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フェアリー•レゾナンス〜ふたなりの私達が金色の竜となり世界を救う〜  作者: 三日月
ライカン編

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〜観測者〜

〜観測者〜


お楽しみください♪


三日月

ライカン編〜観測者〜

 何も無い殺風景な部屋だった。

 簡易なソファ。

 机の上には非常食の缶詰が手付かずのまま置いてある。

 カリンは陽動作戦後、予定通り隠れ家に身を潜めていた。

 計画通り、軍の船に爆弾を仕掛け軍港を無力化することに成功した。

「これで後はお姉ちゃん達がモカを助けてくれる」

 独り言を言って自分を鼓舞する。

 なのに胸のざわつきが消えない。

 

 (カリン……生きて!)

 

 あの時のモカの言葉が何度も何度も蘇る。

「……自分だけばっかり!」

 思わず声が出てしまった。

 その時隠れ家のドアが開いた。

「誰?」

 カリンが即座に銃を構える。

 

「私よ」

「美由紀さん?どうしてここに?」

「少しあなたと話がしたくてね」

「今はそんなことしてる場合じゃないですよね?美由紀さんは北側ゲートで陽動作戦ですよね?」

 

「そんなこと?」

 

 美由紀の声の質が変わり空気の密度が上がった。

 カリンの目が細く鋭くなる。

「あなた誰?」

「私?美由紀ですよ!」

「バレバレすぎて変装にもなってないですよ!ここのホクロプチ整形でもしたのですか?」

 唇の下を指でトントンと叩く。

「あら……ごめんなさいね……」

 ジジッっと音がしてホクロが唇の下に出来た。

「!何それ?!」

「これでいいかしら?」

「誰?ってよりあなた何なの?美由紀さんはここにホクロなんてないよ!馬鹿じゃないの?」

「…………」

「馬鹿にされて怒ったの?」

「思ったより鋭いのね」

 

 ジジジ

 音がして美由紀だったものの輪郭がぼやける。

 そしてその奥から女性が現れた。

「私はマキナ」

 カリンが銃を構える。

「怪しいものではない――」

 パン!

 「わ」まで言えずカリンが撃った。

「自分で怪しくないって言うやつ程、怪しいってモカが言ってたわ」

 足に向けて撃った弾丸が、まるで小さな豆を指で摘むようにマキナの人差し指と親指に挟まれていた。

 硝煙と乾いた発砲音が部屋に漂う。

 

 カリンの目が見開かれる。

 (弾を摘んだ?!嘘でしょ!人間じゃない!)

 

「せっかちね!いい教訓を教えてくれたそのモカって子のことで来たのに……少しぐらい聞く耳持ったらどうなの?」

 

 カリンの表情が変わる。

「モカ!!モカがどうしたのよ?」

「どうもしないわ!」

 一歩近づく。

 

「私はただあなた達の愛が見たいだけ」

「は?愛が見たいって?私とモカにそんな感情はないわ」

「愛するだけが愛ではない!」

 ほんの一瞬だけ声が揺れる

「あの人は私にそう教えてくれた。でも……私にはまだ分からないの」


「だから見るのよ。極限で人は何を選ぶのか。そこに“愛”があるのかを」 


「とんだロマンチストね」

 

「それはそうと美由紀さんはどこにいるの?まさか殺したの?」

「あはは!私は人を殺めたりしないわ!人を愛しているのですもの!ちゃんと日本のLABOで生きてるわ!」

「それで私がどんな愛を見せればモカは助かるの?」

「それを知りたいのよあなたがどんな愛を見せてくれるのか?」

 

「ここに軍が来たらどうするの?」

 唐突に聞かれる。

「来るわけないじゃない」

 

「どうして?」

 

 カリンが気配を探る……外に大勢の気配がする。

 

 マキナが首を傾げ合図するように手を上げた。

 

「ここは……」

 言いかけて止まる。

 

 轟音とともに兵士がなだれ込んできた。

 銃口。

 足音。

 制圧。

 完璧な突入だった。

 

カリンの視線が、ゆっくりと動く。

 出口――潰されている。

 窓――逃げ道なし。

 距離――詰められている。

 逃げられない。

 一瞬でそこまで理解した。

「……そっか」

 小さく呟いた。

 

「観測させてね」

 マキナは静かに言うと兵士たちがカリンを拘束しようと接近してくる。

 カリンはポケットに触れ、あの下手くそな妖精の絵の描かれた紙の感触を確かめた。

 大好きで憧れの二人の名前を思うとほんの少しだけ呼吸が戻る。

 

 (大丈夫……)

 

 誰に言ったのか?自分でも分からない。

 次の瞬間、腕を掴まれる。

 「離して!」

 押さえつけられ膝を床に打ちつける。

 それでも、最後に顔を上げた。

  「……モカ」

 ここにはいないはずの名前を呼ぶ。

 「大丈夫」

 優しく、いつも通りの声で。

 「絶対、終わらせないから」

 そのまま、引きずられていく。

 ポケットから、紙が落ちた。

 少し汚れた、下手くそな妖精の絵。


 あの日から肌身離さず大事にしていた宝物だった。

  

 兵士の靴が容赦なく紙を踏みつけていく。

 ああ……カリンはその紙に手を伸ばしたが、届かなかった。

「あ!嫌!踏まないで!やめて」

 

 拘束されたカリンを見てロメオ大佐は叫んだ

「あはは!ついに尾のチャクラ覚醒へのカギ手にいれたぞ!」

 

 

 

読んでくださりありがとうございました。

次回更新は明日19時です。


そしてよろしければブックマークや評価など頂けると

私自身の励みになります。

どうかよろしくお願いいたします。

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