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フェアリー•レゾナンス〜ふたなりの私達が金色の竜となり世界を救う〜  作者: 舞@妖精
救出編

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7/10

覚悟

〜覚悟〜

お楽しみください


舞@妖精

救出編〜覚悟〜

 結が思い出したように叫ぶ。

「あの三人は?無事なの?」

「あの三人って?」

 舞の質問に結が興奮気味に身を乗り出して答えた。

「あのね、舞を助ける途中で捕まってる3人の女の子を助けたのよ!もちろん、ゆかさんの力がなかったらダメだったけど」

 ゆかが笑いながら言葉を添える。

「結さんの勇気凄かったわ。あの三人は大丈夫よ!」

 エミリーも頷いた。

「もう医療班が応急処置してヘリでアンドロギュノスの医療センターに運ばれたわ」

「舞さんも今からそこへ搬送され検査を受けることになるわ……結さんはどうする?一緒に来る?」

「もちろんです!」

「ここもほとんど制圧できたみたいね」

 辺りに静けさが戻りつつあった。


「ゼノバイオ製薬……明日にはいつも通りになるわ」

 ゆかの言葉に、結が眉をひそめる。 

「え?こんな凶悪な犯罪なのに?裁きは受けないのですか?」

「……それが今の歪んだ世界なのよ。巨大な資本と権力の前では、一個人の悲劇なんて、ただのデータとして処理されてしまうの。今も!明日も!世界のどこかで『ふたなり』と言うだけで血と涙が流れていくわ」

 

 エミリーが力強く続けた。


「私達は一滴でも多くの涙を救い拭ってあげるために戦っているのよ」


 ゆかとエミリーの言葉に、魂が共鳴し震えるような感覚を覚えた。

 

 ヘリで医療センターに運ばれ精密検査を終えると、ようやく激動の一日は静けさを取り戻した。

 適度な明るさの病室。柔らかな照明が、白いシーツと点滴のラインを淡く照らしている。消毒薬の匂いの中に、かすかな花の香りが混じり、時間がゆっくりと流れていた。

 

 ベッドに横たわる舞の傍に、結は静かに腰掛けていた。

 看護師たちの足音も遠ざかり、点滴の落ちる音が聞こえそうな程の静寂。

 二人きりの空間が生まれた。

 

 舞はゆっくりと上半身を起こし、結の手を探すように伸ばした。そっと触れた指先を確かめるように、ぎゅっと握りしめる。そのぬくもりに、結の胸が熱くなった。

 舞の長い睫毛が震え、かすれた声が静寂を揺らす。

 

 「……結。私、決めたの。私の……やるべきことが、わかった気がする」

 その言葉には、もう迷いはなかった。

 結は大きく瞳を見開き、ゆっくりとうなずく。

 「……うん。舞なら、きっと」

 

 窓の外では、街灯の光が静かに瞬き、二人の影がベッドの上で、そっと寄り添う。

 言葉にしなくても伝わる安堵と、

 これから始まる新たな運命への覚悟。

 そのすべてが、静かな病室の中で、確かに息づいていた。


「舞……やるべきことがわかったって、どういう意味? 私も一緒に行きたい。何でも手伝うから」

 結が問いかけると、舞は真っ直ぐに結を見つめ返した。

「私はこの組織、アンドロギュノスに入り、『フェアリー』になる。世界中の守られるべき少女たちを護る存在になりたい。……結は、どう思う?」

 結の瞳が大きく輝いた。驚きと喜び、そして同じ覚悟が表情に溢れる。

「私もずっと思ってたよ……同じこと」

 結は舞の手を両手で包み込んだ。 

「私も行くわ! 私は知ってしまったんだもの。私が知らないところで悲しい涙が流れてることを。そしてその涙を命懸けで拭おうとしている人達のことを!」

 

 まっすぐ視線が交差する。

「今まで、自分には何もないって思ってた。でも、もう違う。守りたいって思える人がいて、戦う覚悟もある。舞と一緒に、同じ道を歩きたい。それが、私の答えよ」

「そう言ってくれると思っていたわ。明日ゆかさんに話してみる」

 舞の頬が少し赤らみ、安堵の笑みが溢れた。

「結……言いそびれていたけど、助けに来てくれて本当にありがとう」

「こちらこそありがとう、あの時――舞が私を助けてくれたから今の私がいるんだよ....これからもずっと側にいるからね」

 

 ようやく二人に心からの笑顔が戻った。

  

 ところで、と舞がいたずらっぼく笑う。

「ミッション美人局って何?」

 

 一瞬で結の顔が沸騰したように真っ赤になる。

 (ゆかさーーーーん!言ったのねーーーーーー!!)

 


 翌朝の病室、窓越しに差し込む穏やかな陽射しが舞と結のベッドを暖めていた。昨夜の決意を固めた表情で二人はゆかを迎え入れ決意を伝えた。

ゆかは2人の顔に『揺るぎない覚悟』を見た。


「二人ならそう言うと思ったわ」

 ゆかは椅子に腰掛けて、机の端にあるペンをくるりと回しながら微笑んだ。

「私から本部へ報告しておくわ、結さん、舞さん二人なら大丈夫だと私は信じてる」

 

 そして突然、ゆかの目が好奇心に輝いた。

「ところで結さん、覚えている?あの時銃を撃つなんて初めてだったのに、迷いなく正確に撃てたでしょう?あれってすごく不思議だと思わない?」

「そう言われてみると...不思議ですね。あの時は怖さよりも何かに導かれるような感じがしました」

「私のあの銃は特別でふたなりが持つ『エナジー』に反応するのよ。あの時あの銃は結さんのエナジーに反応した。才能があると思うわ。自信を持っていいわ」


 その時ーー

「科学的根拠もなく……『才能』で済ませるのは良くないのだよ!」

 賑やかな声と共に白衣を翻し一人の女性が入ってきた。

 身長は百四十五程だろうか?幼さの残る顔立ちだが不敵な笑みには大人の余裕が漂っている。イメージにそぐわない大きな胸が弾む。

「マユリ! 来てたの?」

「やぁ……初めまして、結、舞。私は科学開発局、局長のマユリなのだよ。二人とはこれから長い付き合いになるので、ご挨拶に来たのさ。戦闘データから見るに結さんのエナジーは正直訓練もなしにあそこまで制御できるのは信じ難いのだよ」

「そうなのですか?」

 視線を舞に移す。

「そして舞。あなたも相当なエナジー保持者なのだよ。二人のエナジーが共鳴して相乗効果を生んだ可能性も捨てきれないのだよ。君達二人となら退屈せずに済みそうなのだよ。とりあえず今は身体を休めてくれたまえ」

 マユリは楽しげに笑いながら出ていった。

「面白いけど本当に優秀な科学者さ」

 ゆかが聞こえるように言う。

 廊下にいつまでも笑い声が残っていた。

 

 二人は顔を見合わせた。

 (私のエナジーと舞のエナジーが共鳴した?)

 舞と一緒だからこそ引き出された未知の力。

 もっと知りたい。自分のことも。舞のことも。

「覚悟は決まってるわ。舞と一緒に、乗り越えていくよ」

「うん、任せて。一緒に行こう……結」


 一週間後。

 二人はアンドロギュノス本部の荘厳な建物の前にいた。

 正式に代表にフェアリー候補生として呼ばれていた。

 二人は言葉を交わすことなく手を繋ぎ一歩踏み出した。

 朝の空気に、ブーツの踵がカツンと響いた。

 

 

 

 


お読みくださりありがとうございました(o^^o)


次回更新は明日19時です- ̗̀( ˶^ᵕ'˶)b

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