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フェアリー•レゾナンス〜ふたなりの私達が金色の竜となり世界を救う〜  作者: 三日月
四柱編

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闘論

〜闘論〜


お楽しみください。


三日月

四柱〜闘論〜




 ジョン・ストライク大統領は最大の選択を迫られていた。

 今しがた日本の倉木綾香総理とホットラインで話した。

 やはりお互いの情報を掛け合わせると、一つの事実が浮かんだ。

 アジア連邦が秘密裏に世界樹に向けて空母を向かわせていて、先行した陸戦部隊はもう世界樹にとりついているという。

 アメリカ軍作戦本部は紛糾していた。

 すぐさま我々も空母を出すべきと言う意見が多い。

 マーガレットはスマートフォンで倉木綾香総理とずっと話している。

 長い話が終わりマーガレットはジョンに

「あのモカとカリンももう世界樹にいる。日本からも三人のフェアリーが……世界樹の秘密の一端である四柱と言う女性達が世界樹にいるわ」

 

 マーガレットが低く言い切った。

「でも!今アメリカ合衆国がこの五人を助けるために空母を動かしたら……」

 

 ジョンがゆっくりと震えた声で言った。

「第三次世界大戦…………」


マーガレットが目を伏せて言う。 

「充分すぎるトリガーだわ……あの核ミサイルをあの二人が止めてくれたから繋がれた平和なのよ」

 

「綾香も言っているわ!もう一度あの素晴らしいフェアリー達を信じましょ」

 

「しかしアジア連邦がそこまで本気だとは」

 

「妖精達に神の御加護を……」


 二人は神に祈り十字をきる。

 五人がその神の中にいることなど知る由もなかった。

 


 ――遡ること二日前

 門から少し離れた場所でスズナとスズシロが軍幹部と会っていた。

 男の軍服はアジア連邦のものだった。

 この門までに至る行軍で見た進化の模索のようなバケモノたちは有無も言わさず撃たれていった。

「我々はこの先には行けないのか?」

「無理ね」

「我が連邦国家も根の侵食で多大な被害が出ている。それに貴様らからの情報が本当でこの世界が消滅の危機にあるならば、我が連邦は全力でこの世界樹を武力で排除しなければならない!」

「今は武器を私達に、これさえあれば四柱と言えども殺せる!」

「揃いさえしなければいいのだから!」


 

 


 賛成派と反対派の争いは苛烈を極めていく。

 四柱のかけらといえどもマシンガンで撃たれれば死ぬ。

 賛成派が次々に撃たれて倒れる。

 ハギとキキョウも近代兵器に押されていく。

 

 反対派のセリとスズシロがマシンガンを乱射し、ハギとキキョウを追い詰めていく。

  

 ハギが片牙のヴァンパイアになりセリに襲いかかった。

 数発被弾し血が流れていた。ハギが咆哮しながらセリの首を爪で掻き切った。

 

 セリからマシンガンを奪いスズシロに撃つ。

 スズシロがライカンになり反撃する。


 片牙のヴァンパイアと尻尾が短いライカンが血まみれで戦っている。

  

 モカは争いを止めようとするが戦闘の勢いと怒り憎しみの連鎖は止まらなかった。

「みんな!こんな不毛な戦いはやめて!」

 カリンが叫ぶ。

 憎悪のエナジーが渦を巻いていた。

 

 


  

 舞と結とマユリはティアに対峙して話をしていた。

「あの光の塔に4人の四柱が揃い触れるとどうなるの?」

 ティアが質問に質問で返す。

「どうなると思うの?」

 舞が間髪入れず質問に答えた。

「賛成派も反対派も何が起きるか教えられていないけど、この世界樹、いや世界が消滅すると言っているらしいね……みんなあなたの手のひらで踊らされている」

 

「あの光の塔は何?あの先には何があるの?」

 

「あの光の塔の頂上には進化の種があるのよ!私たちはずっと進化の種をこの手にするために生きてきた」

 

「進化の種?私たち?って?」

 

「もう全て話して……ティア」



  

 ティアは少し考えて、そして口を開き、重くよく響く声で話し始めた。

「今からこの世界はゆっくり閉じていく」

 

 

 ティアは目を瞑り話し始めた。

  

「ふたなりは、はるか昔は無性繁殖が出来た、進化の頂点の生き物だった」

 

 マユリの眉が持ち上がる

 

「神は自らの体の形を模したふたなりを作り続けた。しかし神の中にある人外の因子のせいで性別が出来るようになってしまった。

 男と女とふたなり――神は愚かなことに自分の中からその人外なる遺伝因子を切り離した」

 

「愚かなこととは思えないけど、それが牙、角、尾、翼の因子なのだね」


 舞がさらに叫んだ。

「愚か?それは違う!切り離した?それも違う!

