〜罠〜
最新、〜罠〜
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三日月舞
薄暗い部屋だった。
分厚そうなコンクリートの壁に囲まれ四方には計器類が所狭しと並んでそこから伸びたコードやチューブが絡まる蛇のように床を這っていた。
窓もなく、今が日中なのか夜なのかも分からなかった。
そんな部屋の真ん中に大柄な女性が、妊婦が出産する時に使用する分娩台に手足を拘束されて、座らされていた。
頭には電極のついたヘルメットのようなデバイスがはめられ、腕や足にも計測器がセットされていた。
衣服は全て脱がされ生まれたままの姿であった。
羞恥、恐怖、怒り、様々な感情がわけのわからない状況がますます混乱を加速させていた。
拘束具をガチャガチャと揺らしながら叫ぶ。
「なんだお前達!」
叫びすぎて声が枯れていた。
「離せ!何をする気だ!」
白衣を着た男がカルテを持って数人、取り囲んでいる。
「アスカ..20歳……妊娠歴なし……健康状態問題なし……先程の検査では……んーー男性経験もなし……」
アスカと呼ばれた女性が辱めを受け顔を真っ赤にして叫ぶ
「クソ!お前達!ぶっ殺すからな!」
白衣がうすら笑いで
「口が悪いな……その辺が原因なのでは?」
と屈辱の笑いに晒される。
「まぁそれも今日までのことだがな!」
この言葉がアスカに凌辱の恐怖を思わせる。
「誰が!お前らに!クソッ!クソッ!」
白衣のリーダーが
「無駄話はそこまでだ実験を始めるぞ!」
といった。
「地下のあれはどうだ?」
「エナジー量増加……微量です」
「むぅ……もう21人目だ!もう20人も失敗してるのだぞ!そろそろ結果を出さないと……我々の能力が疑われる。」
白衣たちは地下へ降りていき、
専用エレベーターで降りてドアが開く
固形物のような重い獣臭が風圧と共に吹き付けてきた。
半獣と化したモカが象でも切れそうにない鎖に繋がれている。
擦過音がまじる声がする。
「お前ら!いったい何をしてるんだ?」
「絶対に許さないからな!」
白衣は質問には答えず質問で返してきた。
「どうしてお前の尾のチャクラは回らんのだ!」
モカが叫ぶ
「なんのことなんだ!それは?」
「お前のその尾のチャクラさえ回れば、完全に覚醒すればきっと実験は成功するのだ」
白衣は苛立ちを隠せず
「こんな状態で被験体にエナジーを送ってもまた失敗するのは目に見えている!」
「お前のその尾のチャクラさえ回れば!」
白衣がファイルを見ながら呆れたように言う。
「肉体への痛みでもダメ!」
「脳への刺激でもダメ」
「精神的に追い詰めてもダメ」
白衣の男がモカのファイルを見ながら、何か気がついたように
「大切な物を壊される絶望感とか?」
白衣の男の言葉がモカの鼓膜に直接響き、モカの脳裏にカリンの顔が浮かぶ……
(カリンが壊される?)
ピピピピ……
数値の変化を知らせるアラームが鳴る。
助手が
「エナジー最大量増加傾向!」
白衣の男がニヤリと笑う
「軍のロメオ大佐に繋いでくれ」
といい出ていく。
ロメオ大佐が苛立ちを隠せず荒れていた。
「いったい、いつになったらカリンというふたなりの居場所がわかるんだ?」
兵士に八つ当たりするようにモニターを叩きながら言う。
「完全に行方をくらまし、コソコソと軍を探っていた集団の行方も分からず……一緒にいるとは思うのですが……」
兵士が状況を説明する。
「むぅ……探してダメなら――炙り出すしかあるまい」
「失敗は許されない!この作戦は私の独断なのだからな!この《人工ふたなり》を成功させて、あの人道者気取りの大統領を失脚させる!」
「全軍をもって作戦を遂行する!」
次の日、軍の無線に暗号化された情報が流れた。
美由紀のタブレットに繋がれたマユリがあっという間に、むしろリアルタイムのスピードで解析する。
「やっとやつら動き出してくれたのだよ」
舞が身を乗り出した
「じっと待ったかいがあったってことだね」
「で?暗号はなんて?」
「やつら第456番島で実験の成功のお披露目をするらしいのだよ」
「と言うと?」
「人工ふたなり実験が成功したらしい」
一気に緊張感が増す。
「それで?」
「明日司令部も呼んで、目の前で人工ふたなりの実験をするらしい」
「そこにモカは」
「いるであろうな」
「罠ってことは?」
「まぁ罠の可能性が高いのだよ……」
『でも』二人の声が揃う
「それを打ち破るのがフェアリーのやり方よ」
「準備は?」
「上々なのだよ」
舞の口角がニヤリと上がった
「結とカリンに連絡をしておくよ」
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