世界樹編プロローグ
世界樹編プロローグお楽しみください♪
三日月舞
遠藤たけしと妻の遠藤加奈子は念願のオーストラリア旅行に来ていた。
長年務めていた会社を定年し、今まで仕事一辺倒だった人生を、妻とやり直すべく計画した旅行だった。
たけしの希望で、エアーズロックへのガイド付き見学を申し込んでいた。
目の前にウルル。
世界的には、エアーズロックという名の方が有名だった。
ガイドが説明してくれている。
「オーストラリア中央部「レッドセンター」に位置する、高さ348m、周囲9.4kmの巨大な一枚岩です。
先住民アボリジニの聖地であり、太陽の光で赤く変化する景観が神秘的。
2019年より登頂は、禁止されています。
サンライズやサンセット観賞などが人気ですので、そちらの方もお楽しみください」
「あなたずっと見たいって言ってたもんね」
加奈子が嬉しそうなたけしを見て話す。
「本当にすごい!これが1枚の岩なんて!」
たけしは手でそっと触れてみる。
当然岩の感触でどのくらいの温かさなのか?確認するためぐらいに思っていた。
しかし触った瞬間、ドクンっと何か艶かしい感触がした。
「うわっ!」っと声を上げてしまった。
「どうしたのよ?あなた」
「いや、、加奈子!ここ触ってみてよ……」
ドクン
「キャ!!」
加奈子はその生々しい感触に悲鳴を上げる。
「何これ?気持ち悪い」
後ずさりした時に何かにつまずいて尻もちをついてしまった。
「加奈子!大丈夫か?」
たけしが妻を助けつまづいた原因を見た。
「なんだ?これ?」
ウルルの地面に近い場所から、植物のようなものが伸びていた。
それは地中へと潜り込んでいる。
「植物?」
「これは岩だよね?」
「でもこの手の感触……地面に伸びる植物…………根?」
「あなた何言ってるのよ?これが根なんてさ!そうなるとこの大きな一枚岩が種ってことになっちゃうよ?」
「これが……種??」
二人から血の気が引いていく……さっき触った手のところから何か体力が吸い取られるように消耗して身体が重くなっていた……
「あなた……私なんだか身体がだるいわ……」
「俺もなんだよ」
二人の視界が揺れた。
そのまま、力なく崩れ落ちた。
ドクン……
ウルルが発芽しようとしていた。
ウルルの頂上。
今は登山禁止で誰もいるはずのない頂上に、ティアがいた。
その地面に魔法陣が描かれていた。
遥か遠くを見るような瞳が狂おしそうに少し濡れていた。締め付けられるような想いを絞り出すように……
「やっと始まるのよ!あなたの願いが!
…………リタ」
読んでくださりありがとうございました。
次回更新は明日19時です。
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