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フェアリー•レゾナンス〜ふたなりの私達が金色の竜となり世界を救う〜  作者: 三日月
ツインビル編

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24/94

鬼〜お楽しみください(#´ᗜ`#)


三日月

ツインビル編〜鬼〜



 舞がドン!と床を蹴り重装備兵の隙間を縫って切り込んだ。

 重装備のアーマーは、刃の触れた部分だけが結晶化したように光り、火花を散らした。

 

「うそ!?切れない!」

 

(キングの装甲は簡単に切り裂いたはずなのにカンパニーも対策してきたということ?)

 

「関節部分なら」

 関節を狙うがガードされすぐにガトリングの雨が降る。今度は同士討ちの事はお構いなく連射してくる。味方が撃った弾も重装備には通らない。

 

 マユリがバージョンアップしてくれた新しい武器。

 左腕のアーマーにエナジーを流し込む。

 瞬時にシールドが形成されガトリングの猛射をどうにか受け止めた。

 エナジーシールドを展開しつつナイフを振るう。

 一撃入れても浅く、重装備兵たちは一歩も引かない。

 少しずつ劣勢になっていき、いつの間にか囲まれた。

 

 エナジースラッシュ!

 重装備に少しキズがついただけだった……

 上に逃げようと天井に向けてアンカーを撃つ!

 ――ウィーン

 「上へ離脱して一度距離を!」

 左腕のモーターで身体を引き上げようとした。

 

 上がる前に足首を巨漢に掴まれて床に叩きつけられた。

「ガフッ!!」

 肺の空気が全部出るほどの衝撃で舞の口から鮮血が飛び散った。

 アンカーが天井から外れた。

 二回。三回。振りかぶって床に叩きつけられる。


 舞は叩きつけられながらも、腕で頭部をガードしていた。

 

 (これ以上はやばい!)


 反対の足で掴まれてる手を蹴り、何とか地上に立った。

 

 

「肋骨……かなり持っていかれた!」

 口の中の血をペッと吐いた。

 

 このままじゃ嬲り殺される、恐怖が背中に流れる汗となり舞の背を濡らした。

 

 脳裏に結の笑顔が浮かんだ。

「死ぬもんか!」

 

 舞は全身のチャクラを順に開いていく。

仙骨、臍、胸、喉、眉間、頭頂――。

エナジーが全身を駆け巡り、身体が燐光を帯びた。

そして最後に、そのすべてを根のチャクラへ限界を超えて叩き込む。

 

 舞の身体が爆発したように消えた。

 

 超重量装備ごと重装備兵の首がゴロンと落ちる………一人目!

 

 動きの速さとパワーに筋肉が悲鳴をあげる!プチプチと筋繊維が断裂する。

 

 折れた肋骨が内臓を傷つけ口から血を吐いた。

 それでも舞は止まらず加速する。

 分身すら見えるスピードで撹乱し、その加速ををそのまま刃に乗せて切る。

 ………二人!


「あがうぅ……」

 歯を食いしばって痛みに耐える。

 ナイフを振るった瞬間、右腕の骨が嫌な音を立てて折れた。

  

 二人を倒して力尽きた。

 

 仰向けで倒れて息が出来なかった。

 

 全身の耐え難い痛みに顔が歪む……

 ゴフッ!っと血を吐く……


「あっ、はぁ……」

 

 僅かな時間のことだった。

 あっという間に二人の重装備隊がやられた。

 残った三人目は何が起こったのか分からないようだった。

 

「何なのだ?お前は?でももう終わりだ!殺す」

 

 動けない舞を見て勝ち誇った。

 舞の折れた腕を踏みつける。

 

「あああああ」

 ナイフが床に落ちた。重装備兵がナイフを蹴り遠くへ飛ばす。腹を蹴られ地面を転がされる。

 

 腕が弾かれ左手のナイフも弾かれ飛んでいった。

 大の字に倒れ、意識がセピア色に染まり薄くなる。

 

 (私、頑張ったよね)

 

 重装備兵が顔を踏みつけようとしている。

 

 (これ以上頑張らなきゃダメ?)

 

 顔をギリギリで避ける。足がコンクリートが破壊する音も遠くなる。

 

 (ああ……でも、なにか忘れてるかも……)

 

 その足にしがみつく。

 

 (あーマユリとスイーツだ……)

 

 舞は下から全身を伸ばす勢いで蹴り上げる。

 

 (あはは〜甘いの好きだなぁ……)

 

 びくともしなかった。

 

 (後もっと大事な…………あ!結?結?)

