USA動乱〜BOW AND ARROW〜
USA動乱〜BOW AND ARROW〜
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三日月
USA動乱〜BOW AND ARROW〜
モカとカリンは安全な場所に移動していた。
「なんだか変なことになってきたね」
「クーデター?」
「どっちにつく?」
「そりゃおっちゃんの方だよ撃たないって言ってたし」
「だよね!」
「私、暴れてくるからその隙におっちゃんとマーガレットさんをお願い!」
モカが腕まくりしながらエナジーを巡らせチャクラを回していく。
「舞さんや結さんのおかげで暴走せずにこの力を人を護るために使うことができる!」
モカがライカンスロープに変化していく……
クーデターの首謀者はあの456島の指揮官ロメオ大佐だった。
「あの地獄を私は見たのだ……あれを止めるには核しかない!もう我慢ならん!核だ!核を撃ち込むのだ!
大統領も射殺して構わん。核発射キーを奪うのだ」
ロメオ大佐は唾を撒き散らして叫んでいる。
根を一掃したい賛同者もかなりの数がいるようだ。
中庭でモカが暴れる。
「なんだ!この怪物は!」
兵士たちが騒ぎだす。
ロメオ大佐はその姿を見て胃の中の物を全部吐き出した……
「なんであれが!」
――あの実験で処分したはずのライカンスロープが!
事態は混迷していた。
素早い動きで翻弄して頭を手で撫でるようにするだけで兵士は意識を刈り取られた。
無論モカは本気で叩くとどうなるかもわかっている。
ここで人を殺すわけにもいかなかった。
クーデター軍は拘束した大統領からキーを奪おうとしていた。
ロメオ大佐の目は狂気ではなく、確信に燃えていた。
「大統領!核は私が撃つ!」
「やめるんだ!ロメオ大佐!」
ロメオ大佐がジョン・ストライクからキーを奪おうと襲いかかった。
「邪魔するやつは誰であろうと国賊として処理する!」
ロメオは大統領に向けて発砲した。
パン!
乾いた音が響く
パン!
マーガレットが身を挺して盾になった。
一発。二発。マーガレットの胸が赤く染まる。
マーガレットが撃たれ、呆然とする大統領の胸ポケットからキーを奪った。
カリンがそこに到着した。
「遅かった!!」
「コノヤローあの時のお返しだ!」
カリンがロメオ大佐に連打を浴びせる。
ロメオ大佐がうめき声をあげて、倒れそうになる。
ロメオ大佐はキーを掴み、這うように逃げていく。
ジョンは大統領ジョン・ストライクではなく。
ただの一人の男ジョン・ストライクとしてマーガレットを抱きしめる。
「マーガレット!!どうして僕を庇ったりしたんだ!」
「…………」
カリンが答える
「あなたを愛しているからでしょ?」
「でもマーガレットは僕のプロポーズを何度も……」
「大統領……彼女は……」
続きを言わずカリンはエナジーを体に巡らせチャクラを回す。
光のフェニックスになっていく。
そしてその翼でマーガレットを包み込んだ。
フェニックスの再生の炎がマーガレットの銃創を直していく。
炎なのに熱くない。
焼く炎ではなく、命の奥に残った灯火を包み直す炎だった。
「ああ――奇跡だ!」
「奇跡ではないわ、伝説のように私は死んだ者を生き返らせることは出来ないのよ。生きたいと願う気持ちに答えることしか出来ない」
「ああ……マーガレット……」
マーガレットが目を覚ます
「ジョン……私……あなたを愛してる……」
「だったら何故?」
「鈍い大統領だなぁ」
「私……レゾナントなの」
マーガレットがずっと秘めていた秘密を明かした。
「もしファーストレディがレゾナントなんて世間が知ったらって思うと……あなたの気持ちに応えるのが怖くて……」
「マーガレット………」
ジョン・ストライクは胸に手を当ててしばらく沈黙した。
ジョンは何も言えなかった。
彼女が何度も自分を拒んだ理由が、ようやく分かった。
自分を愛していなかったからではない。
愛していたからこそ、自分の未来を傷つけることを恐れていたのだ。
そしてゆっくりと口を開く。
それでも僕は君を愛している。私と共に生きてくれないか?
