表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
フェアリー•レゾナンス〜ふたなりの私達が金色の竜となり世界を救う〜  作者: 三日月舞
ツインビル編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/66

罠〜お楽しみください


三日月舞

ツインビル編〜罠〜




 高層ビル強襲ミッションが始まった。

 舞は高度8000メートルを飛行する輸送機のハッチ付近で装備点検に集中していた。

 

 モニター付きインカムに現在地と目的地が点灯し、降下までのカウントダウンが始まると、舞は結に向けて通信を開いた。

 

「結!聞こえる?もう少しでミッション開始するわ!」

 舞の声は緊張を押し込めた決意が滲んでいた。

 

 降下作戦用ウェーブスーツに身を包み、減速フィールドを点検する。

 両腰のナイフを確認し、左手の多機能アーマーの動作をチェックする。

 

結から「オールグリーン」と通信が入った。

 

 結は隣のビル屋上の見晴らしのいい配管の影からライフルのスコープを覗き、サポートをしていた。

 

 ターゲットの階層は直前まで判明していなかったが

 ギリギリで潜入していたアンドロギュノス諜報部から八十八階だと連絡があった。

 眼下には青く霞む大地が広がる。

 心臓の鼓動がインカム越しに響くほどの緊張感が漂っている。

 

 舞は一瞬目を閉じて深呼吸する。

 カウントダウンゼロに向けて、いつものパイロットに声を掛ける。

「ハッチオープンお願い、帰りも気を付けてね」

「フェアリー舞も任務頑張ってくださいね」

「ありがとうー」

 

 とりあえずは屋上にとりつかないと――

 ハッチの縁に背中向きで立ちゆっくりと後ろに倒れていく。――重力が反転し頭から垂直に落ちていく。

 モニターヘルメットにビルの立体映像が出る。

 結から

「高度速度オールクリア」

「屋上遮蔽物なし、敵なし」

「舞!減速フィールド全開!アンカー打て!」

 

 減速Gがかかり舞は顔を歪める。

 そして屋上ギリギリでアンカーを切り離し音もなく屋上ヘリポートについた。

 

 ふぅ〜っと息をついた瞬間!舞の第六感が警報を鳴らす。

「!!!」

 舞は確認することなくヘリポートから飛び、眼下に広がる目の眩むような虚空へ飛んだ。


 ――その瞬間ヘリポートが爆発した!

 

 舞はビルの側面を滑空しながら急減速、空中で体勢を立て直す。

 

「舞っ!今の爆発、遠隔起爆だ!屋上に誘い込む罠だった!」

 結の声が鋭く飛び込む。

「また罠なの?どうなってるのよ!八十八階。生体反応多数!30?40?」

「押し通るまでよ!……最初から仕留める気満々ってわけね」

 舞は壁面にアンカーを再射出し、八十八階直上の外壁で停止した。

 

 ビルのガラス張りの壁を見た。

 〈金色に輝く自分〉がこっちを見ていた。

 目が合った。


 ――「どうしたの?止まってるわよ」

 結から無線が入り、意識が無線に向くとガラスにはいつもの自分が映っていた。

 光の反射だと納得して室内を伺う。

「いや、なんでもない」

 

 窓越しに、異様な光景が目に入る。

 豪奢な照明、シャンデリア、異常な熱気。

 スーツ姿の男女、仮面、そして中央の檻。

「……やっぱり、地獄ね」

 

 舞の声が低く沈む。

 舞は壁面を大きく蹴り、振り子のようにビルから離れるように飛んだ。

「結!左から五枚目の窓お願い!」

「OK!」

 瞬時にリクエストの窓ガラスにライフルが撃ち込まれてヒビが入りそこに舞がガラスを割って飛び込んだ!

 

 中に飛び込んだ舞は絶句した。

 さっき見ていた豪華なパーティ会場はホログラムだった。華やかなシャンデリアが砂嵐と共に消え、冷たいコンクリートの壁と鉄錆の匂いが舞を包んだ。

 

 殺風景な処刑パーティ会場だった。

 

「こ!このミッションもこれも罠?一体どうなってるの?」

 

 (醜悪なイベントも囮……ということはこのフロア全部敵ということね。こんな大掛かりな罠……カンパニーか!)

 

 結も危ない!

