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フェアリー•レゾナンス〜ふたなりの私達が金色の竜となり世界を救う〜  作者: 三日月
ライカン編

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〜決断〜

〜決断〜

お楽しみください


三日月

ライカン編〜決断〜

カリンが結との合流時間に来ない。

 嫌な予感がした。

 

 軍の船は航行不能となったが、代替の船に乗ってたくさんの幹部が第456島にやってきた。

 

 結はカリンが潜伏していた小屋に走った。

 警戒しながら中の様子を窺う……人の気配はない。しかし壊れたドア……割れた窓枠……

 それらがひとつの答えを出していた。

 

「カリンが拉致された」

 

 ゆっくりと部屋に入る。

 床に一つ、空の薬莢が落ちていた。

 (カリンのか?)

 そしてその少し向こうに一枚の紙が落ちていた。

 結が手に取ってみた。

 ゾワッと全身の毛穴が開くような寒気が結を襲う。

 その紙には下手くそな妖精の絵と舞&結と書いてあった。

 

 よく見ると軍靴で踏まれたような汚れが付いている。

 結は拾い、丁寧に汚れを払いポケットに入れた。

 

 しばらく考えるように目を瞑る……目を開けると銀色の瞳が世界を射抜くように輝き、強い光を放つ。結は疾風のように駆け出した。

 


 舞は基地が騒がしくなっていくのを見ていた。

 軍幹部たちが集まっていた。

 次々と到着する軍の関係者たち。

 

 (実験はほんとなの?私達をおびき寄せる罠ではなかった?…………いや、もしかしたら急遽本当の実験に切り替えた?…………カリン?もしかして)

 

 その時、地上から、騒がしいマイクの音が聞こえた。

 ザワザワと騒がしい喧騒の中に一人の女性が拘束されている……それは普通の拘束ではなかった。

 女性が分娩台に手足の自由を奪われ拘束されていた。

 好奇、嘲り、羞恥、人を人としてみていない視線がアスカの精神を焼き尽くそうとしていた。

 

「このド変態共!離せ!」

 

 見ている人間は軍の幹部達であった。

 

 【人工ふたなり実験】

 

 それの公開実験が行われようとしていた。

 白衣を着た男がマイクを持つ。

 

「軍幹部の皆様!今日は公開実験に参加して頂きありがとうございます。やっと人工ふたなりの実用化に向けて一歩進んだところを皆様に見ていただく準備が整いました」

 

 アスカの目が怯えで震えている。

「何なのよ?!その人工ふたなり実験って!頭おかしいんじゃない?」

 

「ここで騒いでるアスカという女を実験体としてふたなり化させてみせましょう!」


「この地下にいるライカンスロープの巨大なエナジーをこの被験体に流し込むのです。ライカンの尾のチャクラさえ完全覚醒すれば、このアスカという女が人工ふたなりに進化するのです」

 

「ちくしょう!なんなんだよ……」

 

 アスカの目に涙が溜まってくる。

 

 まばらな拍手が鳴り、聞くに堪えない侮辱の言葉がアスカに降り注ぐ。

 暴れすぎて拘束されている手首足首から血が滲んでいる。

 アスカの目から涙が一筋流れ落ちた。


 

 カリンの痕跡を胸にしまい、結は公開実験が行われる基地中央部へ急いだ。


 軍幹部たちが並ぶ観覧席からさらに離れた高所に身を潜め、結はライフルのスコープを覗いた。 

 かなり離れた距離だったがスナイパーの結からすれば丸見えの距離だった。

 

 アスカという女性のことを思うと胸が張り裂けそうになる……すぐにでも拘束具を外しに飛び出したい気持ちを抑える。

 視神経に緩くエナジーを込めると、結の瞳が銀色の光を帯びる。

  視界がクリアに鮮明になる。

 拘束台の下部から色々なチューブが出ていてそれらは全て地中に向かって伸びていた。

「あの下にもしかしてモカが?」

 

「アスカさん……もう少しだけ……持ちこたえて……」


 ◇


 舞は放送を聴きながら、自分も二回ふたなりの実験台として辱めを受けた記憶が蘇った。

 私が流したあの涙をもう誰にも流させないと誓った初心を思い出し、悔しさで握った拳の手のひらに爪が食い込んでいた。

 しかし今飛び出しても状況が良くなるとは思えない。

 それが分かるからこそ、申し訳ない気持ちが溢れ、唇が震える。

 

「アスカさん……今すぐいけなくてごめんなさい。絶対に助けるからね……」


 ◇


 アスカが拘束されている真下の地下実験室に半獣のモカが鋼鉄の鎖で四肢を繋がれている。

 身体中に得体の知れないチューブが巻きついて伸びて機械に入っている。

「コラ!なんだよこのホースは!」

「外せコノヤロウ!」

 抜けた空気が混じる声だったがモカの声だった。

 

 目の前の鉄製の仕切りが上がっていく。

 中の様子がだんだん見えてくる。

 どくん!

 どんどん心拍数が上がってくる。

 (カリン!嘘っ!捕まったの?)

 大声でカリン!と叫ぼうと肺一杯に息を吸い込んだ。

  

 その瞬間カリンの瞳と正面から視線があった。

 その目が言っていた。(私に反応するな!)

 その目が言っていた。(諦めるな!)

 その目が言っていた。(頑張れ!)

 

 モカは吸った息を止めた。

 歯を食いしばってその歯の隙間から煮えたぎるような熱い呼気をゆっくりとゆっくりと吐いた……

 

 白衣がエネルギー波を測定した。

「反応薄いです。」

「どうしてだ?この間はこいつの話をするだけであんなに反応したのに!」

「痛みを与えろ!それを見せるんだ!」

 白衣がスイッチを入れるとカリンに電流が流される。青白い電流がカリンの身体に流された。

 うぐっっぁ!全身の筋肉を硬直させ、奥歯をギリギリと噛み締めて、平気なフリをする。

 (耐えるんだ!私が苦しんだらモカは……)


「くっ!なんなのだ?このガキは!電圧を上げろ!叫べ!泣き叫んでライカンに助けを請え!」


(うぐぅぅ)


 モカは電流に耐えるカリンを見つめる。

(カリンは私のために力いっぱい耐えている)

(私がへこたれて怒りに身を任せてどうするんだ)

 モカは歯を食いしばり必死で怒りを堪えた。


 ◇

 

 その頃舞は地下実験場へと続く通路に降り立った。

 薄暗い通路の真ん中にティアが待ち構えていた。

 

「邪魔なんだけど!」

 

 腰からナイフを抜いてエナジーを注ぎ込む。

 ナイフが燐光を放ち青白く光る。

 バチバチと舞の身体に雷が纏われていった。

 

「思ったより遅かったわね。四柱覚醒の邪魔はさせないわ」

 

「あなたとは永遠に平行線ね!」

 

 二人の間に雷光が走った。

 

読んでくださりありがとうございました。

次回更新は明日19時です。


そしてよろしければブックマークや評価など頂けると

私自身の励みになります。

どうかよろしくお願いいたします。

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