そして――宣誓した。
「アメリカ大統領ジョン・ストライクはここに宣誓する!我がアメリカ合衆国は今後レゾナントへの偏見!差別!を無くす先頭の国として世界をリードしていく!」
マーガレットを見つめ言う。
「だから君にファーストレディとしてこの政策の要として私と共に生きて欲しい」
カリンが拍手した。
「やればできるんじゃん」
異例のプロポーズだった。
ジョンとマーガレットが固い絆で結ばれた。
カリンがふと視線を動かした。
「あ!あいつがいない!」
ロメオ大佐はキーを持って逃げていた。
「ちくしょう!全て共性のせいだ!この根もきっとあいつらが……核!核だ!」
ロメオは中央司令部のコンソールを開いた。
「私はあの島で見た!人類は共性たちに勝てない!」
核ミサイルは既に目標座標はセットされている。
「後はこのキースイッチで!」
キーを差し込みスイッチを回す。
ほぼ同時にカリンとモカがコンソールを破壊した!
「間に合った?」
発射命令は既に送信された。
もはや途中停止は不可能だった。
海中発射基地から戦略核ミサイルがオーストラリアに向けて発射されてしまった。
「嘘でしょ!」
「遠隔で止められないの?」
「ふははは、ちょうどお前が今ぶっ壊したからなぁ!これでお前らの仕組んだ忌まわしい根は一掃される!」
「あんたさぁ、一回黙ってよ!」
モカがライカンスロープの力でロメオ大佐の顎を殴った。
「ガッ!!」
ロメオ大佐はバク宙五回転の新記録を出して壁に激突した。
ピクピクと痙攣をしながらやがて完全に意識を失い、動かなくなった。
駆けつけたSPがロメオ大佐を拘束した。
レーダーにミサイルが映る。まっすぐにオーストラリアに向かっている。まだ間に合う!
「カリン!!行くよ!!」
「飛ばすわよ!」
カリンがフェニックスに。
モカが飛び乗って掴まる。
レーダー員が叫ぶ!
「間に合うわけない!」
カリンとモカがニヤリと笑う。
「よく見といてよ!」
カリンは光の矢となり飛んだ!
モカの身体からエナジーが吹き出しカリンのフェニックスを包み込んでいく……
流線型の焔の翼が限界を越える。
レーダー員が叫ぶ。
「すごい!スピードがどんどんあがる!信じられない!」
「私はフェニックス!願う気持ちが限界を越える!」
音速を超えるソニックブームがバシュ!と音を切り裂く!
カリンの願いとモカの祈りでフェニックスが光の矢となり、後方に雲の軌跡を引きながら飛んだ。
モカが弓。
カリンが矢。
二人は一つの
《BOW AND ARROW》。
限界を超えた。
ミサイルに追いついた。
カリンがミサイルの斜め上に着く。
モカが飛び降りながらライカンスロープに変化していく。
「だりゃー」
ミサイルの弾頭にしがみつく……
尻尾と足でミサイルを挟み、バランス取りながら
爪で一撃!ミサイルの金属部をこじ開ける。
二撃!制御装置を粉砕する。
ミサイルが推進力を無くし蛇行して失速する。
海に落ちた。
そのまま海底に沈んでいった。
レーダーでミサイルがロストしたのが見えた。
ホワイトハウス司令室でも同時に歓声が上がった。
ジョン•ストライクとマーガレットが抱き合い喜びを分かち合っていた。
「あの二人が世界を救ってくれた」
「やった!」
◇
ふぅ〜とカリンは旋回しながらため息をつく
ん?モカは?
「オプッ……オプッ」
何か声が聞こえた。
「オプッ!か……カリン!オプッ……助けてぇ」
無敵のライカンスロープが溺れていた。
◇
モカとカリンが海にぷかぷかと浮いている。
正確にはフェニックスをボートの代わりにしていた。
「もうここまで来たらオーストラリアの方が近いよね?」
「そうだねーこのまま行こうよ」
「アメリカに戻んなくていいかな?」
「ジョンのおっちゃんとマーガレットさんがいれば大丈夫だよ!」
「それもそうだね……」
「ねぇモカ?」
「何?」
「あんた島に住んでて泳げないんだね」
「…………」
2人はモルディブの海を思い出していた。
夕日の中で2人は笑っていた。
読んでくださりありがとうございました。
次回更新は明日19時です。
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