよ!そして……次は防げそうにない!……でも安心するのだよ!私には秘策!最後の必殺技を出す時が来たのだよ!」
「必殺技ってあんた血を吐いてるのよ!」
舞が泣きそうな顔で怒ったような声だった。
マユリは続ける。
「今からこの世界樹の空域全てにEMP攻撃をするのだよ」
決意の決まった目で舞と結を見ながら言う。
「EMP……電磁パルス攻撃……全ての電子機器が使用できなくなり戦闘機もここに持ち込まれた近代兵器も全て無力化出来るのだよ」
「そんなこと……マユリはどうなってしまうの?」
「正直に言おう、私の半機の機能は停止する。どうなるかは……私にも分からないのだよ」
「――――ダメ!ダメよ」
舞と結がマユリを説得する。
「じゃまた前みたいにデバイスに、そうあの箱マユリになればいいじゃない?」
「結、ありがとう、でもあれも機械でEMPで壊れる。それにそんな簡単な物ではないのだよ」
戦闘機がミサイルを補充して戻ってくる気配がする。
「だったら……だったら……」
舞が代替案を探す。
「舞、ありがとう。もうこれしかないのだよ。普通の人間やここの生物にはなんの被害も影響もなく敵の電子機器だけを使用不能にする。私は死ぬか生きるか?5分5分!これはやるしかないのだよ」
舞と結はわかっていた。
もうマユリは引くことはないと言うことを
私たちを助ける為には自分のことなど少しも厭わないことも。
涙を堪えた声で言う
「やるからにはちゃんとやりなさいよ!」
「そして約束して……生きるって」
「ふふふ、ありがとう……二人に泣き顔などもうさせたくないのだよ」
自分で立てないぐらい疲弊したマユリを舞と結が両方から肩を組んで支える。
背の低いマユリの両足が浮いてパタパタと動く。両親に手を繋いでもらって遊んでいる子供のように見える。
「この構図どこぞの連行される宇宙人みたいだね」
「なんて言ったっけあれ?」
「グレイなのだよ!全く……こんな時に」
3人は笑いながら泣いていた。
ティアがマユリの前に立つ
「マキナの記憶が言っていたのだよ、ティアに救いを!と…………舞と結のいる世界を諦めないでくれないか?」
「私の望みは変わらない」
「ふふふ……少し顔に感情が出てるようなのだよ……ティア……いい顔だ」
戦闘機が光の塔をロックオンした。
「舞!結!エナジーを」
舞が泣きながら二つ角の鬼になる。
結が泣きながらヴァンパイアになる。
マユリの電脳のチャクラが光り輝く。
「マユリ・ファイナル・エレクトロ・マグネティック・パルス・グレート・ワイドレンジ・スペシャル!」
マユリの周りの空気の層が歪み、チカッっと何かが弾けたような音がした。
マユリの身体の半分を占める機械部分が弾けた。
強力な電磁パルスがマユリを中心に広がる。
最新の武器はただの鉄の塊になり。
戦闘機は全ての機能が止まり墜落していく。
パイロットが脱出していた。
近隣の空母が完全に無力化した。
――マユリ!!
マユリは意識を失い舞と結が腰を支え立っている。
「マユリ……すごいよ天才マユリ様!」
「マユリ!最後の技のネーミング最高だったね!」
「なんて言ったの?もう一回聞かせてよ」
――――返事はなかった。
…………………………!!!
マユリの弾けたナノマシンの残滓がキラキラと金色に光り、舞と結の魂に降り積もる。
「あああああ……」
舞と結の身体が黄金色に光り輝く。
黄金のヴァンパイアが牙を剥き天を仰ぐ!
黄金の鬼が哭いた!
読んでくださりありがとうございました。
次回更新は明日19時です。
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