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フェアリー•レゾナンス  作者: 三日月
四柱編

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なりたち

〜なりたち〜


お楽しみください。


三日月

四柱〜なりたち〜

 ティアがここで嘘をつく意味はなかった。

 それでも世界樹の話は、あまりにも信じがたかった。

 

「この樹が時間を超越してるなんて!でもこの世界樹はついこの間あらわれたはず!」

 

「たまたまこうして具現化しただけよ。世界樹はこの地球に生物が生まれる前から存在した。ずっとずっとあったのよ!見えないだけで世界樹はいつでも、どこでもあるのよ」

 

「いいわ――二人に教えてあげる」

 

「何を?」

 舞が強く聞いた。

「この世界の成り立ちを……」

 

 風が止んだ。


 

 ティアは遠くを見るように語り始めた。

「あなたたちは神様ってどう思う」


「……」

 

 突然の問いに答えられなかったというより、ティアが望む答えの予想が全くわからなかった。

 

 ティアは何も言わずに続ける。

  

「神は共性だったのよ。完全なる両性具有アンドロギュノスだった」

 

「私達も共性よ!」

 ティアが舞の言葉を遮るように言った。

 

「今の共性は不完全なの……言うなれば――両性具無」

「両方の性を持ちながら、どちらの生殖機能も完全ではない。自ら子を成すことさえ出来ない――神の姿だけを残した、不完全な存在よ」

 

 舞は食い下がる。

「不完全?違う!私たちは、私たちとしてこうして生きているわ!」

 

 モカは黙って聞いている。

 あまりの内容に頭が追いつかないのか……

 

「それに神は出来たというの?」

 

「その通り!それもくだらない他人と身体を重ねるなどという必要もない無性生殖」

 

「人間は神の子として増え、男性、女性、共性という三つの性に分かれた」

 

「そしていつしか人は、男と女は神の手を借りることなく増殖していった。無駄に!無駄に!無駄に!増えて!増えて!増えて!世界を壊していくように!」

 ティアの瞳の奥に怨嗟の光が宿る。

 

「今のこの世が無駄だと言うの?」

 

「当たり前じゃない!共性が子をなせず劣等種の男と女が支配する世界!滅びゆく世界!」

 

「滅びる?そんなことをさせないために、私達は戦ってるのよ!ティア、あなたもそうだったじゃないの?」

 

「私は今のこの世界がどうなろうと関係ないの。私は四柱……あなた達を見つけ覚醒を促し、同じ時代に四柱が生を受け、四人揃う日をずっと待っていた」

 

「それがティア……あなたの目的なの?!」

 

「目的?あはははは!そんな簡単な言葉で言わないで!笑ってしまうわ!」

 

 舞とモカは体温が下がったような気がした。

 

「あなたが神とか言わないよね?」

 ティアがニヤリと笑う

「そんな訳ないでしょ」

 

「神は今でも神の子を人の世に生み出しているわ。神の中にある人ならざる因子を宿した共性——レゾナントを」

 舞は震えていた、隣のモカも震えが止まらないようだった。

 魂の震え。

 自分の正体。

 

 ティアが世界樹を、視界いっぱいに見渡した。 

「ただしその姿はもう人の姿ではないわ!神は――世界樹となった」

 


 

 ――舞とモカの呼吸が止まる。

「そして魂の輪廻を生み、肉体の進化を導き、知識の進化をこの世界にもたらしたのよ」


 今、この空間、世界樹の中にいるからこそ感じられる命の躍動……世界樹が神……

 

 舞の声が震える。

 

「だったらどうして今の共性は子を成すことが出来なくなったの?私達が……神の子と言うなら子を成すことができるはずでしょ?」

 

 ティアが舞とモカを睨みつける。

 視線が物理的圧力のように2人の頬を打つ。

 2人をじっと見て答えることはなかった。

「言えないの?」

「今はそういう事ね。」

 フッっと圧が薄くなる。

 

「その代わりに教えてあげるわ……レゾナントだけがその身体に持つ《エナジー》あれは神の力なのよ!

 

共性——レゾナントは神の姿を模してつくられた。形が似ればその力が宿るのよ!だから普通の男や女にはエナジーはない」

 ティアから凄まじいエナジーの渦が巻き上がる。

「器は、力を呼ぶ。

 形は、魂の回路となる」

 

「そしてその力は、レゾナントだけに刻まれたその共鳴紋を通じて送られる。共鳴紋は神が己と同じレゾナントにだけ残した刻印……エナジーのゲートなのよ」

 

「くぅぅ……これが、神の力!!」

 

 

「そうよ!肝に銘じておくことね!続きはその時が来たら教えてあげるわ」

 

「その時を楽しみにしておくわ」

 

「難しい話終わった?」

 モカがやっと声を出した。

 

 ふふふ。っと舞とティアが笑った。

 

「ティア……そんな顔で笑うこともあるのね」

 舞がティアを見ながら言う。

「あなたが何を企んでるか分からないけど……止まれないの?」


 二人の間にたまらない沈黙が続く。

 

 

「……止まれないわ!」

 やっと出た答えだった。

 舞は一瞬ティアが泣いているのかと思った。

 沈黙が続く……

 

「みんなのところに上がりたいんだけど」

 モカが切り出した。

 

「あの三人なら門の前であなた達を待っているわ。その道を行けば辿り着くわ」

  

 今まで、そんな道があることにまったく気づかなかった。

 そんな細道が奥に見えた。

 

「これには答えてくれる?ティア……あなたは何者なの?」

 

「……私は番人……世界樹の番人……これでいいかしら」

 そういうと風が吹きその風と一緒に消えた。


「くふぅぅぅ」


 舞とモカはやっと肺いっぱいに空気を吸えた。

 



 

 

 

 

 

読んでくださりありがとうございました。

次回更新は明日19時です。


そしてよろしければブックマークや評価など頂けると

私自身の励みになります。

どうかよろしくお願いいたします。

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