〜爆弾〜
〜爆弾〜
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三日月
ライカン編〜爆弾〜
カリンはアスカが暴走し、みんなが止めようとしている様子を離れた場所から見ていた。
「私にも力があれば…………」
握りしめた手のひらに爪が食い込んでいた。
ふと騒がしい声が聞こえた。
そちらに視線を送った。
逃げていく責任者であったロメオ大佐が部下に命令していた。
「実験は完全に失敗だ!基地……いやこの島ごと消すのだ!地下のあれを起爆させるのだ!」
カリンは耳を疑った……(誰あれ?責任者?この島ごと消す?地下?)
カリンの中でいろんな疑問が同時に湧き上がり混乱する。
みんなに知らせる?……いやそんな時間もそんな余裕も無い。
「私が止めるんだ!」
カリンは地下に向かって走り出した。
◇
「大変なことってなによ?」
舞がアスカを見ながら聞いた。
アスカは明らかにエナジーが溢れどんどんそれが加速していっているように見えた。
「アスカは普通の女性だった……そこに八番目のチャクラのあの凄まじいエナジーを注ぎ込まれたのだよ!小さなコップにプールの水が注がれると言ってもおかしくないのだよ!——」
箱のマユリが一瞬何かを思いついたように言葉が止った――――
少し声のトーンが落ち着いて話が続いた。
「おそらく人の因果を狂わすことで共性化したのだろう。
それによって彼女のエナジーの器……つまりコップはどんどん大きくなりもう限界が近くなってるのだよそして、大きくなる器よりも注がれるエナジーがどんどん増えているのだよ」
「コップが割れたら?」
「かなりの規模のエネルギーが放出されるのだよ。この島だけでなくおそらく近隣の島がこの世から消えるほどの……」
「止められるの?」
「…………確実では無いが……手がないということではないのだよ」
「だったらそれを教えてよ!」
「人工的に作られた二十四番目の因子を、天然の二十四番目の因子を持つ人格……魂で安定化させるのだよ」
「私がやるわ!」
「きっと魂は元には戻れず、あの溢れた暴走エナジーと共に消滅するのだよ?」
「それでみんなを救えるのなら構わない!」
「舞!ダメよ!あなたがそんな……」
結の目から涙が溢れた。
結はわかっていた。
舞の決意は決して揺るがないことを……
(舞……あなたいつも……自分ばっかり……)
「舞?いい場面なのだが舞には無理なのだよ!」
「何言ってんのよ!無理でもやるの!」
「少し進んでアスカに近づいてみるのだよ」
舞はゆっくりとアスカに近づいた。
バチッと透明な壁に叩きつけられたように弾かれ近づけない。
「どうしてよ?!何?この障壁?」
「もう生者ではあの中に入ることは出来ないのだよ!」
「魂は入れても生ある肉体は異物として弾かれるのだよ」
「人は心や体内に異物が入ると出そうとするだろう?それと同じなのだよ……今、舞は接近して異物とみなされ、くしゃみで弾かれたということなのだよ」
「そんな冗談全く面白くもないわ!さっさとどうすればいいのか言いなさいよ!マユリ天才なんでしょ?」
舞の言葉がうわずっていた。
聞きたくない答えを舞は薄々と察していた。
それを打ち消すように言葉を荒らげた。
「マユリがいい案を出してくれるはずだよね!よし!私頑張るから!さ!どういう方法があるの?言って!」
「……………………」
「なんで黙ってるのよ!アホマユリ!!」
「…………………………」
「バカ!」
ほとんど聞き取れないような小声だった。
「生者は入れないと言ったのだよ……」
マユリが静かな……本当に静かな凪のような声だった。
「私の状態は、LABOで舞と結が私の座標を固定してくれたから、魂は一人の人間の魂と同じ、そして尚且つ肉体は見ての通り生者ではなくただの鉄の箱」
「つまりこれが可能なのは……箱マユリ様、この私だけなのだよ!」
舞の目からボロボロと涙がこぼれた。
「嫌……」
舞が首を振る
「そんなの嫌よ……」
「結……舞を頼んだのだよ」
結の目からもボロボロと涙が溢れる。
モカは何も言えなかった。
助けられたばかりの自分には、
誰かを止める言葉など見つからなかった。
拳を痛いほど握りしめた。
結が泣きながら、笑っていた……
「もう……
あんたたち馬鹿で……
似すぎてて……
呆れちゃうわ……」
アスカがじっと立ったまま動かない。
周りのエナジーが渦を巻き竜巻のように立ち上ってアスカの中に引き込まれていく。
アスカの身体が光り始めた。
「限界が近い。急ぐのだよ!私をアスカの側に」
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