膝枕
膝枕〜お届けしますꈍ .̮ ꈍ
三日月舞
ブラン城編〜膝枕〜
ブラン城へ向かう数日前。
舞はトレーニングルームでスパーリングマシンと組手をしていた。
組んで、打って、避けて、打つ!
その様子を見ていたマユリの視線に舞が気付く……
「おつかれ……いい動きだよ」
タオルとドリンクを投げ渡してくれた。
「体を動かしてるといろんな不純物が心から消えていきスッキリするのよ!ねぇマユリ一緒にヨガしてみない?あなたもチャクラが回ればきっともっと頭が冴えてIQ500ぐらいになっちゃうんじゃない?」
と誘ってみた。
「それいいね、少しチャクラには興味あったし良かったら教えてくれるかい?」
舞とマユリが向かい合って結跏趺坐しながら呼吸を合わせていく……
「息を鼻から吸って空気中のエネルギーを取り込み、そのエネルギーを丹田に溜めるように…………そう……いいよ…………その調子」
舞は立ち上がりマユリの傍に寄り添い丹田に手を当てる。
「ここから順に……尾てい骨……仙骨……へそ……胸……
喉……眉間……頭頂へと」
いいながらその部位に手を当てエナジーを整えるサポートをしていく……
マユリはチャクラをなぞる舞の手にエナジー以上の温かさを感じていた。
「そう!いいよ……体内に取り込んだエネルギーでそれぞれのチャクラを風車みたいなイメージで回す……
回す……そう……うん……いいよ……」
マユリはコツを掴むのが上手くチャクラがゆっくりと回り始めた……
「これは……すごい感覚だな……ん……おぉ……これがチャクラ!」
舞も隣でチャクラを回してマユリに同調していく……
お互いの意識も同調していき心がシェアされていく。
暖かい感情が流れ込んでくる……
言わずとも――
二人ともこの感情の名前を知っていた……
マユリがゆっくりと目を開ける。
そこには自分を見つめる舞の顔。
お互いに言葉が出なかったがただ胸の奥に暖かい感情だけが残っていた。
気づけば二人は、そっとハグしてお互いの鼓動を感じ合った。
次の日、舞はマユリに呼び出されLABOに来た。
「マユリ……おはよう」
「あ……う……うん。おはようなのだよ……舞」
ドギマギの返事と2人の視線を合わせる距離感が明らかに変わっていて、スタッフ全員なんだか嬉しそうな空気に包まれていた。
(ハグしただけなんだけど)
二人は少し顔を赤くしながらも気を引き締めた。 「舞、こっちへ、新しい武器の件だよ!」
前回の戦いで舞はあのコンバットナイフを二振りとも落として紛失してしまっていたのだった。
あの時のことを思い出しそうになるが、その重苦しい空気を切り裂くようにマユリの明るい声がLABOに響いた。
「舞!これをみたまえ!」
テーブルの上に一振の刀が鞘に収まり置いてあった。
「これは!?」
「見ての通り、日本刀なのだよ!」
「すごい……触ってもないのに分かる!――私を呼んでいる」
左手で鞘を持ち右手で柄を持つ。
柄のフィット感はまさに舞のために作られたようで手のひらに吸い付く。
新たな持ち主に出会えた喜びで刀自体が震えているようだった。
ゆっくりと刀身がダイヤモンドのように光りながら音色のような金属音を奏でながら出てくる。
触れる空気が切れそうだった。
波文が刀の角度を変える度色んな模様を浮かび上がらせる。最後まで抜刀する。
キィィィーーン
空気が張り詰める。
「すごい!刀の方からエナジーを要求してくるみたいだよ」
刀が求めるエナジーを込めると刀が呼応して刀身が光り輝く。
鋭い呼気とともに振り抜く。
刃が空気を両断する。
ビュッと血振りの所作をして刀をクルクルと回して納刀する。
カチャン!
一連の一糸乱れぬ演舞と所作があまりにも美しく見ていた全員が息を飲んだ。
「マユリ……みんな……最高だよ」
「居合は出来るかい?」
と言われて舞の雰囲気が変わった。
デコイが降りてくる。
左手に刀を持ち、腰を据えて構え、右手を前に出し、軽く手のひらを開く。
カチャリと親指で鯉口を切る。
裂帛の気合と共に神速の抜刀でデコイを真っ二つにした。
気づいた時にはもう納刀されている。
「ふぅ……こんな感じ」
「うむ……素晴らしいのだよ」
「もちろん同じようにエナジースラッシュも撃てる」
「それは助かるよ」
「後、さっきの居合の要領で鞘の中でエナジーを貯めるのさ……」
もう一度デコイが降りてくる。
さっきの居合の構えの中で刀にエナジーを注ぐイメージ……鞘の中でエナジーが凝縮されていく……
「そのまま刀を前に突き出して!」
抜刀して切っ先を前に突き出す。
鞘からエナジーを纏い刃の先からエネルギー波が迸りデコイを蒸発させた。
「エナジーブレイドグレートエクスペリエンスウルトラスーパービームさ!」
……
……
(長っ)
無視した。
「いつか私のセンスをわかってくれると思うのだが……」
と少し唇を尖られせていた。
自慢げに胸を弾ませ舞の左右の腕にアーマーを装着する。驚くほどフィットしていた。
「刀を投げてごらん」
舞が刀を持ち替えて壁に向かって投げた!
刀身が半分以上壁に埋まる。
「右のアーマーで引き寄せて!」
右手を引くと刀が手に戻ってきた。
「アーマーと刀の間に極細の高強度ワイヤーが繋がってるのだよ!もちろん鞘にもということなのだよ!」
「すごい……」
「前にも言ったね、舞を護る矛と盾は私が作るのだよ。このくらいしか私には出来ないのだからね。やはり舞のいない世界は退屈で仕方ないのだよ。私が舞を死なせたりしない」
マユリがこの開発のために、ほとんど寝ていないのは顔を見ればわかった。
「マユリ……ありがとう」
何か言いたげなマユリだった。
「何よ?どうしたのよ?」
「舞――ほんの少しでいいから時間あるかい?」
「大丈夫よ、何?」
「ほんの少しでいいから、あの……その……ん……膝を貸して貰えないだろうか?」
と、顔を赤くした――
――数分後仮眠室で舞の膝枕でマユリは笑みを浮かべて眠っていた。
舞はにこやかにマユリの髪を撫で……小声で
「このくらいいつでも言えばいいのに……」
と呟いた。
マユリの規則正しい寝息を聞きながら、舞は窓の外の夜空を見上げた。
その視線の先には、同じ月を見ているかもしれない結がいる。
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次回更新は明日19時です。
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