〜再会〜
最新話〜再会〜
お楽しみください。
三日月
ライカン編〜再会〜
マユリが美由紀に聞く
「例の情報について、何か進展はあったかい?」
美由紀がメガネを上げて。
「はい、今説明します」
ノートパソコンを取り出しアプリを開くと画面に地図が表示される。
二人は画面に集中する。
「人工レゾナントのことを先行したスタッフが調べた結果……」
言いかけたのを舞が手のひらを美由紀に向けるジェスチャーで制した。
結が美由紀をガードする。
「敵?」
「それにしては気配も隠せてないし殺気もないわ、マーレに来てからずっと尾行してるヤツね」
「ノコノコとよく来たもんね挨拶してくるわ」
と言うと舞はドアの近くに立った。
ドアノブを握り……舞はドアを思い切り開けた。
人影が急に開いたドアにびっくりして悲鳴をあげた。
「キャー――――!!」
舞と結がその声を聞き、顔を見て叫んだ。
「カリン!!」
以前休暇でモルディブに来た時に出会った少女。
街のゴロツキに共性ということがばれて狙われたのを舞と結が妖精を装い助けた。
あの日の記憶が鮮明に蘇る。
「どうしたの?カリン」
カリンが二人にしがみつくように抱きつき
声を上げて泣きじゃくる。
「お姉ちゃん!お姉ちゃん!モカが……ああ……」
結が髪を撫でながら落ち着かせるように言う
「大丈夫よ……ゆっくりでいいから……」
結が改めてカリンをよく見ると全身は汚れ、ところどころ傷もあった。健康状態は大丈夫そうだが、頬はこけ、唇も乾いている。栄養失調と脱水症状だ。
それでも、びっくりするほど身体が強くなっていた。
筋肉が付き、しなやかさの上にすごいバネがあるように見える。
明らかに以前の少女ではなかった。
背も高くなっており結とほとんど変わらないほどに成長していた。
舞は結とカリンの二人を交互に見た。
芯が強くて仲間思いなところ。
少し心配性で優しいところ。
カリンと結は雰囲気も似て性格も似ているなぁとにっこりと笑った。
(カリンもモカのことばっかり心配して、私も結に同じ思いをさせないように気をつけよ)
とりあえずはカリンの体調を心配して食事と水分を充分に取らせる。用意した食事をあっという間にたいらげ、やっと落ち着いたようだった。
結が優しく語りかける。
「カリン?もう大丈夫?落ち着いた?」
「うん……結お姉ちゃん、ありがとう」
「何から聞こうかしら?何故ここに?」
「どうしていいか分からなくて、街をウロウロしてたらお姉ちゃんらしき人を見かけて……ついてきたの」
結が続ける
「どうしていいか分からないってどういうこと?モカと関係があるんだよね?」
「あのね……村に軍隊がたくさんやってきたの!」
「軍隊が?」
「うん。お姉ちゃんに助けて貰ったあと、私とモカは強くなりたくて……すごく鍛えたの!」
言葉通りカリンの身体は力強く成長していた。
「村の子供たちが、みんな連れていかれて……」
カリンの声が震える。
「モカが……突然、獣みたいな姿になったの。でも、中身はモカのままだった。私を逃がしてくれて……その代わりに、モカが兵隊に連れていかれた」
「獣のように?」
「それで何て?」
全員息を飲む。
カリンが息を整え言った。
「士官らしき人が笑いながら言ってたの」
「何を?」
「……四柱の一人を確保したって」
その場の全員が叫んだ!
「なんだって!!!」
むぅぅぅ……結が思わず唸り声をあげた……
結は奥歯を噛み締めた。
(まさか、この二人が四柱を巡る戦いの中心に巻き込まれるなんて)
「それにモカが獣のように……」
「それってマユリが言ってたライカンスロープ?」
「それはいつの出来事なんだい?」
目の前の箱が喋りだしカリンが飲みかけのドリンクを吹き出した。
「な……なに?」
舞が箱をトントンと指で叩き
「悪い箱じゃないから安心して」
「……ちゃんと紹介してくれないか?」
とバイブレーション機能でブルブルと震えた。
かいつまんで説明した。
カリンも完全にでは無いが理解したようだった。
「で、話は戻るがいつのことなんだい?」
「一ヶ月ほどになります」
「かなりの時間が経ってるね」
「どうして私達に連絡してこなかったの?」
「あの名刺は無くした?」
「ううん。もちろん持ってるよ、でも電話番号のところが戦っている時に燃えちゃったの……村の子供を助けてモカが私を逃がしてくれようとした時……途中に……」
カリンが半分燃えた名刺を出した。
そこには、以前、舞がドヤ顔で描き残した、およそ妖精には見えない歪な羽の生えた謎の生命体の絵が無残に残っている。
それを横から覗き込んだ美由紀が、メガネの位置を直しながら真顔で呟いた。
「……新種のハエですか?」
「妖精よッ!!」
舞は盛大にツッコミを入れながら、天を仰いで大きいため息をついた。
結が仕切り直す。
「それでモカはどこへ連れていかれたの?」
カリンが首を横に振る
「分からないの」
「お願い……お姉ちゃん達……モカを助けて!私ももう戦える!でもきっと私だけじゃ足りない!だから手伝って!!」
「わかってるわ、カリン……もうこれは私達の闘いにもなっているのだから」
刹那、結の眼光が鋭く光った。
瞬間、結がライフルを構える。
カリンに銃口が向く。
そのまま即座にエナジーモードに移行して出力を絞って引き金を引いた。
カリンには当たらず後ろのドアを撃ち抜いた……マシンガンを持った兵士がドアと一緒に前の道路に吹っ飛んだ。
兵隊が胸に衝撃波を浴びて気絶していた。
何かを護るためには人を殺めることに躊躇はないが不必要な人殺しはしない。
「囲まれてる!」
結が気配を探る……
「十」
と言いながら壁越しに銀色の瞳が標的をロックオンする。
エナジーライフルが3回火を吹いた。
壁を貫通し兵士を衝撃波で無力化する。
「七になったわ!舞!上!」
窓をぶち破り、二人の兵士が飛び込んでくる。
二人の足が床に着地するまでに舞の重い回し蹴りが二人を窓枠ごと吹き飛ばす。
「五!」
吹っ飛んでいく兵士を追いかけて同時に結が同じ窓から飛び出す。
瞬時に敵を捕捉し三人を三発で仕留めた。
同時に舞が残りの二人に踏み込む。
青い燐光を放つナイフを2回振る。
兵士のマシンガンをバラバラに切り裂きナイフの柄で兵士の意識を飛ばした。
舞がナイフをホルダーに納め、結がライフルを携行形態モードに戻した。
見事に声が寸分違わず重なった。
「「ゼロ……」」
カリンは拳を握り締めた。
憧れだけではない。悔しさを滲ませた瞳で、二人を見つめる。
「すごい……私にも、モカを助けられる力が欲しい……」
読んでくださりありがとうございました。
次回更新は明日19時です。
そしてよろしければブックマークや評価など頂けると
私自身の励みになります。
どうかよろしくお願いいたします。




