ライカン編エピローグ
ライカン編エピローグ
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ライカン編エピローグ
激動の第456島の事件から一ヶ月が過ぎた。
カリンの背に乗って島から脱出したのが昨日のように思える。
四柱が揃った今、いつティアが接触してくるか分からなかった。
四柱計画の具体的なことは、何一つわかっていない。
五人は街でひっそりと情報収集しながらティアの行方を探っていた。
アスカはモルディブの家族の元へ帰した。
ふたなり化は収まらなかったが、力が暴走する危険もなかった。
アスカは泣きながら五人と行動したいと言ってくれた。
だがその時がきたら、アスカの力を借りたい。
必ず呼びにいく。と約束すると、渋々モルディブへ帰った。
「私もフェアリーとして戦いたい!あなた達が戦う時には私も必ず駆けつけるからな!」
そういいアスカはモルディブの家族のもとに帰った。
その他の生存確認が取れた旧アンドロギュノスのメンバーも同じく家族がいるものは家族の元へ帰っていった。
あの3人娘、サナ、リナ、ミナも同じくそれぞれの家庭へと帰っている。
サナが両親と固く抱き合い、
「もうふたなりということから逃げない!お父さんとお母さんの娘で良かった」
三人の涙を見て心配で遠く影から見守っていた結の銀色の瞳が熱くぬれていた。
ビルの屋上でマユリが手摺にもたれて風に髪をなびかせていた。
「最近よくここで一人でいるのね」
振り返らず答えた。
「自分探しの旅なのだよ」
「まだマキナの声が聞こえる?」
「臓器移植をした患者にドナーの記憶が宿るという事例もあるのだよ。魂が入れ替わったけど、きっと肉体や脳にティアとの記憶はあるはずなのだよ。ティアの目的や四柱計画の事が少しでも分かればいいのだが……」
「マユリ自体はどうなの?」
「箱は箱で良かったのだがね……やはり肉体があるというのはいいものなのだよ」
あのアスカの力の奔流の中で2人で交わした言葉が脳裏に蘇る。
暖かい何かが、心の奥から滲み出るような……
舞の指がマユリの髪に触れる。
「私は、箱よりもこっちの方がいい」
マユリがくすぐったそうに肩をすくめる。
そのくすぐったさは生身の実感を感じさせ、トクン…トクン…と言う心臓の鼓動のリズムと共に、魂の奥でマキナが《良かった》と笑ったような気がした。
マユリが舞の手に自分の手を重ねる。
体温以上のものが溶け合っていく。
――その時!
「仲のいい事ね」
突然2人がいる屋上よりもまだ上から声がした。
「恋の情事を覗くとは趣味が悪いのだよ!ティア!」
マユリが上空を睨む。
「マキナの犠牲で得たその身体……大切に使うのね」
「犠牲?そんなチャチな言葉で表さないで欲しいのだよ!」
舞の眼光が鋭く光る。
「ティア!そんなくだらないことを言いにきたの?」
「歓迎ムードではないのね」
「何しに来たの?って聞いてるのよ!」
ティアの顔からスっと感情が薄くなる。
「まもなく世界樹が世界を包み込む」
「何!?」
「どういうことなの?世界樹って一体」
「あなた達の選択を楽しみにしているわ」
と言うとゆっくりとティアは薄くなり消えていった。
不穏な空気を察知したのか屋上に結とモカとカリンが飛び込んできた。
「すごい気配がしたけど今のはティア?」
舞が頷く
「そう。意味は分からないけど、もう少しで世界樹が世界を包み込むって……」
「そして私たちの選択……」
「謎が多いね」
五人は屋上から見える景色を目に焼き付けた。
この世界は壊させたりはしない。
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次回更新は明日19時です。
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