舞
〜舞〜
お届けします<!☆∀☆!>
三日月舞
ブラン城編〜舞〜
――マユリの声が聞こえた!
「舞ぃぃぃ!」
子供のように丸くなっていた舞の背中を愛理がプスッと爪で突いていた。
いきなり舞がその尖った爪を掴んだ。
「お?何だ?やる気出したのか?」
愛理が舐めたように聞く。
舞が握力だけでその爪を握り切り、ゆっくりと舞が立ち上がる。
さっきまでとは別人のような気配に愛理の動きが止まった。
――舞の全身に雷が纏われ、大気を震わす。
舞の頭に二本の角が生え、力が漲り舞のエナジーが無限に増幅されていく。
全てのエナジーが集約し舞の角のチャクラを回した!
バチバチと全身が帯電し、落ちた腕を拾い傷口を合わせると瞬間で結合した。
その左手をグーパーを繰り返し馴染ませた……
ニヤリと愛理を睨む――
圧倒的力を前に愛理は震え怯えた。
「何なの?お前は!」
舞の口が開く。
「美衣……ありがとう……」
心の中の美衣が答える
(優しすぎた、お姉ちゃん……美衣のこと思い出してくれてありがとう〜)
「マユリ……声届いたよ……」
「舞……よかった」
視線を愛理に移す。
「お!お前は一体!」
愛理はそれ以上話せなかった。
残像も残らないほどのスピードで愛理に接近し刀身が半分になった刀でバラバラに切った!
愛理がチリも残らず消滅した。
結がものすごい咆哮をあげ、ますます人外へとなってくる……触手が伸び数も増えた。触手の先にも牙があり……舞に襲いかかる
「ごああああああああ!!!」
舞も呼応する!
「結ぃぃぃぃぃーーーーー」
二人の人外がぶつかる……触手を切っても切っても再生し舞に牙を打ち立てる!
舞の刀も結を何度も切り裂き血まみれだった……
触手が束になり巨大な蛇のようになり舞を追う。
その蛇の頭部を鞘で叩き落とす。
結の禍々しい爪が舞に襲いかかり切り裂いたように見えたが舞の残像だった。
舞は結の真上から唐竹に刀を振り下ろす。
結も超スピードで避ける。
(舞!どうして私じゃないの?どうしてマユリを守るの?ああ……憎い……全てが憎い……)
舞と結はほぼ互角で消耗も激しかった。お互い限界が近づいていた。
マユリはその戦いをじっと見ていた。
「全くあの二人は何をやってるのだよ!見てられないのだよ」
鬼とヴァンパイアが最後の力を振り絞り命の火花を散らそうとしている。
(舞!私だけのものにならないのなら……ここで一緒に!)
(結!どうすればあの結に戻るの?戻れないなら……ここで一緒に!)
「このバカたれども!」
マユリは2人の間に飛び込んだ!
舞の刃がマユリの胸を右から貫く!
結の爪がマユリの腹を左から突き刺さる!
「ああああ」
「ああああ」
ゴフッと血を吐きながら
結を見る――
「このバカタレがぁ!!女の嫉妬は女にはビリビリくるんじゃー」
「しょーもないジェラシーなんか辞めやー」
「言っとくけどな!ウチと舞はまだ膝枕だけの純情プラトニックなんや!それを結!あんたは!このドアホ!!!」
マユリのビンタがペチっと音を立てた。
どんな攻撃にもびくともしなかった結の体がビンタで崩れ落ちた。
舞の悲鳴のような慟哭が響く
「マユリ!!マユリ!!!ああ……どうして……ああ私……あああ……」
舞に振り返り……優しい声で言う。
「ふふふ、なんて顔をしてるんだい?私が死ぬとでも思ってるのかい?大丈夫さ!私がこういう事態も予想してないと思ったのかい?」
ゴフッ!大量の血を吐く……マユリの血が結の顔にかかり唇に流れ込んだ瞬間、紫の炎は消え、かつて舞と三人で過ごした記憶が、温かい雫となって結の頬を濡らした。
結がビンタの当たったところからヴァンパイアの皮膚がバラバラと崩れていき下からサナギから成虫に《羽化》するように結が元の美しい結に戻っていく――
「ああああ……マユリ……マユリ、私……なんてことを…………」
マユリの手が結の頬を優しく撫でる。
「結……やっと可愛い結に戻ったのだな。よく聞くんだよ、いいかい?私は横恋慕なんて無粋な真似はしないのだよ……結と舞で二人で私の片想いなのだよ!いつか結……良ければ膝枕……」
ゴボゴボっ……血が肺に溜まり喋れなくなる……
「あああ……マユリ……マユリぃぃ」
「2人ともそんな顔をしてくれるのだな」
マユリの両手が2人の頬を撫でる……
「死なぬよ……こんなチャンスを逃したりはしないのさ……二人の膝枕で二人の笑顔を見ながら……なんて最高なのだよ……わらっていてくれたまえよ。これを二人に……」
マユリはそういうと小さな筆箱ほどの四角いデバイスを二人に握らせた。
「これをマキナに……」
舞と結は崩れ落ち……その両膝にマユリの頭が乗る……マユリから命のエナジーが消えていく……
二人の頬に触れていたマユリの手が地面に落ちた。
(笑ってくれたまえよ)そんな声が聞こえそうな寝顔のようだった……
一瞬預かったデバイスが震えたような気がした。
舞と結はただ泣くことしか出来なかった。
一体どれ程の優しさに守られてきたのだろう?
一体どれ程の愛で接してくれて来たのだろう?
涙も出し尽くし
舞は結を見
結は舞を見た
舞は結に
「マユリの大阪弁凄いでしょ」
結が
「びっくりしたわ」
と、涙を流しながら笑った。
結……
おかえり……
舞……
おかえり……
2人の間に優しい風が吹いた……
マユリが口笛を吹いたような風だった。
読んでくださりありがとうございました。
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