 突然無線にノイズが入り繋がらなくなった。

「結?結?」

 

(ダメか……) 

 舞はナイフを抜きゆっくりと呼吸を整える。

 部屋中の窓に、次々とシャッターが降りる。

 

(結、気をつけて!)

 祈りながらシャッターが降り暗闇になるまでに、部屋の配置を頭に叩き込んだ。

 シャッターが完全に降り、世界が完全な闇に沈んだ。

 舞はナイフを握りしめて神経を張り詰めさせた。



「舞!舞!応答して!」

 

(やっぱダメか……舞……気をつけて!)

 

 結は屋上でインカムを外しながら警戒する。

 敵の数、配置、射線……

 結は一瞬で戦場を解析していく。

 

 しかし途中から解析するのをやめた

(結構いるわね……数を鵜呑みにすると危ないわ)

 

 ミッションの鉄則――

「必ず生き残る!」

 と叫び、影から身を翻しライフルを連射した。

 


 

 

 八十八階は完全な暗闇だった。

 このミッション自体がガセでトラップなら少なくとも視界に入った人数……三十人は敵がいることになる。カンパニーだとするなら全員百戦錬磨の傭兵だという事だ。

 

 瞬時に伏せて思考を働かせた。

(この暗闇で乱射すれば同士討ちになる。つまり、銃は撃ってこない……ということは――)

 

 ヒュンという空気を切り裂く音がして舞のいた場所に斧が叩きつけられた。

 舞は前転してその斧の辺りにナイフを振った。

 暗闇の中、見えてる!完全に避けられた。

 

 (暗視ゴーグル?)

 舞は暗視ゴーグルを潰しにいく。

 スタングレネードを投げた。

 うずくまり耳と目を塞ぐ……強烈な音と光が爆発する。

 暗視ゴーグルをつけた兵士は目と耳から血を流し倒れた。

 


 


 結は敵に囲まれながらも遮蔽物に隠れた敵をエナジーショットで一人ずつ削っていく。

 

 撃ちながら昨日の記憶が蘇る。

 昨日マユリのところにライフルを取りに行った時に話したことだ。

「エナジーライフルをすこし改良したのだよ、これで少しはエナジー許容量が増えるのだよ」

 マユリがドヤ顔で言うがその顔は何日も寝てないのか手に取るようにわかった。

  

「それと……これ……」

 首にネックレスをつけてくれた。

「これはまぁ御守りみたいなものなのだよ」

 と言ってたのを思い出した。

 

 結はネックレスのチャームを握りしめた。

「マユリ!ありがとう。絶対に生きる!」

 

 エナジーショットを撃った。

 貯水タンクの上から一度に四人の傭兵が飛び出してきた。結はとっさにエナジーバーストを撃つ!

 四人の傭兵が光の奔流の中に消え、跡形もなく蒸発した。

 

 しかし敵の数はまだ多い。

「負けるもんか!」

 結からエナジーが湧き上がった。


 

 


 八十八階に暗闇と静寂が戻る。

 舞の神経は研ぎ澄まされ僅かな空気の流れ、敵の靴が床に少し当たる音を探る。

 敵には同士討ちの可能性がある。

 だが舞は迷う必要などない。

 触れるもの全てが敵

 ——それだけだった。

 

 エナジースラッシュもかなり使っていた。

 

 偶然にも結と全く同じタイミングでマユリとのナイフのバージョンアップと御守りネックレスの話を思い出していた。

 

 あの屈託のない笑顔を思い出すとエナジーが少し落ち着く。そして集中する。

 

 (神経を研ぎ澄ませ!己が折れない刃になる。――私は刃!!)

 舞の動きが、敵の数を凌駕していく……

 敵の大半を無力化し、はぁはぁと肩で息をする。

 

 いきなり部屋のランプが点灯し眩しさにしばらく目を伏せる。

 目が慣れてきて、危ない気配のする壁を見る……ゆっくりと壁が真ん中から割れていく。

 キングをも凌駕する体の大きな重装備兵が五人フル装備で立っていた。空気が、重く沈んだ。

 ガシャン!ガシャン!と重量級の音が床を震わす。

 

 ビルの床が抜けないか心配になる程の振動が舞の足から全身に伝わる。

「ふぅ――やっと本番ね」

 と気合を込めた。


 

読んでくださりありがとうございました。

次回更新は明日19時です。


そしてよろしければブックマークや評価など頂けると

私自身の励みになります。

どうかよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