 

 拳をガードした舞の左腕の骨も折れた。

 

 (言ったじゃん!もう結を泣かせないってぇ)

 

 腹部を踏みつけられた。


「ガハッ」

 

 大の字で動けない舞を見下ろしガトリングガンを構えた。

 

 (死にたくない)

 

 重装備兵が『終わりだ』と言う。

 

 (死ねないってば!)

 

 舞は魂で叫んだ。


 (死ねないのよ!!!!)



 


 

 ぷつり――舞の奥底に潜んでいた《何か》を封じていた鎖が切れた。


 魂の奥底から声が聞こえた。

 問われた。

 

『その力なんのために振るう?』


 (護る!結を!みんなを!この刃の届く全てを!!護るッ!!)


 ――――!!

 

 刹那――重装備兵の視界から、舞の身体が掻き消えた。


「な、なに……!?」


 ガトリングガンの銃口が虚しく空を切る。


 数メートル離れた闇の中。


 舞は立っていた。


 天を仰ぎ、微動だにせず。


 ――メキ……メキメキッ!


 骨を内側から押し広げるような、不吉な音が響く。


 額の皮膚が裂けた。


 そこから一本の赤い角が、ゆっくりと姿を現す。


「ぐ……ぁ……ぁぁ……!」


 その瞬間――


 角から赤黒いエナジーが噴き出した。


 炎でもない。


 雷でもない。


 意思を持った何かのように舞の身体を這い、肩へ、胸へ、腕へ、脚へと絡みついていく。


 そして――固まった。


 ガキンッ!


 黒。


 赤。


 禍々しい光沢を帯びた硬質の装甲。


 舞の肉体が変わったのではない。


 溢れ出したエナジーそのものが、舞を護る〈鬼神の鎧〉へと姿を変えていく。


 肩を覆う。


 腕を喰らう。


 胸を包み、脚へ走る。


 最後に鎧は舞の頬へと這い上がり――顔の半分を覆った。


 それでも。


 残された半分の顔は、紛れもなく舞だった。


 赤い瞳。


 濡れた髪。


 そして――


 舞は笑った。


 戦場にはあまりにも似つかわしくない、慈悲深い微笑みだった。


「…………」


 重装備兵が、一歩後ずさる。


 その笑顔の方が、咆哮よりも恐ろしかった。


 バヂッ――!


 角から迸ったエナジーが鎧の隙間を走る。


 バヂバヂバヂッ!!


 赤黒い鬼神の鎧を、紫電が駆け巡った。


 折れていた骨が、鎧の内側で音を立てる。


 バキッ。


 バキバキッ――!


 あり得ない速度で、元の形へ戻っていく。


 舞が静かに右手を差し出した。


 遠くに転がっていたナイフが震える。


 カタ……カタカタカタッ!


 次の瞬間。


 二本のナイフが床を跳ね、吸い寄せられるように舞の両手へ収まった。


 ギュッ――


 舞が柄を握る。


 赤いエナジーが刃を走った。


 その姿はもう、人間には見えない。


 だが――


 鬼でもなかった。


 人であることを捨てきれないまま、鬼の力だけを纏った異形。


 ――鬼神。


挿絵(By みてみん)


 破れた戦闘服の隙間から共鳴紋が赤く燐光を放っているのが見えた。


 重装備兵が恐怖すら感じ、ガトリングガンを舞に向けて撃った。

 二本のナイフが目にも止まらぬ速さで舞う。

 

 舞の足元にガトリングガンの弾頭が無数に転がる。


 弾がなくなってカラカラとガトリングガンの回転音だけが響く。


 音もなく

 瞬間移動のように接近する。

 シュっと、ナイフが一閃した。

 

 重装備兵の両腕が大きな音を立てて落ちた。


「ヒイイイ」

 

 重装備兵が逃げ出す。

 ブンッ、と残像を残し前に回り込む。

 二振りのナイフを交差させ、重装備兵の首に当てた。

 

「この化け物が!!」

  

 二本のナイフが交差し、フロアに静寂が訪れた。

 

 断末魔の「化け物」という言葉が心に刺さる。

 真っ赤に煮え滾る力の奥でまだ人間であろうとする最後の欠片が反論した。

 

「違う!私は化け物じゃない!」

 

しかし、その口からは、ごぉぉぉーーーという叫びが大気を震わせた。

 

読んでくださりありがとうございました。

次回更新は明日19時です。


そしてよろしければブックマークや評価など頂けると

私自身の励みになります。

どうかよろしくお願いいたします。

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