絆
絆〜お楽しみくださいヽ(´∇`)ノ
三日月
ツインビル編〜絆〜
砂漠でのカンパニーとの激闘の後
結は撃たれた肩の治療のため、アンドロギュノス医療班、通称《三人娘》のところに訪れていた。
サナが、結の身体の刻まれたアザやキズを見て絶句した。
「結さん――こんな……」
サナが古傷の痕に手のひらを当てる……
そっと結がその手に自分の手を重ねて言った。
「大丈夫……痛みはないよ。あなた達のおかげよ」
「本当にむちゃばかりするんですね……私たちのために」
リナとミナが肩にエナジーを送り治癒魔法を施しながら感謝した。
傷跡を悲しそうに見つめる三人の表情の方が、結には傷そのものより痛く感じられた。
「あなた達がいるから私もがんばれるのよ。みんなそう……自分の出来ることを精一杯していくことがこの世界を正していくことになると信じているわ」
結は三人を見つめ、そう話すと部屋を後にした。
振り返り三人を愛おしそうに見ながら、
「今度、舞とマユリと一緒にスイーツでも一緒に楽しもうよ」
と誘った。
三人の顔に笑顔が戻った。
◇
舞はマユリとカフェで約束のスイーツを食べていた。
「結の方は大丈夫なのかな?」
マユリがケーキを頬張りながら聞いた。
「今、医療班の方に行ってすぐにここに来るわ」
舞が口を大きく開けてシュークリームを押し込んだ……
「しかし今回の砂漠の罠はカンパニーが仕組んだことだったなんて、厄介な相手に狙われたのだよ」
舞の口の周りにカスタードクリームがべったりと付いている。
マユリは口元のクリームを指差し、呆れたように
「いっぱいついてるのだよ!」
舞が舌で自分の口の周りを舐める。
「しかしカンパニーもこんなシュークリームをだらしなく食べる女に負けたなんて屈辱だろうな」
「それとこれとは関係ないでしょ」
と笑った。――入口を見て
「あ!結、こっち」
結が合流した。
「肩の具合はどう?」
「ありがとう、あの三人のおかげで痛みはないわ」
「今度あの三人娘もこのスイーツ天国に連れてきてあげないとなのだよ」
「ちょうどさっき三人を誘っておいたわ」
「楽しそうね、楽しみだわ」
そして、改めてスイーツを注文して、お腹いっぱい食べて英気を養った。
◇
一ヶ月後、新しい任務が課せられた。
ミッションシートを読む二人の顔が険しくなった。
高層ビルの一室で、捕らえられたふたなり達が凌辱されている――
しかもそれを上流階級の人間達が見世物として楽しみ、さらには自らも参加しているという。
まるで悪魔の儀式のような計画が進んでいるとリークが入った。事の詳細はわからないがアンドロギュノスとしては看過できるはずもなかった。
そして結と舞が派遣されることになった。――
二人は凄惨な記述が並ぶミッションシートから視線を外し、込み上げる吐き気と怒りを堪えながら装備点検に没頭していた。
「ミッションだけど本当にそんなことがあるのなら絶対に許せないよね」
「うん。本当に許せない」
装備の点検に力が入る。
そこにマユリがやってきた。
「舞、結!息災そうでなによりだよ!」
「結?肩はどうだい?」
「ありがとう。もう100%よ」
グルグルと回しても痛みはなかった。
「良かったのだよ」
三人はハグで互いの無事を確かめ合った。
「武器の調子はどうだい?」
「マユリ本当に助かってるよ」
「少し武器を預かっていくのだよ、ミッションに出るまでに、またLABOに寄ってくれないか?スイーツが用意してあるのだよ。まぁついでにCOCOONに入ってもらい色々検査もしてもらうことになるけどね」
要件を伝えると、二人の装備を持ってLABOに消えていった。
「ちゃんとメンテナンスとアップデートもしておくから忘れないで来ておくれよ」
そう言い残し足早に去っていった。
◇
舞は日課のトレーニングをクリアするとシャワーを浴びた……念入りに体を洗い、舞は濡れた体のまま鏡の前に立ち自問した。
腹部から下腹部にかけて共鳴紋……レゾナンス・シグマが見える。
ふたなりに生まれた時から刻まれた紋様。
そもそも、私は何者なのだろう。
共鳴紋。エナジー。そして鬼の因子。
知らないことばかりだった。
ふたなりとは何なのだろうか?
私に両親の記憶はない。
育ての親はいたがその親も数年前に亡くなっている。
思い出そうとすると決まって頭の奥が激しく痛んだ。
私が生まれたということは、母は普通の女性だったはずだ。
鬼の遺伝因子、両親のどちらかが鬼だったのか?
私はどうしてふたなりとして生まれたのだろう?
ふたなりは子を成せないという。
しかしエナジーという不思議なチカラを持っていて、そのせいで涙を流す者も多い――
けれども、その涙を、誰かを護るチカラに変えることも出来るはずだ。
ティアやマユリなら何か知っているのか?
考えがまとまらず舞は両手で自分の頬をパチン!と叩いた。
鋭い痛みが舞の脳をクリアにさせた。
鏡の中の自分と、静かに目が合う。
「ふぅ……私はこの手の届く範囲の人を護る!それだけだ!」
と気合いを入れ直した。
◇
LABOの前で結と待ち合わせていた。
さっきの自問自答で真っ先に護るべき対象として結の顔が浮かんだせいで結を見ると少し舞の顔が紅く染まった。
「どうしたの?舞、顔赤いよ?」
「う、ううん、なんでもないよ!」
二人でLABOに入った。
マユリは既に待っていて、入ってきた舞の目を見つめ
「少し気持ちが晴れたみたいだね」
と優しい顔で言った。
「じゃ先にまたCOCOONに入ってくれるかい?」
と促した。
COCOONにもすっかり慣れてきて、すぐに服を脱ぎシートに収まった。
ハッチが降りると外の音が消えた。
また夢を見ているような感覚。
記憶を探られているような――
マユリはすごいスピードでキーボードを叩く。
モニターに出る数値を見て少し目を見開いた。
「この間より爆発的にエナジーの許容量が増えてるね」
科学技術局、開発部のチームリーダー、美由紀もモニターを見ながら尋ねた。
「どういうことですか?」
「今までの二人の《器》はコップだったとする。壊れても被害はコップ一杯分だけ、だけど今の二人はその《器》がバケツ以上ってことなのだよ!」
「そして、もしバケツが壊れたら……桁違いのエナジー暴走ってことだね。さしずめ制御棒のない核燃料ってところなのだよ」
「――こちらの方も何か考えないとですね」
スタッフ一人一人に視線を送り声をかけた。
「君たち!二人のミッションまであと三日!寝られないと思ってくれたまえよ!」
とスタッフに宣言した。
美由紀がマユリに言った。
「いつも一番頑張るのは局長ですよね?」
スタッフの声も揃った。
「私たちも気持ちは同じです!」
LABOの明かりは、その日消えることはなかった。
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次回更新は明日19時です。
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