 私たちは託されたのよ!世界を!未来を!」


 ティアの顔が少し歪んだ。

 

「いいえ!切り離したのよ!しかし大きな誤算があった。その因子は完全に消えず、お前たちのような特別なふたなりが現れ始めた」


 ティアの言葉に身振り手振りがついてくる。

 

「しかも男と女は二人で繁殖を始め無秩序に数を増やし世界を穢していく、そして子を成せないふたなりを産んでいく……どうなると思う?」

 

「人口は緩やかに減っていくのだよ」

 

「そう!緩やかに緩やかに人が家族が友が減っていくわ」


 ティアの目が遠い過去を見るように細くなった。

 

「そして長い……とても長い時間が過ぎて……世界は私とリタ……二人だけになってしまった」

 

 ティアの気持ちが昂っていく。

 

「私とリタは魔術で延命し世界樹に辿り着き、この光の塔の頂上に進化の種があるはずだと考えた」

「根拠は?」

「伝承と口伝や古文書ありとあらゆるものからの結論よ」

「進化の種とは?」


 ティアの声がどこか恍惚としていた。

 

「進化の種を手に入れたふたなりは、新たな神となり子を産み新たな人類の始祖になることができる。」

 

「新たな神……」

 ずいぶん前にマユリが言っていたことは当たっていたようだ。

 

「しかし私とリタは知ってしまった。あの光の塔を登ることの出来るのは神が切り捨てた人外の因子を持つふたなり。お前たち四柱が揃わないと叶わないことに!」

 

 ティアのテンションが益々上がっていく。

 

「私とリタは人工的に進化の種を生み出すことを試みた……幸いこの世界樹には進化のヒントが星屑のように落ちていたわ!私達はそれを拾い集め何とかこの狂った進化を元に戻すために悠久を生きたわ!」

 

 何かに取り憑かれたように話している。

 

「そしてあの事故が起きた」

「事故?」

「人工進化の種が暴走したのよ!この地球が消滅してしまうようなエナジーの塊!リタはその命を引き換えにそのエナジーの力を利用して私だけを過去に飛ばしたのよ!最後にリタは言った!私に……二人の願いを託す!!と」

 

 ティアは私達に話しているのか?独白してるのか?両方なのか?

 

「私は独りで四柱の因子を探しながら、ふたなりからエナジーを吸い取る技術を世界に広めたわ!結果そのふたなりを救いたい、などと言うくだらない組織まで作り、因子を探した。まぁ舞と結、あなた達のおかげで四柱がこの世に四人揃うという奇跡が起きた!」


 舞が口を挟む。

 

「くだらない?アンドロギュノスが?フェアリーが?くだらない?」

 

「ああ!くだらないとも!!いずれ消滅する人間?ふたなり?どうなろうが関係ないのよ!」

 

「少し同情しかけたけど……やっぱり私はティア!貴女を好きになれない!」

 

「私はあなたたち四柱を愛してるのに?リタを愛してたのに?」

 マユリがキッパリという。

「ティアお前が愛を語ることは辞めるのだよ!リタ?お前は呪われているだけなのだよ!」

 

「呪い?リタが呪いだと言うの?」

 

 じっと聞いていた、結が叫ぶ。

「愛する人を無限の縛りの中に閉じ込めることを呪いと言わずになんというの?」

 

「願いよ!二人の願い!」

 

「それはもうリタだけの願いであなたはその願いを叶えることを願いにしてしまった……」

 

「違う!違う!違う!!」


 ティアの顔が歪む。あの聡明さが消えて精神が揺れて混乱しているようだった。


「黙れぇぇ!!」 

 ティアが光の獅子を出してきた。

 

 怒りの咆哮が襲いかかってくる。

 

 舞が前に出て両手にナイフを抜き斬撃を放つ。

 結が後ろからエナジー弾を撃つ。

 マユリの手から電撃が穿つ。

 

 光の獅子が霧散した。


 舞と結は驚いた顔でマユリを見た。 

「マユリ?いつからそんなビリビリが出せるようになったのよ?」

 

「ふふふ、半機のナノマシンから微力の電力を集めて放出するのだよ!マユリ・ファイナル・エレクトロニカル・ブレイブ・サンダー!」

 

 二人は無視して、ティアを見た。

 

 ティアが半分パニックになっていた。

 

 あの聡明なティアの顔が歪み、だらしなく口が開いている。

「あああーそんなことなど……」

 髪を掻きむしり唾を飛ばして叫んでいる。

 あの美しく風に靡いていた銀髪が乱れくしゃくしゃになっている。


 ティアの魔法にゆらぎが発生し、無意識の術であった門の封印が解けてしまった。 

 

「数千年、いや……万年の中でティアの中にも迷いがあるのだろうよ……そこを指摘されて激昂していると言うところなのだよ……」


読んでくださりありがとうございました。

次回更新は明日19時です。


そしてよろしければブックマークや評価など頂けると

私自身の励みになります。

どうかよろしくお願いいたします。

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